【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

21年7~9月 売上1位にオプジーボ返り咲き、16年第4四半期以来 NSCLC1次治療などで伸長

公開日時 2021/11/17 04:52
IQVIAは11月16日、2021年第3四半期(7~9月)の製品売上1位が、がん免疫療法薬オプジーボになったと発表した。薬価ベースの売上は301億9900万円、前年同期比7.7%増だった。これまで四半期ベースの売上で首位にいた競合品キイトルーダは今回2位で、オプジーボはキイトルーダに6億円強の差をつけた。オプジーボは非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療での新規患者の獲得が伸び、食道がん2次治療でも新患シェアは堅調に推移しており、首位逆転につながったとみられる。

文末の「関連ファイル」に、国内市場の20年第1四半期以降の四半期ごとの売上推移及び伸び率と、売上上位10製品の売上推移及び伸び率の資料を掲載しました。有料会員のみダウンロードできます。14日間の無料トライアルはこちら

IQVIAのデータは、医薬品卸と医療機関との間で発生する売上データがソースとなっている。このため、国の一括買い上げで配布されているコミナティなどの新型コロナワクチンや新型コロナ治療薬ロナプリーブは、IQVIAのデータに反映されない。

◎オプジーボ NSCLC1次治療の新患シェアが25%に

オプジーボが全製品売上で1位となるのは、16年第4四半期(10~12月)以来となる。

オプジーボがキイトルーダに差をつけられた最大の理由は、NSCLCの1次治療の適応追加で後れをとったためだが、オプジーボは20年11月にNSCLCの1次治療の適応を取得した。製造販売元の小野薬品によると、調査対象が167~245施設と限定的なデータであることに留意が必要だが、NSCLC1次治療の市場におけるオプジーボの新規患者の獲得シェアは20年12月5%、21年2月13%、5月17%、8月25%――と推移し、月を追うごとに存在感を見せている。食道がん2次治療の新患シェアでも、21年3月以降は約67~68%で推移しており、堅調な状況にある。

オプジーボは8月1日に、類薬のテセントリクに市場拡大再算定が適用されたことに伴い、薬価が11.5%下げられた。それでも、IQVIAによる四半期ベースのオプジーボの売上は、21年第1四半期(1~3月)287億円、第2四半期(4~6月)306億円、第3四半期(7~9月)301億円――と推移した。第3四半期の売上は第2四半期と比べて1.6%減にとどまっており、新患獲得による数量増でカバーしたといえそうだ。

◎オプジーボ、タケキャブ、タグリッソ コロナ前の19年同期比で2ケタ成長

21年第3四半期の製品売上上位10製品は、1位はオプジーボ(301億9900万円、前年同期比7.7%増、前年同期順位2位)、2位はキイトルーダ(295億4300万円、2.8%増、1位)、3位は抗潰瘍薬タケキャブ(275億5000万円、12.2%増、4位)、4位は抗がん剤タグリッソ(258億5900万円、11.6%増、6位)、5位は抗凝固薬リクシアナ(255億8500万円、20.2%増、8位)、6位は抗がん剤アバスチン(254億8300万円、2.4%増、3位)、7位は抗潰瘍薬ネキシウム(244億8100万円、5.8%増、7位)、8位は水利尿薬サムスカ(220億800万円、16.2%増、10位圏外)、9位は加齢黄斑変性症治療薬アイリーア(214億9900万円、10.2%増、10位圏外)、10位は降圧剤アジルバ(212億6000万円、8.0%増、9位)――と全製品が増収となった。

そこで上位10製品について、コロナ前の19年第3四半期と比較すると、キイトルーダは20.8%減、アバスチンは20.6%減と2製品が減収となる一方、オプジーボは12.0%増、タケキャブは29.3%増、タグリッソは15.3%増――と3製品で2ケタ成長していた。なお、アイリーアは19年第3四半期の売上が非開示のため、伸び率は不明。

◎病院市場 3四半期連続のプラス成長 コロナ前と比べても1.3%増

21年第3四半期の国内医療用医薬品市場は2兆6494億円(前年同期比4.2%増)だった。

コロナ禍にあった20年以降の四半期ごとの市場成長率をみると、20年第1四半期0.2%増→第2四半期2.5%減→第3四半期5.1%減→第4四半期1.9%減→21年第1四半期1.0%減、第2四半期2.5%増――と推移しており、国内市場は20年第3四半期を底にV字回復しているといえる。ただ、21年第3四半期の市場規模をコロナ前の19年の第3四半期と比較すると1.1%減となり、コロナ前の水準までには戻っていない。

21年第3四半期を市場別にみると、100床以上の病院市場は1兆2375億円(6.4%増)、99床以下の開業医市場は4968億円(1.0%減)、薬局その他市場は9061億円(4.2%増)――だった。

病院市場は21年第1四半期から3四半期連続のプラス成長となった。19年の同時期と比較しても1.3%増となり、病院市場はコロナ前の水準に戻ったといえそうだ。

◎開業医市場は再びマイナス成長

開業医市場は21年第2四半期に0.6%増とプラス成長に転じたものの、第3四半期は再びマイナス成長となった。19年の同時期と比較すると7.0%減となり、厳しい状況が続いている。薬局その他市場は21年第2四半期に続くプラス成長で、19年の同時期と比べて1.0%減となった。

◎上位10薬効 診断用検査試薬が急成長

売上規模による上位10薬効を見てみる。1~6位は前年同期と変わらず、1位は抗腫瘍薬(4201億円、13.3%増)、2位は糖尿病薬(1576億円、5.7%増)、3位は免疫抑制剤(1315億円、11.3%増)、4位は抗血栓生薬(1069億円、3.7%増)、5位は制酸剤、鼓腸及び潰瘍治療薬(884億円、3.4%増)、6位は眼科用剤(837億円、0.2%増)――となった。

このうち、抗腫瘍薬市場で薬効内トップ製品がキイトルーダからオプジーボに入れ替わった。オプジーボが薬効内トップ製品となるのは18年第1四半期以来となる。

7位は「その他の中枢神経系用剤」(740億円、7.7%増)で、前年同期は9位だった。特に薬効内トップ売上のトランスサイレチン型心アミロイドーシス治療薬ビンダケルが65.1%増と好調だった。8位は診断用検査試薬(728億円、39.4%増)で、上位10薬効中で最大の伸び率を示した。新型コロナの感染拡大で検査試薬が伸びたことが理由となる。9位はレニン-アンジオテンシン系作用薬(682億円、4.4%減)で、上位10薬効中で唯一のマイナス成長となった。

◎「その他の治療を目的とする薬剤」が初のトップ10入り ロケルマやノベルジンがけん引

10位は「その他の治療を目的とする薬剤」(647億円、6.2%増)となった。IQVIAによると、この薬効がトップ10入りするのは、06年の市場データの発表以来、初めてとなる。

20年5月発売の高カリウム血症改善薬ロケルマ(前年同期比454%増)が、この薬効の売上増加分の約4割を占め、市場をけん引した。さらに薬効内トップ売上のウィルソン病治療薬ノベルジンは2ケタ成長したほか、高リン血症改善薬リオナ、漢方製剤も堅調に伸び、この薬効のトップ10入りにつながった。
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(6)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

記事はありません。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー