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【中医協薬価専門部会 8月23日 議事要旨 薬価算定組織からの意見と質疑、薬剤費等の年次推移】

公開日時 2023/08/24 05:59
中医協薬価専門部会は8月23日、薬価算定組織の前田愼委員長から意見を聴取し、質疑を行った。その後に、薬剤費の年次推移について事務局から説明があった。本誌は質疑の内容を議事要旨として公開する。

安川部会長:前田委員長、資料を簡潔に説明(資料説明は略)いただき、ありがとうございました。事務局から補足があればお願いします。

事務局;特にございません。

安川部会長:はい、わかりました。ありがとうございました。ただいまのご説明等につきましてご意見、ご質問がございましたら、お願いをいたします。では、長島委員、お願いいたします。

長島委員:はい、ありがとうございます。前田委員長並びに、薬価算定組織におかれましてはご検討いただきありがとうございます。ただいま説明いただいた薬価算定組織の意見については、今後、薬価専門部会で検討していくことと思いますが、その際に事務局に対してお願いがあります。

今回のご説明では、背景、課題も踏まえて説明いただきましたが、制度を見直す際は、課題や要望を踏まえ、単に場当たり的に変更するべきではありません。その制度が創設された際の趣旨や目的をしっかりと踏まえた上で、制度変更により想定される効果やマイナス面も含む影響を確認し、その変更の必要性、方法としての適切性、全体としての整合性、さらに許容範囲を判断すべきと考えます。

例えば、市場拡大再算定における類似品、いわゆる共連れの取り扱いにつきましては、今回、企業の予見性への配慮や、近年の競合性の複雑さが課題となっておりますが、市場拡大再算定の制度趣旨の核心は、国民皆保険の持続性を確保するという点にあるはずです。

また、共連れルールを導入したのも、市場で競合している医薬品については、公平な薬価改定を行うというのがそもそもの趣旨であったはずです。今後、検討を進める際には、そうした趣旨が骨抜きにならないよう、注意深く検討していく必要があります。

これらの観点から、今後、薬価専門部会で具体的な検討を行っていく際には、制度の趣旨、目的の確認と、制度変更による効果、影響の想定などを含む、十分な判断が可能となる資料の提示をお願いしたいと思います。

その上で、いくつかの質問と意見を述べさせていただきます。まず資料1ページ、「1、イノベーションの評価」の小児用医薬品の取り扱いについてです。算定組織の意見として、特に評価すべき品目については、新薬創出等加算の対象としてはどうかとありますが、何をもって特に評価すべきかと判断するのかが重要です。何か想定されているものがありましたら教えてください。

次に資料2~3ページの「(2)新薬創出等加算における品目要件の合理化」です。薬理作用が異なるものでも1番手の品目と同等と見なし、新創加算の対象として評価してはどうかという意見ですが、評価対象を拡大することで、市場拡大再算定における類似品、いわゆる共連れの範囲も拡大することも考えられるのではないでしょうか? 比較薬の範囲については、薬価制度全体で整合性を図るべきではないか、とも考えておりますが、こうした点について算定組織としてのお考えがあればお聞かせください。

「(3)改定時加算の取り扱い」です。二つ目の意見は、薬価よりも安くなっている市場実勢価格を新創加算で回復させた上で、それを基準に、加算額を決定してはどうかという意見だと思いますが、そうすると、市場によって形成された、その医薬品の評価価値と、改定後の薬価との乖離が大きくなることも懸念されますので、この点について、もう少し詳しく検討する必要があると考えます。

「(4)標準的治療法の定義」です。本邦で標準的治療法となることが明らかであると見込まれる場合等は評価の対象として取り扱うことが提案されておりますが、どのような場合に明らかであると見込むことが可能になるのでしょうか?何か判断の基準となるようなものがありましたら教えてください。

次に資料5ページ、2ポツの薬価算定の妥当性透明性の向上、「(1)原価計算方式における開示度の向上」についてです。営業利益を平均的な営業利益率に固定することは、今回の調査結果を見ても、客体数は少ないですが、実態を反映していない可能性があります。従って、もう少し精緻化することができないか。例えば、他にどのようなデータソースがあるかなど、引き続き検討していくべきと考えます。当然、様々なデータソースがあるものと承知しておりますので、よく吟味したいと考えております。

