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初のRSVに対する母子免疫ワクチンなど7製品承認へ Meiji Seikaのコロナワクチンも 薬食審部会が了承

公開日時 2023/11/28 04:51
厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会は11月27日、ファイザーのRSウイルスワクチン「アブリスボ筋注用」など新薬7製品を承認することを了承した。アブリスボは、新生児及び乳児のRSウイルス(RSV)による下気道疾患の予防のため、妊娠24~36週の妊婦に1回、筋肉内に接種して用いるもの。正式承認されると、国内初のRSVに対する母子免疫ワクチンとなる。また、承認が了承された品目にはMeiji Seika ファルマの新型コロナに対する次世代mRNAワクチン「コスタイベ筋注用」も含まれる。

報告品目は1品目で、第一三共の新型コロナワクチン「ダイチロナ筋注」について、オミクロン株XBB.1.5対応1価ワクチンを製造可能とすることが報告された。厚労省は第一三共との間で、薬事承認を条件に、XBB.1.5対応1価ワクチンを140万回分購入することで合意している。

正式承認は通常、12月になる。ただ、同省は部会後の記者説明会で、「準備が整い次第、可能なところから承認手続きを取る」と話しており、新型コロナワクチンは他の製品よりも早く正式承認される可能性がある。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
フェトロージャ点滴静注用1g(セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩水和物、塩野義製薬):「セフィデロコルに感性の大腸菌、シトロバクター属、肺炎桿菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア・マルセスセンス、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、緑膿菌、バークホルデリア属、ステノトロホモナス・マルトフィリア、アシネトバクター属(ただし、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌株に限る)による各種感染症」を効能・効果する新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

セファロスポリン系抗菌薬の改良により創製されたシデロフォアセファロスポリン系抗菌薬で、このクラスに分類される薬剤は同剤のみ。ペニシリン結合タンパク質(PBP3)に結合してグラム陰性菌の細胞壁合成を阻害することにより、抗菌活性を示す。

用法・用量は、「通常、成人には、セフィデロコルとして1回2gを8時間ごとに3時間かけて点滴静注する。なお、腎機能に応じて適宜増減する」。

ビンゼレックス皮下注160mgシリンジ、同皮下注160mgオートインジェクター(ビメキズマブ(遺伝子組換え)、ユーシービージャパン):「既存治療で効果不十分な乾癬性関節炎、強直性脊椎炎及びX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2030年1月19日まで)。

炎症性サイトカインのIL-17AとIL-17Fを選択的に阻害するヒト化モノクローナルIgG1抗体。今回追加する適応の用法・用量は、いずれも「1回160mgを4週間隔で皮下注射」となる。

乾癬性関節炎(PsA)は重度の慢性かつ全身性の炎症疾患。症状は関節の痛みや腫れのほか、皮疹、手や足の指が腫れる指趾炎、腱や靭帯が骨に付着する部分に生じる腱付着部炎などがある。

強直性脊椎炎(AS)とX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)は、体軸性脊椎関節炎(axSpA)に分類される。ASはX線基準を満たす体軸性脊椎関節炎(r-axSpA)とも呼ばれる。どちらも慢性の自己免疫による炎症性疾患で、仙腸関節の構造的障害を示す確定的なX線所見が認められるとAS、認められない場合はnr-axSpA となる。axSpAは、主に脊椎や骨盤、仙腸関節の靭帯付着部に炎症が生じ、痛みを伴う。

イブグリース皮下注250mgシリンジ、同皮下注250mgオートインジェクター(レブリキズマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー):「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

IL-13に対して高親和性に結合するIgG4 モノクローナル抗体。IL-13と結合し、IL-4Rα及びIL-13Rα1から構成されるIL-13受容体複合体を介したIL-13シグナル伝達を阻害する。サイトカインであるIL-13はアトピー性皮膚炎において重要で、皮膚の2型炎症を引き起こし、皮膚バリア障害、痒み、皮膚の肥厚化および感染を引き起こすとされている。

用法・用量は、「通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、レブリキズマブ(遺伝子組換え)として初回及び2週後に1回500mg、4週以降、1回250mgを2週間隔で皮下投与する。なお、患者の状態に応じて、4週以降、1回250mgを4週間隔で皮下投与することができる」。

アブリスボ筋注用(組換えRSウイルスワクチン、ファイザー):「妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

組換え2価融合前Fタンパク質抗原含有RSウイルスワクチン。本剤は、妊婦を接種対象とし、RSウイルス(RSV)に対する抗体応答を誘導する。妊婦において産生された中和抗体は移行抗体として、新生児及び乳児のRSVによる下気道疾患の予防に寄与する。新生児及び乳児におけるRSVによる下気道疾患の予防を目的とした初のワクチンであり、母子免疫を目的としたワクチンとしても初となる。

