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NAVIGATOR試験 ナテグリニド投与で糖尿病の新規発症、心血管イベントの発症抑制できず

公開日時 2010/03/16 08:50

耐糖能異常患者に、血糖降下薬のナテグリニドを投与しても、糖尿病の新規発症、心血管イベントの発症を抑制することができないことが分かった。Duke University Medical CenterのRobert M.Califf氏が3月14日の米国心臓学会議(ACC.10)のLate-Breaking Clinical Trialsの中で、「NAVIGATOR」試験の結果を報告し、明らかにした。

(14日 米国・アトランタ発 望月英梨)


試験は、ARBのバルサルタンと経口血糖降下薬のナテグリニドの2剤の有効性を同時に検討する2×2factorialというデザインで実施された。対象は、心血管疾患のリスクがある、または既往歴がある耐糖能異常患者(IGT)で、生活習慣改善を行った上で、バルサルタンまたはナテグリニドを投与することで、糖尿病の新規発症と、心血管イベントの発症を抑制できるか検討することを目的に実施された。


40カ国、806施設で実施され、登録された9306人を▽バルサルタン160mg/日+ナテグリニド60mg×3回/日群2316人▽ナテグリニド60mg×3回/日+プラセボ群2329人▽バルサルタン160mg/日+プラセボ群2315人▽プラセボ+プラセボ群2346人――に分け、治療効果を比較した。評価項目は、▽糖尿病の新規発症▽冠動脈疾患発症のコア複合エンドポイント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、心不全による入院)▽冠動脈疾患発症の複合エンドポイント(上記+再環流療法、不安定狭心症による入院)――を据えた。平均追跡期間は5年間。


その結果、糖尿病の新規発症率は、ナテグリニド投与群で36%、プラセボ群で34%で両群間に有意差はみられなかったものの、ナテグリニド群でむしろ増加する傾向となった(ハザード比:1.07(95%CI:1.00~1.15)、P値=0.05)。なお、空腹時血糖値はナテグリニド群で減少した(P値=0.03)ものの、食後2時間血糖値はむしろプラセボ群で有意に低い結果となった(P値<0.001)。体重やウエスト周囲径についてもプラセボ群で有意に少なかった。


また、冠動脈疾患のコア複合エンドポイントの発症率は、ナテグリニド投与群で7.9%、プラセボ群で8.3%で有意差はみられなかった(ハザード比:0.94(95%CI:0.82~1.09)、P値=0.43)。同様に、冠動脈疾患の複合エンドポイントの発症率は、ナテグリニド投与群で14.2%、プラセボ群で15.2%で有意差はみられなかった(ハザード比:0.93(95%CI:0.83~1.03)、P値=0.16)。


一方、安全性については、低血糖をナテグリニド投与群で911例(19.6%)発現したのに対し、プラセボ群では527例(11.3%)で、ナテグリニド投与群で有意に多い結果となった(P値<0.001)。


結果を報告したCaliff氏は、「IGTで、冠動脈疾患の既往や発症リスクが高い患者に、生活習慣の改善に加え、ナテグリニドを投与しても糖尿病の新規発症、冠動脈疾患の発症を抑制することはできなかった」と結論づけた。なお、同試験の結果は同日付の「The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE」のオンライン版に掲載された。

 
 
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