一方、開示度が相当程度高い品目にインセンティブを与えることは、原価に基づいて薬価を算定するという原価算定方式の本来の目的から逸脱してしまっており、本末転倒と考えます。

続いて、9ページ、3ポツ「状況の変化に応じた薬価の適正化」、「(1)市場拡大再算定の取り扱いの見直し」です。一つ目のご意見である類似品、いわゆる共連れの取り扱いにつきましては、既に現行ルールでも、市場規模、薬価基準への収載時期、適用の範囲等を考慮し、市場拡大再算定対象品と市場における競合性が乏しいと認めるものを除くとされています。今回の意見は、この例外規定とは別に、類似品の考え方を変更しという意見でしょうか? 類似品の判断は、いま申し上げたような様々な要素を総合的に考慮する必要があり、明文化するのは難しいのではないかと考えます。

従って、これまで通り、薬価算定組織で検討された結果を中医協にご提案いただき、市場拡大再算定の趣旨である。公的保険制度における薬剤費の適切な配分を踏まえつつ、中医協で判断するのが適当であると考えております。

また、三つ目の意見である補正加算の拡大は、市場規模が拡大した上に、さらに加算を上乗せするということが、市場拡大再算定の趣旨に合致するのか否かという観点から検討する必要があると考えます。「4その他」、「(1)新薬が長期間収載されてない領域において開発された新薬の評価についてです。今後の資料においてどのような領域が想定されているのか、例示をお願いできればと思います。

また、ルール化を検討する際には、明確な条件を設定することが必要ですが、これが可能なのか検討をお願いしたいと思います。「(2)有用性加算の定量的評価」について、これも今後の資料等にて算定組織において必要と認めた場合、というのはどのような状況が考えられるのか、ご説明をお願いできればと思います。

また、現在の定量的評価は、研究を行った上で決めたと了解しており、不十分ということであるならば、もう一度研究してから対応するのが筋と考えます。

最後に資料12ページ、「(5)開発段階からの薬価相談」です。臨床試験の計画から薬事承認を得るまでには数年かかり、物によっては長期に及ぶ可能性があります。その間にも、薬価制度が変更される可能性があるという状況下でも、開発段階から薬価算定に関する相談を受けるとするのであれば、将来の薬価制度や、薬価上の評価の視点が、中医協における議論とは関係なく、国と企業との相談によって決定されていく可能性もあります。

したがって、このご提案については、危険性が高く、無理が大きいと受けとめております。現在でも、医政局医薬産業振興医療情報企画課の方で、企業からの相談対応を受けられておられると承知しておりますが、それと、今回のものがどう違うのかが判然といたしませんので、具体的なイメージがありましたら教えていただければ幸いです。私からは以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。ご意見とともに6点ほどご質問もあったかと思いますが、前田委員長の方でもし今の時点でお答えいただけるところがございましたら、お答えいただけますでしょうか?

前田委員長:そうですね。いくつか質問いただいたのですけれども、例えば最初に小児に関して想定されている具体的な例はということですが、こちらは事務局からお願いしたいのですけど、ございますか?

薬剤管理官:はい薬剤管理官でございます。いくつか質問をいただいている点がございます。薬価算定組織の中で、この意見をまとめる際にも議論がそれぞれあったところはあるんですけども、個別のところもありますので事務局の方から一通りお話をさせていただければと思っております。

ただ、全体的なことを申し上げますと、何か具体的ないろんな判断のところに関して何か事例があるとかいうところが全てあるものではありません。一方で、個別にいろんな判断するときの解釈をどう考えるかとかいうところで、この意見をまとめているというふうに承知をしております。ということで、今回了承いただければ、次の議論の際に様々な課題の中で、こういった薬価算定組織の意見ついても提示しながらご議論いただく。長島委員から指摘がありましたけども、様々な背景も示しながら、影響度合いも示しながら考えを含めて提示できるものはできる限りお示しをしながら議論が進みやすくするように配慮したい。

