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国立大学病院長会議 23年度収支見込 33病院で318億円の収支マイナス 高額医薬品の購入費用が重荷に

公開日時 2023/10/16 04:51
国立大学病院長会議は10月13日の記者会見で、2023年度収支見込を公表し、42病院中33病院で総額318億円の収支マイナスが見込まれると発表した。急激な物価・エネルギー価格高騰の影響と、コロナ補助金の縮減が影響した。また、経営努力では回避できない要因で費用負担が増加した項目として「高難度治療に必要な高額薬品等」をあげ、2019年実績に比べて購入額が955億円増加したと強調。経営努力の観点から共同購入などによるコスト圧縮に取り組む方針を示した。さらに、24年4月実施の医師の働き方改革を見込み、診療報酬の引き上げと、地域医療構想、医師の偏在対策の三位一体改革への支援を要望した。

この日公表した「国立大学病院の2023度収支見込み」によると、42大学病院中、収支プラスは9病院で、残り33病院が収支マイナスを見込み、42病院全体ではマイナス302億円を見込んだ。

◎人件費 19年度比で427億円増見込む 食事療養費も食材値上げなど影響

記者会見で横手幸太郎会長(千葉大学医学部附属病院長)は、急激な物価・エネルギー価格高騰の影響など、経営努力では回避できない要因によって費用負担が増加していると説明。2019年度比で最も金額的に増加したものが、「高難度治療に必要な高額薬品等」だったとし、ここ数年で新たに上市された薬価の高い革新的新薬の購入が収支を圧迫していると強調した。このほか光熱水費は「高度先進医療機器の電気料」で、19年度比で163億円増、人件費も19年度比で427億円増となった。また、物価高騰の煽りから食材の値上げなどで「食事療養費」も増加しており、こちらは2017年度比で11.9億円の収支悪化になる見通しを明らかにした。

◎医師の働き方改革 35年度末の特例水準解消まで「長期的な財政支援」必要

医師の働き方改革について、国立42病院の「特例水準別医師数」(予定)を公表した。24年4月実施の医師の働き方改革では、年間の時間外・休日労働時間数を「A水準960時間以下」、「B水準1860時間以下」、「連携B水準1860時間以下」、「C-1水準1860時間以下」、「C-2水準1860時間以下」と定めている。この日の会見で示した特例水準別医師数では、長時間労働が必要となる医師が該当する「B水準」が全体の4.7%(1177人)、地域医療確保のため派遣され、通算で長時間労働が必要となる医師が該当する「連携B水準」が全体の25.6%(6432人)になるとの見通しが示された。

この結果から国立大学病院長会議は、2035年度末の地域医療確保暫定特例水準の解消までに、「B水準および連携B水準で申請予定医師7609人を960時間以内“A水準レベル”にする必要がある)と指摘。このためには教育・研究時間および医療体制を確保しつつ「636万時間の解消が必要」として、毎年合計で226億円(医師増員の費用年間129億円、タスクシフト/シェア等で97億円)の費用が必要と試算し、長期にわたる財政支援を要請した。

◎24年度予算編成 診療報酬、地域医療構想、医師の偏在対策の三位一体改革で支援要請

このほか、2024年度予算編成に向けて、「体制維持のため多額の費用が必要」と強調。具体的な財政支援として、診療報酬、地域医療介護確保基金、教育・研究資金を要望したほか、「働き方改革だけでなく、地域医療構想・医師の偏在対策の三位一体での改革推進についての支援・協力をお願いしたい」と提言した。

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