MSD 難治性または原因不明の慢性咳嗽治療薬ゲーファピキサントを国内申請
公開日時 2021/03/03 04:50
MSDは3月2日、難治性または原因不明の慢性咳嗽治療薬ゲーファピキサントクエン酸塩を日本で承認申請したと発表した。現在、難治性または原因不明の慢性咳嗽治療薬として承認されている治療薬はない。
慢性咳嗽は8週間以上続く咳のこと。有病率は世界各国で2~10%と推定されている。この中には、喘息や胃食道逆流症などの原因疾患を治療しても改善が認められない難治性慢性咳嗽や、詳細な検査にも関わらず原因が特定できない原因不明の慢性咳嗽がある。
同剤は経口投与の選択的P2X3受容体拮抗薬。P2X3受容体は気道の迷走神経のC線維上に発現しているアデノシン三リン酸(ATP)受容体で、ATPは気道の炎症条件下で気道粘膜細胞から放出される。細胞外ATPが気道のC線維上のP2X3受容体と結合することで、損傷の可能性を示すシグナルとして感知され、咳嗽が惹起されることがある。細胞外ATPとP2X3受容体の結合を阻害することで、C線維の活性化を抑え、咳嗽が抑制されると考えられている。
MSDは、「今後もアンメットメディカルニーズに応えていけるよう、革新的な医薬品の開発を進め、承認取得に向けて取り組んでいく」としている。