そういう意味で、小児に関しては明確に法令上や薬機法の中での位置付けがないところがあるのですが、何か特定の効能効果が明確になっているとか、あるいは用法用量がはっきりと示されているとか、そういったところで識別できるものがあれば評価しうるものがあるんじゃないかというところなのかなと思っております。そのあたりも含めて、整理が必要と考えております。

あと、(2)のところについて、3年3番手のところの話とか比較薬の範囲について全体的なことを言えるんですけども、比較対照をどうするかってところを比較薬がなければ原価計算になる。一方で原価計算ではさっきの開示の状況とかいろんな課題があるというとこもあるので、できる限り類似薬効比較方式をすすめるというところもいく中では、だんだん比較薬の範囲が様々なところが広がってくる可能性はあるかなと。そうなってくるといろんなルールの中で決めている中で、もう少し整合をとった方がいいものとか、改正したようなものがあれば、今回の改定の議論の中でご審議いただくということを考えております。いずれもポイントだけ見るとこれが本当に妥当かどうかってとこあるんですが、全体的な動きを見ながら、様々なところに跳ねるものもございますので、そういったところも事務局として意識しながら議論を提示をしていければと考えております。

あと、(4)標準的治療法のところの、実際の判断の仕方とかいうところ、ここについては前田委員長から補足があればと思うのですけども、いま何か基準みたものがあるわけじゃないんですが、この辺り、特にいろんな新薬の議論の際によく課題になっているところでございます。例えば今ガイドラインは明記してないんですけど、明記される検討を学会とかにされているとかいうものがあれば、一定の判断を評価してもいんじゃないかと思っております。そういったところも含めて考え方の整理なのかなと思っているところでございます。

あと、ポイント制とか有用性評価の定量的評価ですね、10ページ目のところのお話でございます。長島委員がご指摘いただいた通り、元々は研究班を元にポイントのルールを決めたところでございます。こういったところの考えに関しては、別途、厚労科研の研究班の方でその考え方の研究も進んでいると承知しております。そういった結果も含めて、秋以降の議論の際には、提示しながらこの辺の考え方をお示しできればと考えているところでございます。

前田委員長:私の方から追加でよろしいでしょうか?

安川部会長:お願いいたします。

前田委員長:事務局からご説明あったように、ガイドラインの話ですが、これはなかなか難しいのですけれども、少なくとも欧米のガイドラインには記載されているけれども日本では使用実態がないので全くガイドライン等に記載されていないというようなことで、それぞれ薬価収載のときには、その分野の専門家の先生に意見をうかがうと思いますが、この場合に薬価収載されれば、明らかにガイドラインには載るであろうと、特に日本人を対象とした国際共同試験とかですね、そういうものが実施されている場合には明らかであろうというのが、大体予測がつくんですけど、確かに薬価算定組織の人間としては専門家ではありませんので、複数の専門家の先生の意見を聞いて、明らかにガイドラインに入ってきそうだというようなことを参考にしたいというふうに思っております。

ただ、現在のところそのようなルールがございません。最近はそのような例がいくつかあったように感じておりますので、将来的にガイドライン入るというものを考慮したいというようなことでの提案でございました。

それから最後の再生医療等製品に関しては、特に薬価算定組織でも専門家がいないというか、これは本当に医薬品なのかというようなものがいくつも出てきている。薬価専門組織でも、本当に原価計算方式っていっても一体幾らかかっているのか分からない。情報が少ない状態で薬価収載になっている。多くは海外での薬価を参考にしていることが多いんじゃないかなというふうに思っておりますので、この辺も実績を積まないとルール化はできないかもしれないですけれども、様々なソースを利用して薬価算定のルールを作っていかないといけない。ご協力いただきたいなというふうに思っております。以上でございます。

安川部会長:事務局と前田委員長、ご丁寧なご説明ありがとうございました。長島委員、まず追加ございますか。

長島委員:はい、ありがとうございました。今、今回は重い意見を列挙いただいたという段階かと思いますのでぜひ、先ほど述べましたような観点で、さらに資料を整理していただければと思います。ありがとうございました。

