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世界市場で欧州企業が台頭 日米企業は後退 製薬協政策研が分析

公開日時 2010/03/24 04:02

日本製薬工業協会・医薬産業政策研究所の八木崇主任研究員らは、世界市場での新薬メーカーの動向について分析したレポートをまとめ、03~07年の世界売上上位100品目の売上高増加額の50%以上を欧州企業のもつ製品が寄与するなど、欧州企業が台頭してきていることを指摘した。それに対し米国企業は、ブロックバスターの特許切れが相次いだことに加え、抗体医薬やワクチンなどバイオ医薬品分野でも、欧州企業に抜かれた。日本は低分子医薬品では存在感は見せているものの、バイオ薬の売上増加額への寄与は0.7%に過ぎず、欧州企業の成長ぶりが目立つ結果となった。

先進国の経済成長率の鈍化、新興国の急成長、バイオ医薬品市場の急成長など世界市場が大きな変化を見せ、メーカーの成長戦略の見直しが迫られている。その中で今回、八木氏と前主任研究員の岩井高士氏がまとめたのは「研究開発型製薬企業の国際競争力と成長戦略」と題するリサーチペーパーで、今後の成長戦略の方向性を探ったもの。

それによると、03~07年の世界売上上位100品目の売上高増加額674億ドルのうち、55.2%がバイオ薬を占め、医薬品市場におけるバイオ薬の存在感が高さを示した。

その中で、台頭する欧州企業のバイオ医薬品は、全売上増加額の51.6%を占めた。圧倒的地位を誇っていた米国企業は47.7%に下げ、欧州企業に抜き去られた。また、欧州企業は、低分子医薬品においても全増加額の79.1%を占めた。ブロックバスターの相次ぐ特許切れで、全増加額への米国企業の寄与度が0.3%まで下がったことが背景にある。

そのせいもあって日本企業の低分子医薬品は20.6%と一定の存在感を示すに至ったものの、世界の成長をけん引しているバイオ医薬品では0.7%の寄与に過ぎず、今後の成長力に不安を残す結果となった。

レポートは欧州企業の台頭の背景も分析。▽循環器や神経系など日米企業も注力する領域に加え、がんや免疫、呼吸器など、スペシャリティやニッチといわれる領域の製品の売上構成比も高く、市場ターゲットを分散させている▽売上上位製品への依存度(03-07年度累計)が59%と、日米企業より15ポイントも低いのに加え、地域別売上も分散していること▽これら新市場、新領域への進出する戦略は、製品集中度の低下をもたらし、コスト効率の低下にもつながっていると推察される――と考察した。

レポートは、成功モデルの1つにすぎないとしつつも、「欧州企業が先行して進めてきたブロックバスター依存の成長戦略からの脱却は、これまでのところ売上伸長率や市場シェアを指標としてみる国際競争力の強化という面で相応の成果を上げている」との見解を示した。

日本企業に対しては▽米国市場への収益依存度が高く、主要なブロックバスターの米国での特許が今後4年で失効する▽新興国市場への進出が相対的に遅れている▽バイオ薬の数と売上高に占める割合ともに相対的に低い――ことを挙げ、これら課題への挑戦が必要だとまとめている。

 

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