用法・用量は、「抗原製剤を専用溶解用液全量で溶解後、妊娠24~36週の妊婦に、1回0.5mLを筋肉内に接種する」。

RSVは乳児及び高齢者の呼吸器感染症の主な原因で、年長児や非高齢者成人においては感冒様症状のみで自然軽快するが、生後数カ月までの乳児に感染した場合には気管支炎や肺炎などの重症感染症を引き起こすことがある。日本では、毎年約12万~14万人の2歳未満の乳幼児がRSV感染症と診断され、約4分の1が入院を必要とすると推定されている。

なお、RSV感染による重篤な下気道疾患の発症を抑制する医薬品としてパリビズマブが承認されているが、投与対象者が早産児や先天性心疾患、免疫不全症等のRSV感染症に罹患するリスクが高い新生児及び乳幼児に限定されている。

コスタイベ筋注用(コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン、Meiji Seika ファルマ):「SARS-CoV-2 による感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

新型コロナに対するmRNAワクチン。開発コードはARCT-154。レプリコンワクチンと呼ばれるもので、接種後に抗原タンパクをコードするmRNAが細胞内で複製され、持続的に抗原タンパクがつくられる。接種量が少なく、ワクチンの効果が長く持続することが期待されている。

コスタイベは起源株を用いたワクチンで、成人の初回免疫と追加免疫に用いる。Meiji Seikaファルマの親会社の明治ホールディングスは、起源株を用いたワクチンであることから今回は承認取得後も上市せず、起源株とオミクロン株BA.4-5系統による2価ワクチンの開発を進める方針を示している。なお、コスタイベは23年10月時点で海外で承認されていない。

▽①ターゼナカプセル0.1mg、②同カプセル0.25mg、③同カプセル1mg(タラゾパリブトシル酸塩、ファイザー):①と②は「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん」、②と③は「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

DNA修復で重要な役割を果たしているPARP1とPARP2の阻害薬。PARPとDNAの複合体の解離を阻害することにより、DNA複製の過程で二本鎖切断を生じさせる。BRCA遺伝子の変異等の相同組換え修復関連遺伝子の変異等により、相同組換え修復機能を欠損した腫瘍細胞では、本薬の投与により生じた二本鎖切断が修復されずに蓄積し、細胞死が誘導されることで腫瘍の増殖が抑制されると考えられている。

用法・用量は、去勢抵抗性前立腺がんに対しては、「エンザルタミドとの併用において、通常、成人にはタラゾパリブとして1日1回0.5mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。乳がんに対しては「通常、成人にはタラゾパリブとして1日1回1mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」となる。

乳がんのうち約3~5%(約2830~4720人)でBRCA遺伝子変異が認められるとの報告がある。

レブロジル皮下注用25mg、同皮下注用75mg(ルスパテルセプト(遺伝子組換え)、ブリストル マイヤーズ スクイブ):「骨髄異形成症候群に伴う貧血」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

トランスフォーミング増殖因子-β(TGF‒β)阻害薬。TGF-βスーパーファミリーと結合し、アクチビン受容体を介した下流のシグナル伝達経路を阻害することで、造血幹細胞から赤血球への分化過程の後期段階における分化を促進し、成熟した赤血球数の増加を誘導すると考えられている。

用法・用量は、「通常、成人にはルスパテルセプト(遺伝子組換え)として1回1.0mg/kgを3週間間隔で皮下投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1回1.75mg/kgを超えないこと」。

本剤の投与対象である低リスク骨髄異形成症候群(MDS)患者では、貧血等の血球減少症への対応が主たる治療目標となっており、治療選択肢として赤血球輸血やダルベポエチンアルファなどがある。MDSの疾患の経過とともに約80~90%の患者で貧血を発症する。貧血を呈するMDS患者の多くは、正常な赤血球の循環量を確保するために定期的に輸血が必要となる。しかし、頻繁な輸血によって鉄過剰症、輸血反応、輸血血液からの感染など多くのリスクにさらされ、輸血の負荷が高くなると低リスクMDS患者の生存率を低下させることが報告されている。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

ダイチロナ筋注(コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン、第一三共):「SARS-CoV-2 による感染症の予防」を効能・効果とする新効能・新用量・その他の医薬品。再審査期間は残余(2031年8月1日まで)。

新型コロナに対する国産初のmRNAワクチン。起源株を用いたワクチンとして承認されていたが、今回、オミクロン株XBB.1.5対応1価ワクチンを製造可能とすることが部会に報告された。オミクロン株XBB.1.5対応1価ワクチンは12歳以上の追加免疫に用いるもの。前回のSARS-CoV-2ワクチンの接種から少なくとも3カ月経過した後に接種できる内容で薬事承認される。
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