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【日本高血圧学会リポート】Case-J Extension試験 ハイリスク高血圧患者へのカンデサルタン投与 糖尿病新規発症を有意に抑制 

公開日時 2010/10/20 06:07

ハイリスク高血圧患者に対するアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)・カンデサルタン投与は糖尿病新規発症を有意に抑制することが分かった。京都大大学院医学研究科EBM研究センターの上嶋健治准教授が「Case-J Extension」試験の結果をもとに日本高血圧学会の「JSH2010 TOP10」のセッションで報告した。


Case-J(Candesartan Antihypertensive Survival Evaluation in Japan)試験は日本人ハイリスク高血圧患者4728例を対象に国内で頻用されている降圧薬であるARBのカンデサルタンとカルシウム拮抗薬(CCB)のアムロジピンの予後に与える効果を2001年9月~2005年12月にかけて平均3.2年追跡観察して比較した大規模臨床研究。


Case-J Extension試験は、Case-J試験対象者のうち2232例を対象に2008年12月まで、さらに3年間、合計6年間の経過観察を行ったもので追跡率97.9%。対象患者は重症高血圧症(血圧値180/110mmHg以上)、2型糖尿病、脳血管障害(脳出血、脳梗塞、一過性脳虚血発作の既往)、心疾患(左室肥大、狭心症、心筋梗塞)、腎障害(蛋白尿、血清クレアチニン値1.3mg/dl以上)、血管障害(動脈硬化性末梢動脈閉塞症)のいずれかを1つ以上有する患者。


主要評価項目は突然死、脳血管障害(脳卒中、一過性脳虚血発作)、心疾患(急性心筋梗塞、心不全、狭心症)、腎障害(血清クレアチニン値倍化、血清クレアチニン値4.0mg/dl 、末期腎不全)、血管障害(解離性大動脈瘤、動脈硬化性末梢動脈閉塞症)。副次評価項目は全死亡、全心血管死亡、新規糖尿病発症。


Case-J Extension試験2232例の内訳は、カンデサルタン群1140例、アムロジピン群1092例。両群のCase-J試験登録時の収縮期血圧はカンデサルタン群162.6±14.1mmHg、アムロジピン群163.4±13.9mmHgであり、その他のBMIや年齢、各基礎疾患の有病率なども含め、両群間の背景因子に有意差はなかった。


Case-J試験も含めた6年間後の結果では、血圧値はカンデサルタン群133.9±12.0/75.7±9.4mmHg、アムロジピン群134.1±11.7/75.9±8.8mmHgで両群とも長期間にわたり良好な血圧管理が行われ、降圧レベルで群間で有意差はなく、心血管系イベント発症率でもカンデサルタン群15.5/1000人・年、アムロジピン群16.3/1000人・年(ハザード比0.95、95%CI 0.77-1.18、 p=0.650)、その他の副次評価項目の全死亡、心血管死亡も含め、両群間で有意差はなかった。


一方、糖尿病新規発症率はカンデサルタン群9.5/1000人・年、アムロジピン群13.3/1000人・年(ハザード比0.71、95%CI 0.51-1.00、 p<0.0495)となり、糖尿病の新規発症はカンデサルタン群で有意に抑制された。Case-J試験の結果と同様の傾向が長期観察でも確認されたとした。 上嶋氏は「Case-JとCase-J Extentionの結果は基本的に同じものであり、長期の経過観察により、それらの結果はより確認されたものになった」との見解を表明した。
 

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