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薬食審 第一部会8月29日に 腎性貧血初の経口薬・エベレンゾ錠など8製品を審議

公開日時 2019/08/19 03:51
厚生労働省では、8月29日に新薬の承認の可否などを審議する薬食審・医薬品第一部会を開催し、腎性貧血で初の経口薬となるHIF(低酸素誘導因子)プロリン水酸化酵素阻害剤・エベレンゾ錠などを審議する。透析市場では、8月にネスプのオーソライズドジェネリック(AG)が発売されるなど、巨大マーケットをめぐる動きが活発化している。HIFプロリン水素化酵素阻害剤をめぐっては、田辺三菱製薬やGSK、バイエル薬品などの製品も開発後期段階にあり、同剤が承認されれば透析市場は新たなステージに入る。このほか、同日の部会では、国内初のがん悪液質の治療薬となる小野薬品のエドルミズ錠など、新薬として8製品を審議する予定。

【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
エベレンゾ錠20mg、同50㎎、同100mg(ロキサデュスタット、アステラス製薬):「腎性貧血」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

同剤は、大手バイオ製薬企業、FibroGen 社(本社:サンフランシスコ)によって見いだされた化合物で、低酸素誘導因子(HIF) プロリン水酸化酵素阻害剤。承認されれば、腎性貧血に対する治療薬としては初の経口薬となる。

同剤では、生体が低酸素の状態に晒されたときに自然な生理学的反応を誘導して、赤血球生成を最適化する転写因子HIFの分解酵素である、プロリン水酸化酵素を阻害することにより、低酸素状態を引き起こすことなく、赤血球造血反応を誘導する。

エドリミズ錠50mg(アナモレリン塩酸塩、小野薬品工業):「がん悪液質」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

がん悪液質は、がんに伴う体重減少や食欲不振を特徴とする複合的な代謝異常症候群。同剤は、選択的かつ新規の経口グレリン様作用薬で、主に胃から分泌される内在性ペプチドのグレリンが受容体に結合すると、体重、筋肉量、食欲などを調整する複数の経路を刺激する。承認されれば、がん悪液質に対する初の治療薬となる。

同剤について小野薬品では、スイスのヘルシン ヘルスケアSAと締結したライセンス契約に基づき、日本・韓国・台湾で独占的に開発・商業化する権利を取得している。

クリースビータ皮下注10mg、同20mg、同30mg(ブロスマブ(遺伝子組換え)、協和キリン):「くる病、骨軟化症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

同剤は、同社が発見した線維芽細胞増殖因子23(FGF23)に対する完全ヒトモノクローナル抗体。腎臓におけるリン排泄と活性型ビタミンD産生を制御することで、血清リンおよび活性型ビタミンD濃度を低下させる液性因子、FGF23の過剰産生に由来した疾患を対象として開発が進められてきた。

ブリニューラ脳室内注射液150mg(セルリポナーゼアルファ(遺伝子組換え)、BioMarin Pharmaceutical Japan):「セロイドリポフスチン症2型」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。

セロイドリポフスチン症(CL)は、細胞内で老廃物を分解する機能に障害が生じ、細胞内にリポフスチンという色素が蓄積する遺伝性の疾患。同剤は、同疾患に対する治療のために開発された酵素補充療法剤で、同疾患の患者に欠損しているトリペプチジルペプチダーゼという酵素を補充することで、同疾患の特徴であるリポフルスチンの蓄積を減少させる。

トリンテリックス錠10mg、同20mg(ボルチオキセチン臭化水素酸塩、武田薬品工業):「うつ病、うつ状態」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

同剤は、デンマーク・コペンハーゲンにあるルンドベック社の研究者により創製されたもので、日本では、武田薬品によって臨床試験プログラムが実施された。

同剤の作用機序は完全には解明されていないが、同社の報道発表資料によると、セロトニン(5-HT)の再取り込み阻害作用と5-HT受容体活性を直接調節する5-HT1A受容体刺激作用、5-HT1B受容体部分的刺激作用、5-HT3、5-HT1D、および5-HT7受容体拮抗作用などを有しているという。

アイベータ配合点眼液(ブリモニジン酒石酸塩・チモロールマレイン酸塩、千寿製薬):「緑内障、高眼圧症」を対象疾患とする新医療用配合剤。

α2作動薬であるブリモニジンと、β遮断薬であるチモロールを組み合わせた配合点眼薬。承認されれば、α2作動薬とβ遮断薬の組み合わせとしては初の製品となる。

エクフィナ錠50mg(サフィナミドメシル酸塩、Meiji Seika ファルマ):「パーキンソン病」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

同剤は、Newron Pharmaceuticals S.p.A.(本社:イタリア、ミラノ)が創製・開発したもので、選択的なモノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害作用により、分泌されたドパミンの分解を抑制して、ドパミンの脳内濃度維持を助ける。また、ナトリウムイオンチャネル阻害作用を介したグルタミン酸放出抑制作用も持つ。同剤についてMeijiは2011年、Newron Pharmaceuticals S.p.A.社と日本およびアジアにおける独占的な開発、製造および販売に関するライセンスについて合意している。

コララン錠2.5mg、同5mg、7.5mg(イバブラジン塩酸塩、小野薬品工業):「慢性心不全」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

同剤は、Servier社(本社フランス・シュレーヌ)によって創製された新規作用機序の経口剤。心臓の洞結節に発現するHCNチャネルを阻害することで、心臓のペースメーカー電流である過分極活性化陽イオン電流を抑制する。心臓の伝導性、収縮性、再分極や血圧に影響することなく、心拍数のみを減少させる作用がある。

【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
テリパラチドBS皮下注キット600μg「モチダ」(テリパラチド(遺伝子組換え)〔テリパラチド後続1〕、持田製薬):「骨粗鬆症」を対象疾患とするバイオ後続品。

先発品は、日本イーライリリーのフォルテオ皮下注キット600μg

ダルベポエチンアルファBS注5μgシリンジ「JCR」、同10μg、同15μg、同20μg、同30μg、同40μg、同60μg、同120μg、同180μg(ダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)〔ダルベポエチンアルファ後続1〕、JCRファーマ)
ダルベポエチンアルファBS注5μgシリンジ「三和」、同10μg、同15μg、同20μg、同30μg、同40μg、同60μg、同120μg、同180μg(ダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)〔ダルベポエチンアルファ後続2〕、三和化学研究所)
ダルベポエチンアルファBS注射液5μgシリンジ「MYL」、同10μg、同15μg、同20μg、同30μg、同40μg、同60μg、同120μg、同180μg(ダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)〔ダルベポエチンアルファ後続3〕、マイランEPD)
:いずれも「腎性貧血」を対象疾患とするバイオ後続品。

いずれも先発品は協和発酵キリンのネスプ。JCRが申請したのはキッセイ薬品と研究開発した「JR-131」。三和化学は韓国の東亜STから日本でのライセンスを取得し、ジーンテクノサイエンスと共同開発してきたものを申請した。マイランEPDも同時期に申請していた。

【訂正】下線部に誤りがありました。修正いたします(8月21日14時30分)
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