徳島県は10月11日、長生堂製薬に対し、医薬品医療機器等法に基づき10月12日から最大31日間（本社第2工場は29日間、川内工場は18日間）の業務停止を命じた。同社製造所で実施した安定性モニタリングの結果が規格を逸脱していると知りながら、回収や製造所に対する必要な措置等を講じなかった。さらに、承認書と異なる製造方法で製造がおこなわれたことに加えて、虚偽の製造指図書、製造記録、出納記録および試験記録書を作成し、製造管理の結果を適切に品質部門に報告しなかったことが問題視され、処分がなされた。

徳島県は長生堂製薬の行政処分に際し、同社への一斉立入検査の結果を公表した。検査は、2021年5月24日から土日祝を除く6月11日までと6月15日に行われた。検査品目数は574品目で、内訳は本社236品目、本社第２工場271品目、川内工場67品目。うち不備品目数は233品目（内訳：本社144品目、本社第２工場64品目、川内工場25品目）だった。

一斉立入検査によって明らかになった不備は、「承認書と異なる製造等を行っていた品目」が 44品目（うち4品目は工場間で重複）。「記録上の誤記載など軽微な不備が認められた品目」が 189品目あった。製品への影響について徳島県は、「不備が認められた233品目は、いずれも承認書に定められた製品規格に適合しており、現時点で健康被害の報告はない」としている。

◎違反内容「安定性モニタリング結果の規格逸脱を知りながら必要な措置等を講じなかった」

徳島県は長生堂製薬の違反内容も公表した。製造販売業者として、「同社製造所で実施した安定性モニタリングの結果が規格を逸脱していると知りながら、回収や同社製造所に対する必要な措置等を講じなかったこと」と指摘。加えて、「品質保証責任者は，総括製造販売責任者に必要な報告をしなかった」、「総括製造販売責任者に対して品質に関する重要な情報を意図的に与えず、品質保証部門等を適切に管理監督させなかったこと」を明らかにした。

このほか「同社製造所で製造する同社が製造販売する医薬品について，承認書と製造実態等が異なるにもかかわらず，承認事項の変更等に係る承認取得又は届出の必要な薬事手続を行わなかったこと」や、「添加物の分量が承認事項と異なる医薬品を販売した」ことも発覚した。

◎虚偽の製造指図書、製造記録、出納記録および試験記録書を作成　品質部門に報告せず　

一方で、「虚偽の製造指図書，製造記録，出納記録及び試験記録書を作成し、製造管理の結果を適切に品質部門に報告しなかった」、「製造手順等について、製品の品質に大きな影響を及ぼす恐れのある変更時に必要な変更管理を行わず、必要なバリデーションも適切に実施しなかった」、「製造手順等からの逸脱が生じた場合の内容を記録せず、逸脱による製品の品質への影響も評価せず、所要の措置を講じなかった」ことを指摘している。

◎「業務改善」　是正措置・再発防止策に係る改善計画の策定・提出など3点命じる

徳島県はこうした違反内容を重視し、長生堂製薬に業務停止処分を課した。業務停止期間は本社および本社工場は10月12日～11月11日までの31日間。本社第二工場は10月12日～11月9日までの29日間。川内工場は10月12日～10月29日までの18日間。

このほか業務改善も命じた。業務改善は、①違反事項の原因究明及び改善、②法令遵守体制の抜本的改革、③是正措置及び再発防止策に係る改善計画の策定及び提出－の3点。なお、安全対策業務、製造設備の維持管理に係る業務、製造管理および品質管理の改善に係る業務については除外する。アゾセミド錠30mg「ＪＧ」など14品目は業務停止命令除外品目とした。



○業務停止命令除外品目（14品目）
・アゾセミド錠30mg「ＪＧ」
・アゾセミド錠60mg「ＪＧ」
・サラゾスルファピリジン腸溶錠250mg「ＣＨ」
・サラゾスルファピリジン腸溶錠250mg「日医工」
・サラゾスルファピリジン腸溶錠500mg「ＣＨ」
・サラゾスルファピリジン腸溶錠500mg「日医工」
・サラゾスルファピリジン腸溶錠500mg「武田テバ」
・セパミット－Ｒ細粒２％
・タチオン錠50mg
・タチオン錠100mg
・ノベルジン錠25mg
・ノベルジン錠50mg
・ノベルジン顆粒５％
・メラトベル顆粒小児用0.2％