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中医協 市場拡大再算定の共連れルール廃止に慎重論相次ぐ 「国民皆保険維持ときちんと向き合うべき」

公開日時 2023/07/27 04:52
中医協薬価専門部会は7月26日、市場拡大再算定をめぐり議論した。製薬業界が廃止を求める、薬理作用類似薬も類似品として再算定の対象となる、いわゆる“共連れルール”に焦点が当たった。診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、類似品の対象範囲などについて「議論すること自体は否定しない」と述べたが、「国民皆保険の維持という姿勢についてきちんと向き合うことが重要」と釘を刺した。市場拡大再算定は、“公的保険制度における薬剤費の適切な配分メカニズム”が制度趣旨とされており、趣旨を踏まえた議論の必要性を指摘する声が相次いだ。

◎再算定の制度趣旨は「公的保険制度における薬剤費の適切な配分メカニズムとして機能」

市場拡大再算定をめぐっては、効能追加した品目が対象となることが多いことから、イノベーションの阻害となっているとの指摘もある一方で、「公的保険制度における薬剤費の適切な配分メカニズムとして機能していること」を踏まえ、その後、市場拡大再算定の在り方が検討されている。

いわゆる共連れルールについては、08年度薬価改革において、市場で競合している医薬品について公平な薬価改定を行う観点から、すべての薬理作用類似薬について、類似品として再算定を行うこととされた。その後、抗がん剤・キイトルーダが短期間で再三にわたる引き下げを受けた経緯を踏まえ、22年度薬価制度改革で、特例拡大再算定の対象、もしくは類似品として引下げを受けた場合は、4年間は他品目の市場拡大再算定の類似品としての対象から除外されるよう、ルールが見直されている。

一方で、共連れルールの導入当初は、対象品目、類似品ともに“2型糖尿病”など同様の効能を有する品目だけだったが、抗がん剤などが対象となる中で薬理作用類似薬であっても、効能に違いがあり、引下げの対象とならない品目が出るなど、導入当初とは異なる状況となっていることも説明し、類似品の取り扱いなどを論点にあげた。

◎診療側・森委員 「保険適用前提ならば薬剤費の適正な配分メカニズムとしての機能を」

診療側の長島委員は、「市場拡大再算定は、薬価収載時からの条件の変化を補正するという意味で合理的な制度であると理解している。一方で、上市された後に必要な効能効果を追加していく方向性については、研究開発を健全に行っていくことを支える観点から一定程度許容せざるを得ない。一方で、国民皆保険の維持の観点も非常に重要で、これらが両立する視点を十分に持った上で、類似品の範囲や、それに対する引き下げ率の考え方について再度整理して議論すること自体は否定しない」と述べた。そのうえで、「繰り返しになるが、議論した上で、国民皆保険の維持という姿勢についてきちんと向き合うことが重要であるということを強調させていただく」と釘を刺した。

診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、導入当初と状況が変化していることから、「類似薬効比較方式で算定された品目であっても、その類似性の程度や考え方が、以前とは異なってきているということでもあると思う。類似品への影響を丁寧に見た上で、どのような仕組みとしていくのか、市場拡大再算定の全体の考え方を整理する中で判断していくべき」と述べた。ただし、「薬事承認された範囲のものが基本的に保険適用される前提に立つのであれば、関係業界からの要望などを踏まえつつも、公的保険制度における薬剤費の適正な配分メカニズムとしての機能を失わないよう、今後丁寧な議論が必要」と指摘した。

◎支払側・松本委員 ルール改正後「検証行われない中で、廃止まで踏み込むのは難しいのでは」

支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「前回の改革で特例再算定から4年間は1回に限り類似品から除外する取り扱いになったばかりだ。まだこの影響について検証も行われていない中で、ルールの廃止まで踏み込むというのは少し難しいのではないか」と指摘した。

専門委員の石牟禮武志氏(塩義製薬)は、「企業の方から見ると、再算定の類似品については、どれが対象品となるのか、また類似薬の効能追加の情報を正確に把握するというのが非常に困難な状況が近年起こっている」と説明した。12年度薬価制度改改革で、市場の競合性が乏しい品目について類似品から例外的に除外するとされていることに触れ、「同様の観点で、類似品の扱いについて見直す必要があると考えている」と述べた。

◎再算定の補正加算「医療上の必要性の高い効能追加の価値は評価されるべき」

このほか、市場拡大再算定における補正加算も論点にあがった。小児や希少疾病などの効能追加に該当する場合は補正加算が行われる。診療側の森委員は、「よりメリハリのある形で、イノベーションの評価に値するものは、再算定の際に評価していくことは重要な視点と考える。再算定における補正加算については、再算定による引き下げ幅を緩和するという意味合いもあるで、特に医療上の必要性の高い効能を追加したことで、再算定の対象となる場合には、追加された効能の価値は評価されるべき」との考えを示した。

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