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抗体カクテル療法 入院する新型コロナ重症患者対象のフェーズ3で主要評価項目達成 死亡リスクを低下 国内は中外製薬が開発中

公開日時 2021/06/17 04:51
英Oxford大の研究グループは6月16日、casirivimabとimdevimabの抗体カクテル療法(米国ではREGEN-COV)の医師主導第3相臨床試験で主要評価項目を達成したと発表した。入院する重症新型コロナ患者の死亡リスクを20%低減した。新型コロナで入院した患者の生存率が抗体治療によって改善することが大規模臨床試験で示されたのは初めて。国内では中外製薬が開発を進めており、2021年中の申請を目指している。

「UK RECOVERY」試験では、入院する重症新型コロナ患者を対象に、通常治療に抗体カクテル療法8000mg(casirivimab4g、imdevimab4g静注)を追加することの有用性を検証した。試験では、新型コロナで入院した9785例を、通常治療+抗体カクテル療法群(以下、抗体カクテル療法群)、通常療法群にランダムに割り付け、治療効果を比較した。登録期間は2020年9月18日から2021年5月22日まで。ベースラインで、新型コロナへの独自の抗体反応のない陰性患者(以下、血清陰性)3153例、血清陽性5272例、未知の血清状態が1360例だった。平均年齢は62歳で、90%以上がコルチコステロイドを投与されていた。

◎入院期間の短縮や侵襲的人工呼吸器の進行抑制も

通常のケアのみを受けた患者の中で、28日死亡率は、試験開始時に血清陰性であった患者は30%で、血清陽性患者15%で、血清陰性患者で高かった。血清陰性だった患者を対象に見ると、28日後の死亡率は抗体カクテル療法群24%、通常療法群30%で、抗体カクテル療法群で有意な低下がみられた(0.80、95%CI:0.70-0.91; p=0·001)。100人治療するごとに、死亡する人が6人減ることになる。入院期間(中央値)は抗体カクテル療法群13日、通常療法群17日で、抗体カクテル療法の追加により、入院期間が4日間短縮された。また、28日後に生存して退院した患者の割合も多かった。また、28日目までに生存して退院した患者の割合が多かった(64 %対58%;比1.19、95%CI:1.08-1.30)。

登録時に侵襲的人工呼吸を行っていない血清反応陰性患者のうち、複合エンドポイント(侵襲的人工呼吸+死亡)の進行リスクも抑制した(30%対37% 0.83、95%CI:0.75-0.92)。

米リジェネロン社 FDAとEUAの対象拡大へ協議中

同療法をめぐっては、米国やフランス、ドイツなどで緊急使用許可(EUA)が認められている。同療法を創出した米リジェネロン社は現在のEUAを予防や入院患者などに拡大するために、FDAと協議中。同社は今夏後半には、完全な生物学的製剤認可申請書(BLA)を提出する予定。

同療法をめぐっては、米リジェネロン社が創出。ロシュはリジェネロン社と製造、開発、販売について共同で実施しており、2020年12月に、中外製薬が国内での開発権、今後の独占的販売権をロシュから取得している。国内では中外製薬が開発を進めており、抗体カクテル療法が国内で薬事承認された際に、国内での供給を目的として、2021年分を日本政府が確保することに合意したことが5月10日、発表されている。

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