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NPhA調査 後発品供給不安で「実際の流通状況と製薬企業の情報との乖離」6割が指摘 適時的確性に課題

公開日時 2022/09/09 04:51
後発品の供給不安が続くなかで、実際の流通状況と製薬企業からの情報との間に乖離を指摘する管理薬剤師の声が約6割にのぼることがわかった。日本保険薬局協会(NPhA)が9月8日の記者会見に示したWeb調査結果から明らかになった。後発品の流通状況について適時・的確に入手できているとの回答は2割にとどまった。流通問題検討委員会の畔上和也氏は、予定通り医薬品が納入されなかったために患者に手渡せないなどの事態が起きていると説明。「我々だけではなく、その先には患者がいる。流通情報が乖離しないよう、メーカー、医薬品卸により一層注力、努力いただきたい」と呼びかけた。

調査は、日本保険薬局協会(NPhA)の流通問題・OTC検討委員会・薬局機能創造委員会が会員薬局の管理薬剤師を対象にWebで実施した。アンケート実施期間は7月27日~8月24日までで、3548薬局から回答を得た。後発品の供給不安をめぐっては、ジェネリックメーカーが増産などの対応を取っているものの、医療現場からは供給不足を指摘する声が依然としてあがっている。過去の取引実績などを踏まえた対応による在庫の偏在や、情報提供不足などの課題も指摘されている。

◎「後発品の流通状況が適時・的確に入手できない」は5割超

調査では、後発品の流通状況について適時的確に入手できているか尋ねたところ、「全く思わない」が13.4%、「あまり思わない」が39.6%で5割超を占めた。「とても思う」は1.6%、「やや思う」が19.1%、「どちらとも言えない」は26.3%だった。

実際の後発品の流通状況と製薬企業からの情報との乖離があるか尋ねたところ、「とてもある」が18.4%、「ややある」が37.2%で、情報に乖離があるとの回答が約6割を占めた。「どちらとも言えない」が30.6%、「あまりない」は12.8%、「全くない」は1.0%にとどまった。一方、実際の後発品の流通状況と医薬品卸の情報について、乖離が「とてもある」は9.1%、「ややある」は29.0%で、約4割だった。「どちらとも言えない」が35.5%、「あまりない」が24.6%、「全くない」が1.7%だった。

製薬企業からの流通情報の開示・提供が適時・的確かを尋ねたところ、「全く思わない」が18.4%、「あまり思わない」が37.1%で、あわせて6割を占めた。「どちらとも言えない」は23.1%、「やや思う」は18.5%、「とても思う」は2.8%だった。医薬品卸の情報提供については、「全く思わない」が11.4%、「あまり思わない」が30.0%、「どちらとも言えない」が23.6%、「やや思う」が28.3%、「とても思う」が6.7%だった。

◎「薬局規模で優先順位をつけないでほしい」、「メーカーが患者に説明しないことが問題」との声も

自由回答では、「どこに薬を配分するか卸の裁量で決まってしまうため、出荷調整がかかる前から定期的に購入していた医薬品まで全く入庫しなくなったりしている。薬局の規模などで優先順位をつけないでほしい」、「後発品以外の薬剤も出荷調整となっているなかで、購入実績がない薬局への納期がわからないと回答されることが多く、新規に受け付けた処方箋の薬剤が入手できないなどの問題がある」、「安定して同じメーカーの後発品が入ってこないため、毎回違うメーカーでお渡ししている。調剤過誤の原因にもなりそうで困っている」などの回答が寄せられた。

「流通の安定化はメーカーの義務であると認識している。何らかの罰則が必要ではないか。“納品できません”だけではなく、どういった対応が適切であるのか等、対応方法についてもメーカー、卸協力のうえ、最善の検討を行ったうえで、情報伝達してほしい」、「薬局が原因となっているものではないのだが、結果として患者からのクレームが薬局へと向かってしまっている。メーカーから患者への説明がないことが問題だ」など、製薬企業の姿勢を問う声もあがった。

◎畔上氏「メーカー側も卸に出荷して終わりではなく、店舗に届くまでサポートいただきたい」

畔上氏は、「卸やメーカーに流通状況を確認し、明日納品と聞いていても、実際にはその日に納品されない。過去実績に応じて納品されるため、タイムリーに納品されないこともある。医薬品卸のセンターには納品されているはずだが、偏在が起き、局所的に納品されないこともある。実際に現場では、患者さんにお渡しする予定の医薬品がお渡しできず、困っている」と説明。「卸は現場に近いので情報の精度は高いが、メーカー側も卸に出荷したから終わり、ではなく、きちんと店舗に届くまでサポートいただきたい」と話した。

なお、後発品の流通状況について22年1月時点と比較して尋ねたところ、「悪化している」は33.3%、「やや悪化している」が21.8%、「変わらない」が30.6%だった。「やや改善された」は14.2%、「改善された」は0.1%にとどまっており、依然として供給不安が続いている状況にあることも浮かび上がった。


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