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高齢患者の再入院率  人種格差だけでなく医療施設の特徴も大きく関与

公開日時 2011/03/07 03:00

米国では、30日以内の高齢患者の再入院率が、非黒人患者よりも黒人患者に有意に高いことが、米医療保険制度メディケアのデータを分析した結果、明らかになった。それにも増して、黒人患者の割合が高い病院で治療を受けた患者は、人種を問わず再入院率が高いこともわかった。米ハーバード大のKaren E. Joynt氏らの研究グループが、学術誌「JAMA」の2月16日号で報告した。


米国の医療制度改革の焦点の一つとして、再入院率をいかに低下させるかが常に議論されるが、この領域において全米規模での人種間格差は明確になっていない。同研究では、メディケアのデータを利用し、心筋梗塞(MI)か鬱血性心不全(CHF)、肺炎で入院した高齢患者において、黒人患者と非黒人患者との間で30日以内の再入院率に格差があるかどうか、またその場合、人種そのものに関連するのか、または治療を受けた医療施設に関連するのか、医療施設の特性との関連性はあるのかどうかを検討した。


対象サンプルは、約4600施設の医療施設で治療を受けた65歳以上のメディケア受給者3万163,011人分の医療データ(急性MI:579,492人、CHF:1,346,768人、肺炎:1,236,751人)。このうち黒人患者は8.7%を占めていた。
どの症状でも黒人患者は非黒人患者と比べて若く、女性の割合や、糖尿病、高血圧、慢性腎疾患、肥満の割合が高い一方で、慢性肺疾患や心臓弁膜症、うつ病の割合は低かった。黒人患者のおよそ40%が、黒人患者が占める割合が最も高い上位10%の病院(マイノリティー病院)に入院していたが、非黒人患者での割合は6%に留まっていた。


分析の結果、30日以内の再入院率(原因を問わず)は、黒人患者が24.8%に対して白人患者は22.6%と、黒人患者が有意に高いことがわかった(オッズ比1.13、95%CI:1.11-1.14、p<0.001)。さらに人種に関わらず、マイノリティー病院に入院していた患者は、非マイノリティー病院の入院患者より有意にリスクが高かった(25.5% vs 22.0%、オッズ比1.23、95%CI:1.20-1.27、p<0.001)。疾患別で見た場合でも同様の傾向が見られ、例えば急性MI患者では、医療施設の特徴に関わらず黒人患者のリスクが有意に高く(オッズ比1.13、95%CI:1.10-1.16、p<0.001)、またマイノリティー病院に入院した患者が、人種に関わらず有意に高かった(オッズ比1.22、95%CI:1.17-1.27、p<0.001)。


人種と医療施設の特徴(マイノリティー病院かそれ以外か)をもとに再入院リスクを比較すると、非マイノリティー病院に入院した非黒人患者が最も低く、マイノリティー病院に入院した黒人患者が最も高かった。例えば急性MI患者では、非マイノリティー病院の非黒人患者を比較対照とすると、マイノリティー病院の黒人患者が最も高リスクで(オッズ比1.35、95%CI:1.28-1.42)、続いてマイノリティー病院の非黒人患者(オッズ比1.23、95%CI:1.18-1.29)、非マイノリティー病院の黒人患者(オッズ比1.20、95%CI:1.16-1.23)の順になった(それぞれp<0.001)。この傾向はCHFと肺炎でも同様であった。


研究グループは、再入院率との関連性は、人種よりも入院した病院の特徴(マイノリティーが多いか少ないか)の方が一貫して強いことから、人種格差は部分的であり、マイノリティー病院かそうでないかといった病院の特徴が、少なくとも人種と同等に重要な因子であると考えられると結論した。
 

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