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ロート製薬 新型コロナ重症肺炎に他家間葉系幹細胞用いた再生医療 企業治験を8月にもスタート

公開日時 2020/06/24 04:52
ロート製薬は6月23日、新型コロナウイルス感染症の重症肺炎を対象とした他家間葉系幹細胞を用いた再生医療の企業治験を8月にも開始すると発表した。新型コロナの重症化には、サイトカインが制御不能となって放出され続けるサイトカインストームが関係されていると指摘されており、幹細胞の投与により、これを抑制することで症状を改善することが期待される。まずは、6例を予定症例数として、安全性を主要評価項目に据えた治験に着手する考えで、今月中にも治験届を提出する見通しだ。ロート製薬の山田邦雄代表取締役会長は、「将来多くの皆様方にお届けできるように安定した品質で大量に生産できることを目指し、自動培養装置のラインの研究も進め、実用化している」と述べ、生産にも力を入れていることを強調した。

治験に用いる「ADR-001」は、人の脂肪から培養した他家間葉系幹細胞を構成成分とする細胞製剤。現在肝硬変患者を対象に臨床試験を実施中で、すでに第1相臨床試験を終え、安全性データを集積しているという。原材料の調達から生産を国内で行う。重症の新型コロナ患者に対し、国産の製剤を用いた治験は初めてとなる。

試験は、ADR-001の安全性を評価するととともに、初期の薬効評価を行うことを目的に据える単群、非無作為化、非盲検試験。対象は、SARS-CoV-2感染に起因する重症肺炎患者で、「人工呼吸器を装着している患者、もしくは急性呼吸不全、高流量酸素吸入をしても十分な血中酸素濃度が得られない患者」とした。安全性に配慮し、深部静脈血栓症患者など、血栓リスクは除外する。1週間に1回の静脈内点滴投与を4週間続け、さらに2か月間の観察期間を設ける。主要評価項目は安全性とし、副次評価項目には、28日間生存率や人工呼吸器管理日数、ICUの在日日数、血液酸素化の指標、炎症マーカーなどを据え、有効性も検討する。試験の実施予定期間は20年8月から21年12月まで。

新型コロナウイルスに対する間葉系細胞の有用性を検討する臨床試験は世界各地で実施されており、米国では大規模臨床試験が開始されるなど、注目が集まっている。また、重症化に関連するサイトカインストームの抑制に着目して、トシリズマブ(製品名:アクテムラ、中外製薬)の治験も実施されている。

同日会見に臨んだ大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科の澤芳樹教授は、現在の重症の新型コロナ患者に対するECMOなどの治療は自然治癒をサポートするにすぎないとして、「根本的な治療が必要だ」と述べ、治療法確立の必要性を強調した。


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