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虎の門病院・門脇院長 合併症予防の目標値HbA1c7%未満で「マンジャロは非常に大きな役割果たす」

公開日時 2023/06/09 04:50
虎の門病院の門脇孝院長は6月8日、2型糖尿病治療薬・マンジャロ皮下注(一般名:チルゼパチド)のメディアセミナー(主催:日本イーライリリー、田辺三菱製薬)で講演し、合併症予防の目標値であるHbA1c7%未満の達成に向けて、「マンジャロは非常に大きな役割を果たす」との認識を示した。門脇氏は、多くの血糖降下薬が上市・使用されているにもかかわらず、目標HbA1c値が未達成の2型糖尿病患者が「半数以上いる」と指摘。社会環境因子(経済的弱者や社会的弱者など)やスティグマも2型糖尿病治療を難しくしていると強調した上で、治療薬の観点からはマンジャロが目標未達状態の解消に貢献することに期待感を示した。

同剤の最適患者像については、まず経口血糖降下薬やGLP-1受容体作動薬で効果不十分な患者を挙げた。そして、「治験のように血糖降下が良好で、かつ安全性も高いということが実臨床の中でも受け入れられた場合、もっと早い段階から使われることもある。特に肥満のある患者ではファーストチョイスで使われる局面もあると思っている」と述べた。

マンジャロは世界初のGIP/GLP-1受容体作動薬で、4月18日に発売した。GIP及びGLP-1はともに血糖管理に関与するインクレチンホルモンで、同剤はGIP受容体及びGLP-1受容体に対するアゴニスト作用を有する初の薬剤となる。膵β細胞のこれらの受容体と結合することでグルコース依存的にインスリン分泌を促進させることなどにより、血糖を低下させると考えられている。製造販売元は日本イーライリリーで、販売・流通は田辺三菱製薬が担い、情報提供活動は両社で展開している。

承認申請に用いた国内第3相臨床試験(SURPASS J-mono)は、食事運動療法及び運動療法のみ、またはチアゾリジン系薬剤を除く経口血糖降下薬の単独療法で血糖マネジメントが不十分な成人2型糖尿病の被験者636例を対象に実施した。チルゼパチド5mg(n=159)、10mg(n=158)、15mg(n=160)を週1回投与したときの、対照薬デュラグルチド0.75mg投与(n=159)に対する優越性を評価した。

主要評価項目のHbA1cのベースラインから投与52週時までの平均変化量は、チルゼパチド5mg群-2.4%、同10mg群-2.6%、同15mg群-2.8%、対照群-1.3%――で、全てのチルゼパチド群で対照群に対して統計学的に有意にHbA1c値を低下させた(p<0.001)。副次評価項目の体重のベースラインから投与52週時までの変化量はチルゼパチド5mg群-5.8kg、同10mg群-8.5kg、同15mg群-10.7kg、対照群-0.5kgだった。

安全性は、チルゼパチド群で比較的多く認められた有害事象は悪心、便秘、食欲減退、下痢、嘔吐、腹部不快感といった消化器系の有害事象で、チルゼパチド群は用量が高くなるほど発現割合が増加する傾向が認められた。日本イーライリリー研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部の今岡丈士氏(医師)はセミナーで、「ほとんどの有害事象は軽度から中等度であり、漸増期間中に多く認められた」と説明した。低血糖の発現割合は、血糖値54mg/dL未満となったのはチルゼパチド15mg群で2件あり、「重症低血糖の発現はどの群でも認められなかった」(今岡氏)としている。
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