安川部会長:はい、ありがとうございます。はい、では森委員御手が挙がっておりますのでよろしくお願いいたします。

森委員:ありがとうございます。前田委員長初め薬価算定組織委員の皆さんにおかれましては、薬価算定の基準に関する意見をまとめていただき大変ありがとうございました。

まず全般的な方向性としましては、これまでも発言させていただきました通り、国民皆保険の持続性とイノベーション評価の両立の観点から、バランスのとれた制度設計が必要というふうに考えております。その上で、今後今回お示しいただいた薬価算定組織の意見等に基づいて、個別具体的な算定ルールの議論を深める上では、まず過去どのような背景、経緯に基づき、現行の算定ルールが設けられたのか。現在どのような状況の変化や課題が生じているのかとともに算定ルールを変更することで、財政面を含め、どのような影響が生じるのか。それらを含め全体としてどのように優先度をつけていくのかなど、データに基づいた議論とともに、公的保険制度における薬剤費の適正な配分メカニズムとしての機能を失わないよう、メリハリのある対応が必要というふうに考えます。

厚生労働省事務局におかれましては秋以降の議論のため必要なデータや資料等の準備をお願いしたいというふうに思っております。

その上でいくつかコメントと質問させていただきたいと思っています。まず資料1ページ目の「(1)承認医薬品の取り扱い」についてですが、医療的ケア児等に用いる薬剤の中には、小児に対しての安全性および有効性に関する十分なデータがなく、添付文書に用法用量が明記されていない薬剤であっても、臨床上必要なため、使用せざるをえない薬剤もあります。

小児医薬品の開発は対象患者が少なく、新生児から思春期まで多様で幅広い患者が対象で、医薬品の剤形、用量と各年代に応じたきめ細やかな対応が必要なことや、同意取得等に商品特有の配慮を有する問題があり、なかなか開発が進まないと言われています。小児の治療を安全、安心に行うため、医薬品の開発を促進するための何かしらの評価や配慮が必要と考えます。

次に資料4ページ目、2ポチの「(1)原価計算方式における開示の向上」についてですが、令和4年改定以降、令和5年5月までの間に原価計算方式による薬価改定が行われた新規医薬品18成分のうち16成分が、つまり89%が開示度50%未満で、それらが加算係数ゼロとなっています。企業はどうしても開示ができないのか。それともこのルールでは開示する方向に進みにくいのか、このまま開示度が低いものが加算ゼロで大丈夫なのか。どのような対応が望ましいかなど、この辺りについては専門委員からご意見にご意見をお聞かせいただければというふうに思います。

最後に資料6ページ目の「(4)剤形追加等の取り扱い」についてですが、患者への医薬品の使用に責任を持つ薬剤師の立場としては、新剤形の開発、新たな投与経路の開発も製剤技術を駆使したイノベーションと考えます。経口剤しかなく、それまで使用できなかった患者に貼付剤が開発され、使用できるようになることや、製剤特性から粉砕できないものが粉砕できるようになること、また、点滴のみの使用で錠剤が開発されたことにより、患者への負担はもちろん治療場所の広がり、医療者への負担なども軽減されるなど、最新の製剤技術の進歩等により、新たな剤形や投与経路の薬剤が開発され、医療安全の確保、医療の質向上等に資するものと考えます。このような場合については、当初の製剤の新薬加算の期間は同様の評価として取り扱っても良いものというふうに考えます。私からは以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。もう少しご意見を伺ってから専門委員の方にもご意見を伺いたいと思います。他にご意見、ご質問等いかがでしょうか? 松本委員お願いいたします。

松本委員:まず幅広い観点からご意見をまとめて頂いた前田委員長初め薬価算定組織の皆様に感謝を申し上げます。日頃から新薬の薬価算定につきましてご議論いただいている専門家のご意見ですので、次期薬価制度改定に向けた非常に貴重なご提案というふうに受け止めております。

まず総論として申し上げますけども、評価の充実だけではなく、適正化の方向も示されており、メリハリをきかせていくという考え方で、私自身の認識とは大きく離れたものではないという印象を持ちました。ただ、保険者の立場といたしましては、いま申し上げましたメリハリのバランスというのも極めて重要になります。

全体としての姿が見えてこないと最終的な判断が難しくなりますけども、各項目に該当する品目のボリュームあるいは薬剤への影響について事務局に試算をいただくなど、丁寧にデータを見て次回以降の具体的な議論に繋げていくことが必要だというふうにまず考えております。

