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タフィンラーとメキニスト併用療法にBRAF変異陽性固形腫瘍を追加へ 薬食審・第二部会が了承

公開日時 2023/10/24 04:50
厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会は10月23日、ノバルティス ファーマのタフィンラーとメキニストの併用療法にBRAF変異陽性固形腫瘍(結腸・直腸がん除く)の効能を追加するなど4製品の承認可否を審議し、いずれも承認することを了承した。審議品目はいずれも効能追加で、11月中に正式承認される見通し。

タフィンラーとメキニストの併用療法は現在、▽BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫、▽BRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん――を適応としている。今回初めてがん種横断的な適応を持つことになる。また、両剤の併用療法は今回、BRAF遺伝子変異を有する有毛細胞白血病の効能追加も了承された。有毛細胞白血病は、まれな低悪性度成熟B細胞腫瘍のこと。

報告品目は2製品。この中には新型コロナワクチンのスパイクバックスに対する、生後6カ月以上の全年齢層で、XBB.1.5系統を含むオミクロン対応ワクチンの初回免疫の用法追加が含まれる。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
アドセトリス点滴静注用50mg(ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)、武田薬品):「CD30陽性の再発又は難治性の皮膚T細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は5年10カ月。

細胞表面マーカーCD30を標的とする抗体薬物複合体(ADC)。今回追加する適応の用法・用量は、「通常、成人には、ブレンツキシマブ ベドチンとして3週間に1回1.8mg/kg(体重)を点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する」。

CD30陽性の皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は悪性リンパ腫の一種。CTCLに対して現在用いられるほとんどの治療法は、十分な奏効率、奏効期間ではないことが多く、新たな治療選択肢が望まれている。厚労省の2020年患者調査によると、国内のCTCLの主な病理組織型である菌状息肉症(MF)の患者数は2000人と報告されている。またCTCL患者のうちMF患者の占める割合は62.3%との報告もあることから、CTCLの推定総患者数は約3200人と推計されるが、CD30陽性かつ再発・難治の患者数はさらに限定される。

アドセトリスは現在、CD30陽性の▽ホジキンリンパ腫、▽末梢性T細胞リンパ腫――を効能・効果としている。

オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同120mg、同240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):「悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

抗PD-1抗体。今回追加する適応の用法・用量は、「通常、成人にはニボルマブとして、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する」となり、既承認の再発又は遠隔転移を有する頭頸部がんや原発不明がんと同様となる。

悪性中皮腫は、悪性胸膜中皮腫、悪性腹膜中皮腫、悪性心膜中皮腫及び悪性精巣鞘膜中皮腫に分類される。厚労省の2020年患者調査では、悪性中皮腫のうち悪性胸膜中皮腫の総患者数は3000人と報告されている。また悪性中皮腫における悪性胸膜中皮腫が占める割合は85.5%との報告もあることから、国内の悪性中皮腫の患者数は約3500人(3000人÷0.855)と算出され、悪性胸膜中皮腫患者を除く悪性中皮腫患者は約500人と推測される。

なお、オプジーボは悪性胸膜中皮腫の効能・効果は既に取得している。

タフィンラーカプセル50mg、同75mg(ダブラフェニブメシル酸塩、ノバルティス ファーマ)
メキニスト錠0.5mg、同2mg(トラメチニブ ジメチルスルホキシド不可物、ノバルティス ファーマ)
:いずれも「標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸がんを除く)」及び「BRAF遺伝子変異を有する再発又は難治性の有毛細胞白血病」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。いずれも希少疾病用医薬品。いずれも再審査期間は10年。

タフィンラーはBRAFキナーゼ活性を阻害し、腫瘍増殖を抑える。メキニストはBRAF遺伝子変異による腫瘍増殖に関わる酵素であるMEK(MEK1、同2)を阻害する作用を持つ。これにより腫瘍の増殖を抑える。今回追加する2適応は、いずれも両剤の併用療法で用いる。

両剤の併用療法として初のがん種横断的な適応となる「固形腫瘍(結腸・直腸がんを除く)」の用法・用量は、タフィンラーは▽成人には1回150mgを1日2回、▽小児には体重に合わせた規定の用量を1日2回――でいずれも空腹時に経口投与で用いるが、患者の状態により適宜減量する。メキニストは▽成人には2mgを1日1回、▽小児には体重に合わせた規定の用量を1日1回――で空腹時に経口投与で用いるが、患者の状態により適宜減量する。

まれな低悪性度成熟B細胞腫瘍である有毛細胞白血病に対する用法・用量は、両剤とも、既承認のBRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんと同様となる。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

イミフィンジ点滴静注120mg、同500mg(デュルバルマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「切除不能な局所進行の非小細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法後の維持療法」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は残余(2026年7月1日まで)。

抗PD-L1抗体。切除不能な局所進行の非小細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法後の維持療法の適応に対して現在、体重当たりの用量を2週間間隔で投与しているが、今回1500mgの固定用量を4週間間隔で投与するように改める。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

スパイクバックス筋注(エラソメラン、エラソメラン・イムエラソメラン、エラソメラン・ダベソメラン、アンデュソメラン、モデルナ・ジャパン):「SARS-CoV-2による感染症の予防」を効能・効果とする新用量医薬品。特例承認に係る品目。再審査期間は残余(2029年5月20日まで)。

新型コロナワクチン。今回、生後6カ月以上の全年齢層(6カ月以上6歳未満、6歳以上12歳未満、12歳以上18歳未満、18歳以上)で、▽2価:起源株/オミクロン株BA.4-5、▽1価:オミクロン株XBB.1.5――のスパイクバックスの初回免疫の用法用量を追加する。スパイクバックスのオミクロン株対応ワクチンは現在、追加免疫のみに使用できる。
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