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【ACCリポート】NAGOYA HEART 糖尿病合併高血圧患者の心血管イベント発症抑制 バルサルタンとアムロジピンで有意差見られず

公開日時 2011/04/06 09:29

 

 

室原豊明氏糖尿病合併高血圧患者における心血管イベント発症抑制効果が、ARBのバルサルタンとCa拮抗薬のアムロジピンで有意差がみられないことが、「NAGOYA HEART」の結果から分かった。名古屋大学大学院医学系研究科循環器内科学教授の室原豊明氏が4月5日、米国・ニューオリンズで開催された第60回米国心臓病学会議(ACC)の「Late-Breaking Clinical Trials」セッションで報告した。(4月5日 米国・ニューオリンズ発 望月英梨)


糖尿病合併高血圧は、心血管イベントのハイリスクであることが知られている。治療に際しては、糖尿病の新規発症を抑制し、糖尿病腎症の進行を抑制するとのエビデンスが構築されていることから、ACE阻害剤やARBが第一選択薬とされている。ただ、糖尿病合併高血圧患者に対象を絞った大規模試験はこれまでほとんど行われていなかった。


試験は、糖尿病または耐糖能異常(IGT)を合併する日本人高血圧患者を対象に、ARBバルサルタンとCa拮抗薬のアムロジピンの効果を直接比較することを目的に実施された。試験期間は、2004年10月~10年7月末までで、名古屋を中心とした日本循環器学会認定施設46施設で患者登録がなされた。


対象は、30~75歳の糖尿病またはIGTを合併する高血圧患者1150例。6カ月以内の冠動脈疾患の既往がある患者や左室駆出率(LVEF)<40%、血清クレアチニン≧221μmol/Lの患者などは除外した。


①バルサルタン群575例②アムロジピン群575例――の2群に分け、治療効果を比較。バルサルタン群は80mg/日、アムロジピン群は5mg/日から投与を開始し、4週間後にそれぞれ倍量とし、8週間後以降はACE阻害薬とARB、Ca拮抗薬を除く併用薬の投与も可能とした。


主要評価項目は、複合心血管イベント(急性心筋梗塞+脳卒中+冠動脈血行再建術(PCIまたはCABGの施行)+心不全による入院+心突然死)。追跡期間(中央値)は、3.2年間。


◎バルサルタン群で心不全による入院を有意に抑制


その結果、主要評価項目の発症率は、バルサルタン群で9.4%(54例)、アムロジピン群で9.7%(56例)で、両群間に有意差はみられず、2群間に差はみられなかった(ハザード比:0.97[95%CI:0.66~1.40]、P値=0.85)。ただ、慢性心不全による入院は、有意差がみられ、バルサルタン群0.5%(3例)、アムロジピン群2.6%(15例)で、バルサルタン群で有意に少ない結果となった(P値=0.20)。なお、血圧値は両群間で差はみられなかった。


室原氏は、2型糖尿病性腎症がある高血圧患者を対象に、ARBのイルベサルタンとアムロジピンの効果を直接比較した「IDNT」の結果を提示。イルベサルタン群で、慢性心不全による入院を有意に抑制したことを引き合いに、慢性心不全への治療効果はARBに共通する効果である可能性を示唆した。


その上で、「今回の結果は、ARBバルサルタンの安全性と有効性、特に心不全への予防効果を示したハイライトで、現在の糖尿病合併高血圧患者への治療薬の推奨を支持する結果となった」と結論付けた。ただし、発症率が想定よりも低かったことや、PROBE法を用いたことなどから試験に限界があることも指摘した。
 

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