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調剤報酬 調剤後のフォローアップで評価新設 対物から対人へ転換促す

公開日時 2020/02/07 13:40
“対物”から“対人”業務への構造転換が焦点となっていた調剤報酬改定。調剤後のフォローアップの評価として、薬剤服用歴管理指導料に「調剤後薬剤管理指導加算」(30点)を新設するなど、対人業務を拡充した。高齢化が進み、複数の医療機関を受診する患者も増加するなかで、地域包括ケアシステム時代の薬剤師像として、調剤時だけでなく調剤後まで含めたフォローアップなどを行う薬剤師像を打ち出す内容となった。一方で、調剤料(内服)については、「1~7日分」を28点と一律にし、点数による制度設計を改める。医薬品については、後発品80%目標達成時期が9月に迫るなかで、バイオシミラーの導入について「バイオ後続品導入初期加算」(150点、月1回)を新設するほか、後発医薬品調剤体制加算や一般名処方加算などを見直す。

高齢化が進み、医療・介護の現場が地域包括ケアシステム構築へと向かうなかで、20年度改定では、地域包括ケアシステム時代の薬剤師像として、調剤後のフォローアップや、重複投薬への取り組みなどを打ち出した。

新設される「薬剤服用歴管理指導料 調剤後薬剤管理指導加算」(30点、月1回まで)は、“調剤後のフォローアップ”についての評価。2019年12月に公布された改正医薬品医療機器等法(改正薬機法)では、「薬剤師が、調剤時に限らず、必要に応じて患者の薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行う」ことも義務化されていた。具体的には、地域支援体制加算を届出ている薬局において、インスリン製剤の新規処方や切り替え時に、患者や医療機関の求めに応じ、患者の同意を得て調剤後も電話などで服薬状況、副作用の有無などを患者に確認し、必要な薬学管理・指導を行うとともに医療機関に必要な情報を文書などで提供することで算定できる。

高齢化が進み、複数の疾患を抱えた患者が複数の医療機関を受診することが増加するなかで、重複投薬が課題となるなかで、「服用薬剤調整支援料2」(100点、3月に1回まで)を新設する。複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処方されたものについて患者・患者家族の求めに応じて、服用薬剤を一元的に把握し、処方変更を提案した場合に算定できる。いわゆる“プロセス”を評価する点数となる。

このほか、喘息や慢性閉そく性肺疾患(COPD)患者に対し、医療機関の求めに応じ、患者の同意を得たうえで吸入薬の服薬指導を行った場合の評価として、「薬剤副両歴管理指導料 吸入薬指導加算」(30点、3月に1回まで)を新設した。

◎「地域支援体制加算」を3点引上げ 多職種連携の会議参加を要件化

2018年度改定で、薬局のかかりつけ機能を評価する点数として新設された「地域支援体制加算」は、35点から38点に引き上げるとともに、要件を見直した。同加算では、「地域医療に貢献する体制を有することを示す実績」を求めている。この実績として、調剤基本料1以外を算定する薬局に対し、夜間・休日等の対応や麻薬指導管理加算などの8要件が必要だった。特に夜間や麻薬の実績クリアの難しさがあり、日本保険薬局協会(NPhA)が実態に即した要件の緩和を訴えていた。

20年度改定では、調剤基本料1を算定する薬局に対しても実績を求める。「在宅患者薬剤管理の実績」12回以上、「服薬情報等の文書での提供」12回以上、「薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に1回以上出席」を求めた。一方で、調剤基本料1以外を算定する薬局の実績要件としては、「麻薬管理指導加算の実績」から「麻薬の調剤実績」となり、ハードルが引き下がった。ただ、新たに「薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に5回以上出席」という、調剤基本料1を算定する薬局よりも高いハードルが新たに要件に加わった格好だ。

このほか、かかりつけ薬剤師指導料を73点から76点に、かかりつけ薬剤師包括管理料を281点から291点に引上げた。施設基準としては、「患者とのやり取りが他の患者に聞こえないようパーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど、患者のプライバシーに配慮している」ことを追加する。

◎調剤料 処方日数に応じた点数設計を見直し 8~15日は引下げ

一方で、対物業務の象徴的な点数である調剤料については見直した。これまで15日処方まで処方日数に応じて点数が引きあがっていたが、「1~7日分」(28点)、「8~14日分」(55点)、「15~21日分」(64点)、「22~30日分」(77点)、「31日分~」(86点)と階段状の設計に見直す。8~14日の処方では、平均61点(18年度実績)だったことから、影響を受けることとなりそうだ。

◎調剤基本料3 調剤チェーン引下げは処方箋回数3万5000回超に拡大


調剤基本料については、処方箋回数と集中率による引下げ範囲を拡大する。調剤基本料2(26点)では処方箋受付回数2000回、85%超とされていたが、「処方箋受付回数が1800~2000回で、集中率が95%超」に拡大する。また、大手調剤チェーンを対象とした「調剤基本料3」は、処方箋受付回数が月4万回以上で集中率85%以上(調剤基本料3-イ、21点)を対象とした点数に、「受付回数月3万5000回~4万回で、集中率95%超」へ拡大する。

敷地内薬局を対象とした特別調剤基本料は現行の11点から9点に引下げ、これまでの病院だけでなく、診療所も含めた医療機関の敷地内薬局に対象を拡大する。また、時間外・夜間対応や麻薬管理指導加算など、かかりつけ機能が年間100回未満の場合には、調剤基本料を50%減算する措置も盛り込んだ。

調剤料の引下げや、調剤基本料の引下げ範囲の見直しで、薬局経営への大打撃も懸念されていたが、すでに大規模を中心に薬局経営者からは安堵の声が漏れており、影響は小幅にとどまりそうだ。

◎バイオシミラー使用促進で「バイオ後続品導入初期加算」を新設


医薬品関連では、後発品80%目標達成時期が迫り、バイオシミラーの使用促進も重要になるなかで、「バイオ後続品導入初期加算」(150点、月1回)を新設する。バイオシミラーについて患者情報を提供し、患者の同意を得てバイオシミラーを導入した場合に算定できる。

◎後発品調剤体制加算・使用体制加算は85%以上で引上げ


このほか、後発品使用促進へのインセンティブを見直す。薬局側の後発医薬品調剤体制加算1(75%以上)を18点から15点に引下げ、後発医薬品調剤体制加算3(85%以上)を26点から28点に引き上げる。後発品の調剤数量割合が著しく低い薬局での減算措置(2点減算)については、後発品比率が現行の2割以下から4割以下へと拡大する。

一方で、医療機関については後発医薬品使用体制加算1(85%以上)を45点から47点に、後発医薬品使用体制加算2(80%以上)を40点から42点に、後発医薬品使用体制加算3(70%以上)を35点から37点に引き上げる。後発医薬品使用体制加算4(60%以上)は廃止する。一般名処方加算は、一般名処方加算1を6点から7点に、一般名処方加算2を4点から5点にそれぞれ引き上げる。

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