【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

協和キリン・宮本社長 次世代戦略品のヒト型抗OX40抗体 試験一時停止も承認取得予定に変更なし

公開日時 2022/08/08 04:51
協和キリンの宮本昌志代表取締役社⻑は8月5日の2022年12⽉期第2四半期決算説明会で、今年6月に開始したばかりのヒト型抗OX40抗体KHK4083/AMG 451(rocatinlimab)のアトピー性皮膚炎を対象とした第3相試験「ROCKETプログラム」について、開発提携先の米アムジェンや米FDAとの協議の結果、症例登録を自主的に一時停止したことを明らかにした。「患者さんの利便性向上を目指した投与方法のさらなる検討を目的として、試験の修正を行っている。より製品価値を高めるためであり、現状、安全性や有効性に問題は生じていない」と強調し、2025~26年の承認取得予定に変更はないとした。

同社は21年2月に公表した「2021~25年中期経営計画」の中で、KHK4083/AMG 451をはじめ5製品を次世代戦略品と位置づけ、その承認予定年や全市場ポテンシャル、患者数などを開示している。このうちKHK4083/AMG 451、RTA 402、ME-401、KW-6356の4製品の全市場ポテンシャルはいずれも1000億円超となっていた。しかし、その後、これら開発計画の修正が相次いでいる。22年2月8日の21年12⽉期通期決算説明会では、米リアタ社から導入した低分子化合物RTA 402(バルドキソロンメチル)について、アルポート症候群(AS)および糖尿病性腎臓病(DKD)の承認予定年をそれぞれ22年→TBD(未定)、23年→24年へ変更した。

8月5日の決算説明会では、RTA 402のもう一つの開発中の適応である常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)について、新たに試験延長を含む第3相臨床試験「FALCON」のプロトコル修正を明らかにし、25年としていた承認予定年を「現在精査中」に変更。この他、3月31日には米MEI社から導入し、濾胞性リンパ腫等の適応で開発中の経口 PI3Kδ 阻害剤ME-401(ザンデリシブ)の開発方針見直しにより、予定した23年の承認取得は困難になったことを示した。7月15日にはパーキンソン病の適応で開発していた自社創製品のアデノシンA2A受容体拮抗薬/逆作動薬KW-6356の開発中止を発表した。

8月5日の決算説明会で宮本社長は「中計への影響はまだまだ大したことはないが、その先まで見ていくと、よりアーリーなものにより投資して加速させるとか、導入をしっかり考えていくとか、何とかしないといけないと社長として思っている」と開発パイプラインの強化が必要との認識を示した。

◎22年第2四半期 前年同期比12.3%増の1852億7100万円 コア営業利益は28.9%増

22年12⽉期第2四半期業績は、売上収益が前年同期比12.3%増の1852億7100万円、コア営業利益28.9%増の399億800万円と2桁の増収増益だった。国内売上は5.1%減の728億円。21年12月に後発品が発売されたパタノールの72%の大幅減収が響いた他、競合バイオシミラー(BS)の出荷調整が解除された影響で、ネスプAGは20%の減収となった。ただ、BSのシェアの伸びが、当初想定を下回っているといい、ネスプAGの年間予想を10億円上方修正した。20年8月発売の腎性貧血治療薬(HIF-PH阻害剤)ダーブロックは、21年9月からの長期処方制限解除以降、順調に伸びているといい、年間予想も若干上方修正した。

◎クリースビータ 日本の成長へ「体制も含めて見直し、グローバルを牽引する市場に」

19年12月発売のFGF23関連疾患治療薬クリースビータは着実な成長を示したものの、年間予想を8億円下方修正。「欧米のこれまでのトレンドを見ると、ちょっと日本の成長力が弱いと感じている。体制も含めて見直しながら、しっかりとグローバルと一緒に成長する、あるいはグローバルをけん引する成長を日本市場でも続けていきたい」(須藤友浩執行役員 戦略本部グローバル製品戦略部長)とした。持続型G-CSF製剤ジーラスタは7%の増収。11月には自動投与デバイスを使用した「ジーラスタ皮下注3.6mgボディーポッド」の薬価収載を予定している。

グローバル戦略3製品の海外売上は、X染色体連鎖性低リン血症治療薬Crysvita(国内販売名クリースビータ)が40%増、抗悪性腫瘍剤Poteligeo(ポテリジオ)が47%増、パーキンソン病治療薬Nourianz(ノウリアスト)が34%増といずれも伸長した。Crysvitaに関しては、23年春からの北⽶における⾃社販売開始に向け、米ウルトラジェニクス社からの販売移管準備を本格化させた。

22年12月期通期業績予想についは、大幅な円安の進行を要因に売上収益を200億円上方修正するとともに、KW-6356の開発中止決定に伴い研究開発費が当初計画を下回ることを予想し、コア営業利益を100億円引き上げるなど、各利益も上方修正した。

【連結実績 (前年同期比) 22年度通期予想(前年同期比)】
売上収益 1852億7100万円(12.3%増)4000億円(13.6%増)←修正前3800億円
コア営業利益 399億800万円(28.9%増 )770億円(17.2%増)←修正前670億円
税引前利益 434億7900万円(39.8%増)790億円(31.6%増)←修正前660億円
親会社所有者帰属当期利益 350億1700万円(39.7%増)630億円(20.3%増)←修正前530億円

【国内主要製品売上(前年同期実績)22年度通期予想、億円】
ネスプ 16(19)33←修正前31
ネスプAG 88(110)174←修正前164
ダーブロック 27(5)59←修正前55
レグパラ 11(15)20←修正前24
オルケディア 49(46)104←修正前100
ジーラスタ 148(138)315←修正前315
ポテリジオ 10(9)20←修正前19
リツキシマブBS 50(53)103←修正前97
ロミプレート 48(28)100←修正前100
アレロック 38(48)56←修正前66
パタノール 22(78)30←修正前39
ノウリアスト 39(42)81←修正前84
ハルロピ 18(13)41←修正前55
クリースビータ 41(33)92←修正前100
【グローバル戦略3製品の海外売上(前年同期実績)22年度通期予想、億円】
Crysvita 494(354)1162←修正前1052
Poteligeo 103(70)236←修正前225
Nourianz 26(19)61←修正前66
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(2)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

記事はありません。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー