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塩野義製薬・手代木社長 新型コロナ治療薬・ゾコーバ伸長に意欲「汗をかいて努力したい」

公開日時 2023/05/11 04:50
塩野義製薬の手代木功代表取締役会長兼社長CEOは5月10日、2022年度(23年3月期)決算会見に臨み、23年度に国内でCOVID-19関連製品(経口新型コロナ治療薬ゾコーバ、申請中の新型コロナワクチン)とインフルエンザファミリー(ゾフルーザ、ラピアクタ等)合わせて、573億円の売上を見込んでいるとことを明らかにした。また、23年度の上期には韓国、中国でゾコーバの承認を取得できる見通しを示した。両国でのゾコーバの売上を計上する平安塩野義/C&Oの23年度売上は460億円増(384.8%増)の580億円を見込む。

◎新型コロナ治療薬・ゾコーバ 22年度売上高は1047億円 ロングコビッドに推進

22年11月に国内で緊急承認を取得したゾコーバの22年度売上は1047億円だった。政府による200万人分の買い上げで1000億円を計上。23年3月末に一般流通が開始され、47億円が加わった。今後のゾコーバの国内販売方針について手代木社長は「経口剤の処方率が3剤(ラゲブリオ、パキロビッド、ゾコーバ)合わせて10%に満たない状況を鑑みると、もう少し私どもが汗をかいて、努力したい。特にロングコビッド(新型コロナ後遺症)については若い人を中心に私どもの今のところのデータでは早く飲んでもらうことで、確率は減るのではないかと思っており、そのあたりを推進していきたい」と語った。

一方、ゾフルーザの国内販売状況については、「やっと40億、50億という単位の売りが立ってきた。インフルエンザがそこまではやらなかった割には比較的堅調だった。今後、インフルエンザがどういうふうなってくるかによっては、重要な製品であることは変わらない」と述べた。インフルエンザファミリー全体の22年度売上は、第2四半期にゾフルーザ、ラピアクタについて22年度内に使用期限が切れる約53億円分の返品を計上したことで、差し引きマイナス11億円となった。

◎国内 ADHD治療薬インチュニブとビバンセが堅調

この他、国内主要製品では、ADHD治療薬インチュニブとビバンセが、各28億円増の192億円、6億円増の14億円と堅調だった一方、21年6月に後発品が参入したうつ病・疼痛治療薬のサインバルタが105億円減の54億円となった。インチュニブとビバンセについては、武田薬品とのライセンス契約が23年3月末で終了し、23年度から塩野義製薬の売上がなくなる。対価として23年度にADHD治療薬の移管に伴う一時金 250億円を計上する。

22年度のHIVフランチャイズのロイヤリティー収入は、前期に米ギリアド社とのドルテグラビル特許侵害訴訟の和解に伴う一時金500億円を受領した反動で3.2%減の1685億円となったが、手代木社長は「それがなければロイヤリティー収入の実の成長率は450億円の大きなプラスになっている。成長は23年度も継続する。今後も非常に強い成長ドライバーの一つである」と強調した。

◎22年度売上高 27.3%増の4266億8400万円 営業利益は35.1%増

22年度連結業績は売上高が前期比27.3%増の4266億8400万円、営業利益は35.1%増の1490億300万円と好決算だった。ViiV社からの配当金受領の前期からの期ずれ等の影響で、金融収益・費用が554億円増(347.0%増)の713億円と一時的に大幅に増加した結果、税引前利益は74.5%増、親会社所有者帰属当期利益は62.0%増に達した。

23年度の業績予想は、売上高が5.5%増の4500億円、営業利益が0.7%増の1500億円と増収増益を見込むが、税引前利益は12.6%減、親会社所有者帰属当期利益は16.2%減の減益となる。「ViiV社からの配当が22年度に非常に大きかったという部分が追いつき切れないためだが、ベースビジネスとしては23年度の売上利益は、かなり標準に近いと思っており、これからどう成長していくのか、6月1日に予定している中計のリビジョン(改訂)で説明したい」と語った。

【22年度連結業績 (前期比)23年度予想(前期比)】
売上高 4266億8400万円(27.3%増)4500億円(5.5%増)
営業利益 1490億300万円(35.1%増)1500億円(0.7%増)
税引前利益 2203億3200万円(74.5%増)1925億円(12.6%減)
親会社所有者帰属当期利益 1849億6500万円(62.0%増)1550億円(16.2%減)

【22年度国内主要製品売上高(前期実績)23年度予想、億円】
インチュニブ 192(164)―
ビバンセ 14(8)―
感染症薬 74(118)657 –注1
サインバルタ 54(159)42
オキシコンチン類 44(48)41
スインプロイク 34(27)49
アシテア 5(5)10
ムルプレタ 1(1)1
ピレスパ 25(38)19
その他 306(324)521 –注2

海外子会社/輸出 425(344)966
Shionogi Inc.(米国)154(138)136
平安塩野義/C&O 120(102)580
Shionogi B.V.(欧州)91(50)115

ロイヤルティ収入 1747(1813)1895
HIVフランチャイズ 1685(1740)1850
クレストール 13(12)―
その他 49(61)45

COVID-19関連 1047(―)― –注3

注1)感染症薬の構成製品:ゾフルーザ、ラピアクタ、ブライトポックFlu・Neo、フィニバックス、フルマリン、フロモックス、シオマリン、バンコマイシン、バクタ、フラジール、イソジン。23年度予測にはCOVID-19関連製品を含む。

注2)23年度予測の国内医療用医薬品の「その他」に武田薬品へADHD治療薬移管に伴う一時金は含む。

注3)22年度実績のCOVID-19関連製品:ゾコーバ、S-268019の売上収益。


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