日本新薬は11月10日、2022年度第2四半期決算を発表し、売上高は前年同期比0.6％減の711億3600万円、営業利益は12.1％減の191億6100万円の微減収・減益となったと発表した。当初、前年同期にFDAから受領した優先審査バウチャーを他社に売却（金額は非開示）した反動や、国内における最主力品の骨髄異形成症候群・急性骨髄性白血病治療薬ビダーザへの後発品参入を織り込み、一時的な業績の落ち込みを見込んでいた。ところが、米国におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィー（DMD）治療薬ビルテプソの力強い伸長などを踏まえ、10月26日に中間期業績予想を上方修正。さらに11月10日には通期業績予想を上方修正し、減収予想から一転、増収に浮上する見通しを示した。

◎ビルテプソ　118.2%増の68億5600万円　「下期も引き続き成長見込む」

22年度中間期の国産初の核酸医薬であるビルテプソの売上は、118.2%増の68億5600万円となり、期初予想の59億円を9億円余り上回った。販売国別に見ると、20年5月に発売した日本では6.7%増の20億9000万円となり、ほぼ期初予想通りだったのに対し、20年8月に発売した米国では303.1%増の47億6500万円となり、期初予想を10億円強上振れして着地した。中井亨代表取締役社長は米国での販売状況について「コロナ禍の受診抑制が収まって、製品の良さが医療機関の先生方や、患者さんにきちんと浸透してきたことを実感している。円安の効果ならびに投与患者数の推移は、期初計画を上回って推移しており、下期も引き続き成長を見込んでいる」と語った。

国内では、肺動脈性肺高血圧症治療薬ウプトラビが27.8%増の49億2100万円を売り上げ、期初予想の45億円を4億円余り上回った。一方、22年6月に3社の後発品が薬価収載されたビダーザは、0.9%増の91億3900万円を売り上げ、期初予想の78億円を上回った。「上期は想定よりも後発品の影響を受けなかったが、下期に入ると、後発品の浸透がますます広がっていく見通しは変わっていない」とした。

22年度通期業績予想については、売上高を1340億円から1410億円へ70億円引き上げた。
個別製品では、ビルテプソ米国売上を82億5000万円から102億円へ19億5000万円引き上げたほか、国内ウプトラビを98億円から103億円に5億円引き上げている。ビダーザも124億円から146億円に引き上げているが、前年同期実績（183億3800万円）との比較では約2割減の水準だ。

◎鉄欠乏性貧血治療剤モノヴァー「導入元と協議が進行中」

22年3月に承認を取得した鉄欠乏性貧血治療剤モノヴァーについては、22年5月、8月に続き11月も薬価収載を見送る。「導入元（デンマークのファーマコスモス社）との間で、どのような薬価で承認を取っていくのかという協議が進行中だ。しかるべきタイミングで薬価収載を進めていこうと考えている」とした。

【連結業績 （前年同期比）22年度予想（前期比）】
売上高　711億3600万円（0.6％減）1410億円（2.6％増）←修正前1340億円
営業利益　191億6100万円（12.1％減）300億円（8.9％減）←修正前270億円
親会社帰属純利益　152億2200万円（7.9％減）240億円（3.9％減）←修正前215億円

【国内主要製品売上高（前年同期実績）22年度予想、億円】
ビダーザ　91.39（90.59）146←修正前124
ビルテプソ　68.56（31.42）147←修正前130
日本　20.90（19.59）45←修正前47.50
米国　47.65（11.82）102←修正前82.50
ウプトラビ　49.21（38.51）103←修正前98
トラマール・ワントラム　29.97（34.44）55←修正前50
ガザイバ　26.18（26.16）54←修正前58
ザルティア　14.70（21.91）27←修正前23
シアリス　14.39（12.12）28.50←修正前26
アドシルカ　13.92（25.99）25←修正前25
デフォイテリオ　12.59（9.56）29←修正前23
エリザス　6.74（6.49）24←修正前24
共同販促収入　50.05（44.64）95←修正前95
工業所有権等収益　144.69（209.64）302←修正前298