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協和キリン・山下専務執行役員 英Orchard社買収「遺伝子治療を新たな柱に」数百億円規模の売上期待

公開日時 2023/10/24 04:49
協和キリンの山下武美専務執行役員は10月19日、英国のバイオ医薬品企業Orchard Therapeutics plc(本社・英ロンドン)の買収でメディア向け説明会を開いた。Orchard社は造血幹細胞遺伝子治療(HSC-GT)を専門とし、希少疾患の治療薬開発に強みを持つ。山下専務執行役員は、「遺伝子治療が新たな柱になる。新たなプラットフォームを生かして、将来的には遺伝性疾患だけでなく、特定の疾患を治療できる細胞のデザインも目指していきたい」と述べた。

◎遺伝子治療のプロセス獲得に意義 年間数百億円規模の売上げ見込む

「協和キリンはグローバルでクリスビータ、ポテリジオを展開しようとしている。両剤とも画期的な医薬品で“life changing value”を提供できる。我々のビジョンは、引き続きそういったライフチェンジングな医薬品を創生して提供することだ」-、山下専務執行役員はこう強調する。その上で、Orchard社を買収した意義について、「造血幹細胞の遺伝子治療技術を基に、劇的に病態を改善し得るものを患者さんに提供していきたい」と意欲を示した。

買収額は最大約707億円。Orchard社のパイプラインがすべて上市された場合、売上は年間数百億円規模を見込む。

Orchard社は、異染性白質ジストロフィー(MLD)を対象とするLibmeldy(OTL-200)がすでに欧州で上市され、米国でもFDAの優先審査段階にある。開発パイプラインにはムコ多糖症Ⅰ型(ハーラー症候群)を対象疾患とする「OTL―203」や、ムコ多糖症ⅢA型を対象疾患とする「OTL-201」がある。山下専務執行役員はOrchard社に着目した理由に触れ、「造血幹細胞による遺伝子治療のプロセスを完成させて、レギュレーションを全てクリアした上で提供できている点に大きな競争力がある。(買収によって)品質管理やクオリティの担保など遺伝子治療の一連のプロセスを含めて獲得できる」と期待感を表明。三村英樹コーポレートストラテジー部戦略投資リードは、「将来の価値創造のための買収という観点で長期的に投資回収ができる」と強調した。

◎「遺伝子治療のアップデート進める」

なお、Orchard社の強みである造血幹細胞遺伝子治療(HSC-GT)は、患者自身の造血幹細胞遺伝子を改変し、置き換えることで治療に役立てる治療法だ。赤血球やT細胞、マクロファージなどいろいろな細胞の基になるため体内のあらゆる箇所に遺伝子の送達ができ、これまでにない治療法につながる可能性があるとする。

Orchard社のパイプラインは遺伝性疾患が中心だが、将来的には協和キリンの持つ知見と組み合わせて「例えば遺伝子の発現を制御して生体内にあるT細胞を強化するなど、新たな効果を見出せるかもしれない。新たなテクノロジーの研究を重ねて遺伝子治療のアップデートを進めていきたい」(山下氏)としている。日本での事業展開については、「買収段階のため、まだ検討中」としながらも、「日本にも多くの患者さんがいる。(Orchard社のパイプラインについて)提供できるよう段取りを進めていきたい」と意気込んだ。
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