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厚労省・後発品検討会が初会合 安定供給実現へ「品目数の適正化」を検討事項に 産業構造改革断行へ

公開日時 2023/08/01 05:05
厚生労働省は7月31日、安定供給が確保された後発品産業の実現へ、産業政策の具体的な要件や指標設定に向けた議論を開始した。初会合を開いた「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」(座長:武藤正樹・衣笠病院グループ理事)では、産業構造改革に向けて、品目の整理・統合による「品目数の適正化」を検討事項にあげた。品目数が論点となる中で、厚労省はこの日の検討会に、内用剤が他の剤形よりも品目数が多いことを提示した。また、自社の製造設備がない企業が25%にのぼるなどの実態を示し、分業を行うことで安定供給を実現する後発品産業のあるべき姿について議論した。今後は、10月頃にも中間とりまとめを行い、年末を目途に最終取りまとめを行う見通し。

◎武藤座長 「具体的な要件や指標の形に落しこむ作業は非常に困難だと感じている」

後発品検討会は、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の報告書で、後発品産業のあるべき姿の実現を策定し、その実現に向けて具体化するための会議体を新設することが提言されており、これを踏まえて発足した。

焦点となるのは、後発品産業の“産業構造”だ。武藤座長は、「この検討会は有識者検討会での議論や提言を踏まえ、後発医薬品産業のあるべき姿とその実現に向けた産業政策について具体的に議論することがミッションだと理解している。あるべき姿という理念を目に見える形で具体的な要件や指標の形に落しこむという作業は非常に困難だと感じている」と述べたうえで、「構成員の皆様と協力しながら、具体案を検討していく」と意欲をみせた。

◎産業構造や品目数など“あるべき姿”を議論 有識者検討会では「5年間で」の声も

検討会では、後発品産業のあるべき姿として、安定供給を実現する産業構造や適切な品目数などを示し、いつまでに達成するか時期を明確化する方針。少量多品目構造が課題として指摘される中で、企業の行動変容を促すために、どの程度の期間が必要かも議論する。なお、有識者検討会では目指す姿への達成時期は「5年を期限として集中的に施策を実施すべき」などの声も出ており、こうしたタイムスパンを軸に今後の議論が進むとみられる。

この姿を実現するために、共同開発などの状況を踏まえ、少量多品目構造を解消し、品目数の適正化を進めていく考えだ。あわせて、上市に当たって十分な製造能力などを求める仕組みを構築するとともに、企業情報を可視化し、安定供給を行う企業については薬価上の評価も視野に検討を進める。このほか、他業種の取り組みを参考に、生産効率の向上についても検討を進める。一変申請の煩雑さなど薬事上の課題についても検討する。結果として後発品業界の再編につながることを視野に入れる。

◎品目数の適正化で「内用薬」の品目数の多さも 自社製造設備のない企業は25%に

この日は、後発品産業のあるべき姿の明確化について、日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)を参考人に招き、議論を行った。

“品目数”が論点の一つとなる中で厚労省は、内用剤の品目数、成分数が他の剤形に比べて多いことや、1成分当たりの品目数について内用剤が最も多い傾向が見られ、2023年時点では平均14品目/成分となっているデータを示した。

また、製造能力も一つの論点となる中で、相対的に供給量が低いと考えられる中小企業が全体の過半数を占めていると説明。後発品ビジネスでは、製造の委受託も多く行われる中で、自社の製造設備がない企業が25%ある一方で、受託製造に特化した企業もあるとのデータを提示した。医療現場から見て共同開発などがわからないことも課題となっているが、製造工程を他企業の製造所で行っている後発品について情報開示を実施していない企業が約27%あった。厚労省は、「各企業がそれぞれの特性を活かしつつ、分業を行うことにより、安定供給を実現することができる産業を目指していく」という観点から、産業構造についての論点を提示した。

厚労省によると、構成員からは、「製造の委受託の関係について、契約の中で相手の供給能力をきちんと見れていない実態もある。適正な委受託関係について議論を深めるべき」、「薬事規制によって製造プロセスの改善がしづらいという話があることを踏まえ、薬事規制についても検討を行うべき」などの声があがったという。

また、安定供給を実現したうえでの中長期的な産業育成的観点から、海外展開への挑戦を目標とすべきとの声があったほか、バイオシミラーについて議論する必要性を指摘する声や、AGについての議論を求める声もあったという。

◎安定確保検討会、流改懇、薬事検討会、中医協と連携へ

後発品をめぐっては、安定供給は「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」、流通は「医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会(流改懇)」、薬事規制は「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」、薬価は中医協で議論が進められている。このため、今後検討会は、これらの検討会と連携を取りながら議論を深める方針。
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