続いて各論について発言いたします。イノベーションの評価に関する見直しについて、(1)の小児用製剤を新薬創出等加算の対象とする件については、特に評価すべき品目をどのように判断するかがこれはポイントだろうということで、これは他の委員の方もおっしゃる通りかというふうに思います。

「(2)新薬創出加算の品目要件の合理化」についてですが、薬理作用類似薬の要件を外しても、3年以内に3番手までの枠組みは維持するということですので、参考資料の5ページを拝見しますと、該当品目数は変わらないように見えますけども、現行であれば1品目しか該当しなかったはずが、薬理作用が異なるものが加わって2品目以上になる可能性もあり、合理化という表現には若干違和感を感じております。具体的にどのようなケースがありうるのか丁寧に議論することが必要だというふうに思います。

「(3)改定時加算取り扱い」、「(4)標準的治療法の定義」については、純粋に加算額が増加ということになりますので、最低限財源確保とセットで検討することが不可欠ですので、なかなか全てを適用するのは難しいのではないかというふうに個人的には考えております。

続きまして薬価算定の妥当性、透明性の向上についてコメントいたします。「(1)原価計算方式の開示度向上」については、私個人としては元々他産業と比べて平均的な営業利益率がかなり高いという印象を持っております。

参考資料の12ページには原価計算品目を扱う企業の営業利益率が全体平均8.7%で、輸入医薬品が多い企業ほど営業率が低いというデータが示されております。したがいましてドラッグ・ラグ/ロスにも配慮しつつ、輸入医薬品の営業利益について製薬産業全体の平均より低い値で計算するというのは実態に沿った対応であり、賛同いたします。

一方、開示度が相当高い品目にインセンティブとして何らかの評価を検討するというご提案につきましては、そもそも公的な薬価を決める上で原価を開示することはある意味当然だというふうに考えますので、あえて評価する必要性に疑問はありますけども、これによって開示が進むのであれば、どのような範囲でどのように評価するのか検討すること自体を否定するものではございません。

また類似薬を柔軟に選定するという提案につきましては、原価の開示が進まないから類似比較方式を拡大するという論理ではなく、臨床上の位置づけ、あるいは患者の納得性という視点で議論をぜひ進めていただきたいというふうに考えております。

「(2)比較薬におけるG1品目及びG2品目の取扱い」、「(3)類似薬効比較方式における薬価の適正化」については、具体的に検討を進めることに賛同いたします。「(4)剤形追加等の取り扱い」については、小児用製剤の開発や投薬に伴う患者負担の軽減に繋がるなど、医療上の意義が高いものであれば、一定期間に限り、幅広く新薬創出等加算対象することも考えられますけども、企業側の経営戦略上の剤形追加は新薬創出等加算の対象としないという考え方だというふうに理解をしております。

続きまして状況の変化に応じた薬価の適正化ということで、資料9ページに市場拡大再算定の類似品取り扱い見直しについて意見が示されておりますが、いわゆる共連れルールについては、以前に申し上げた通り、前回の見直しの影響をしっかり検証した上で議論を進めるべきだというふうに考えております。類似比較方式の品目については、使用実態の著しい変化がなくても、再算定の対象するということについては賛同するものであります。

最後に「その他」の項目ですけども、いずれも検討することを否定するものではありませんが、追加の財源が必要になるものもありますので、冒頭にも申し上げました該当する品目のボリューム、さらには財政影響のデータを見てこれについては慎重に判断をしていきたいというふうに考えております。私からは以上になります。

安川部会長:はい、ありがとうございました。他にいかがでしょうか?はい。それでは先ほどもちょっと意見がいろいろ出ておりましたので、専門委員の方からもしご意見等ございましたらお願いいたします。

石牟禮専門委員:専門委員の石牟禮でございます。ありがとうございます。まず、森委員からご質問いただきました原価計算方式における開示の向上につきまして専門員としてのコメントを申し上げたく存じます。

まずご理解いただきたいのは、原価計算方式で算定される場合、一般的な企業構造といたしましては、原材料費、製造経費等をできるだけ算入していただけるように透明性の確保ということを踏まえて、企業は取り組んでいるというふうに承知をしております。一方、欧米諸国におきまして、原価を積み上げて新薬の薬価を算定する国はないというふうにも承知をしております。

そういった観点に加えて、また現在の新たなモビリティを活用した医薬品の開発サプライチェーンというのが複雑化しておりまして、なかなか複数国にまたがる費用につきましてそれら全ての利益を提出するということが困難であるという状況だというふうに認識をしております。

したがいまして、2年前の業界意見陳述におきましても、EFPIAより開示度が低い品目の多い算定薬価については、欧米諸国と比較して低い水準にあるという状況をご説明をしておりますし、また移転価格そのものについても、各国との関係で低いものを選ぶというような取り扱いがなされていると承知をしております。それでもなお、前回の改定において、厳格なルール見直しが行われたという状況でございます。

今回の資料でお示しいただきましたように、開示度が低い品目が多いという現状が残っているということは、まさに開示することがなかなかできないという状況を示しているものというふうに御理解をしているところでございます。

また、原価計算方式における開示度の向上を踏まえて、類似薬効比較方式における算定をなるべく柔軟に類似薬を選定していくという方向について業界からもそのような意見を申し上げているところでございますけれども、一方そういう観点での再算定の考え方についての今回ご意見をいただいておりますが、再算定につきましては、まずは今回趣旨としまして、原価計算方式において算定された品目と同様に取り扱うというふうに提案を類似薬効比較方式の算定品目についてもされておりますけれども、そもそも再算定につきましては収載後に収載時の要件変化があった場合に、価格の見直しを行うことということが原則というふうに理解をしておりまして、その原則からしまして、原価計算方式と類似比較方式では取り扱いを変えているという理解でございます。

今回もしこのご意見に沿って検討される際にはですね、今いくつかの委員のご意見にもございました通り、その再算定の原則についてどのように考えるのかということも踏まえて、慎重にご検討いただきたいというふうに考えております。ご回答に直接なってるかどうかありますが、以上コメントさせていただきます。

安川部会長:石牟禮専門委員ありがとうございました。他にご意見等ありますでしょうか。森委員お願いします。

森委員:ご回答ありがとうございました。

まずは製薬企業の方で開示度向上に向けた対応というのが重要になるんではないかと思っております。その上で今回の18品目ある意味で2品目しか開示が50%以上いってなかったということを考えると、複数の国に多くの委託先がある契約上の問題など様々なことがあるのかもしれませんが、結果として、加算がゼロとなることが多くてそのことが、ドラッグ・ラグ/ロスに繋がるようであれば、今後何らかのことを考えていくっていうのは次の課題かというふうに思っております以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。他にご意見等ございませんようでしたら、この議題については、このあたりにしたいと思います。前田委員長どうもありがとうございました。

続きまして薬剤費等の年次推移を議題といたします。(事務局説明略)

安川部会長:ただいまのご説明について、ご意見ご質問等ございましたらお願いいたします。安藤委員の手がけておりますのでよろしくお願いいたします。

安藤委員:ありがとうございます。今回の資料の4ページにあります通り、国民医療費に占める薬剤費の比率および乖離率は、長期的に大きく変動してはおりません。近年の不安定供給問題であるとか、ドラッグ・ラグ/ロスを踏まえれば、やはり薬価での対応ではなく、後発医薬品業界の産業構造など根本的な課題にアプローチをしていくことが、医薬品の安定供給には必要不可欠であるというふうに考えます。

また今回の薬剤費等の年次推移について直接関係ございませんが、今後レカネマブに関する議論が予想されるなど、薬剤を巡る議論がさらに加速していくかと思います。今後十数年の薬剤政策の礎となるような方向性を示すことができるよう、事務局におかれましては、関連する検討会等の議論も踏まえつつ、丁寧なスケジュール設定をぜひよろしくお願いしたいと思います。以上です。

安川部会長:ありがとうございました。他にご意見、ご質問等ございませんでしょうか?ございませんようでしたら、この議題についてはこのあたりにしたいと思います。本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡をいたしますのでよろしくお願いいたします。本日の薬価専門部会はこれにて閉会とします。ありがとうございました。


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