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【中医協費用対効果評価専門部会 11月17日 議事要旨 業界からの意見聴取について】

公開日時 2023/11/20 04:53
中医協費用対効果評価専門部会は11月17日、医薬品業界、医療機器業界から意見聴取を行った。本誌は各側委員による質疑について議事要旨として公開する。(医療機器団体に関連する質疑については略)



座長:それでは一通りのご説明をいただきましたので、これより質疑およびフリーディスカッションに移りたいと思います。ご質問等がありましたらお願いいたします。はい、長島委員お願いいたします。

長島委員:はい、ありがとうございます。関係業界からは、ご意見をありがとうございました。私からは、いくつかのコメントと4つの質問をさせていただきます。

まずは「費1-1」の製薬団体についてです。6ページ、「ⅱ 価格調整範囲に係る制度化に至る経緯」では、制度開始に向けての議論である平成30年当時の中医協の議論が引用されております。しかし、制度開始から4年半が過ぎ、これまで評価実績を積み重ねてきた中で、高額医薬品等の出現もあり、現在の価格調整範囲の見直しの議論が行われております。価格調整が限定であるという実態がある中で、価格調整範囲の拡大は、これまで議論してきた通り、費用対効果評価制度をより積極的に活用する観点からも、重要な見直しであると認識しております。そこで、お聞かせください。これまでの実績を踏まえた今回の見直しの議論について、業界としての受け止めはいかがでしょうか。

続いて、9ページ「②再指定時の運用」です。再指定については、医療保険の持続可能性に照らして、重層的に制度上の対応を行ったことが、これまでの歴史も踏まえて重要であることは言うまでもありません。その上で、現行制度においても、外国平均価格調整がなされた品目に関しては、外国価格調整前の価格に対する有用性系加算の加算額の割合を加算部分割合とするとされており、本来の加算額にとどまっていない現状があります。そこで教えてください。この現状は容認でき、再指定時の運用は容認できない理由は何でしょうか。

11ページ、「④品目指定時の配慮」ですが、これまでも申し上げている通り、疾患特性を踏まえた基準値における品目指定時の配慮について希少疾病を対象とした医薬品のこれまでの評価では、明らかな問題はないと考えますので、配慮の見直しは不要であると考えます。

次に13ページ、「⑥介護費用の取扱い」に関して教えてください。介護費用等を含めた費用対効果分析には多くの課題があることが示されている中で、業界としては、介護費用を含めた分析はどのようなデータを用いて実施することを想定しており、どの程度分析が可能と考えているのでしょうか?私からは以上です。

座長:はい、ありがとうございます。そうしましたら、まずこちらについてご回答等ございましたらお願いできればと思います。

製薬協・上野会長:はい。日本製薬工業協会の上野でございます。ご質問どうもありがとうございました。いま、長島委員の方からいただいた3点について、私どもの方からお答えをさせていただきます。

まず、最初の問いでございますけれども、これまでの中医協の議論において、「価格調整範囲が限定的であるという実態の中、実績を積んできた中での制度で、より積極的な活用が議論されてきたが、業界としての受けとめはいかがか」というご質問だったかと思います。

これまで費用対効果評価専門部会においては、積極的な活用が議論されることについては、皆保険制度の持続性の観点から理解をしております。しかし一方でイノベーションの適切な評価の重要性もご理解いただきたいと考えております。長期間にわたる研究開発の結果、治療薬としての有効性と安全性が認められ、薬事法に基づいて承認を得て、承認された効能・効果などの価値が薬価に反映されていると考えます。そして、その価値を尊重いただき、費用対効果評価はあくまで薬価制度を補足する制度であって、価格調整範囲を限定的として運用いただきたいと考えます。また、議論を深める際には、薬価制度との整合性について、関係者が十分に議論を尽くすことが重要だと考えます。

続きましての質問でございます。現状でも海外平均価格調整がなされた品目に関する運用がある中で、再指定時の運用として受けられないのはなぜかというご質問だと受け止めます。まずは、海外価格調整は国内外の著しい価格差を補正するものであると考えております。したがってこれと、費用対効果評価において再指定がなされ、その評価結果に基づき、再度価格調整を行うこととはその目的、趣旨が全く異なるものであり、外国平均価格調整の考えを準用することは根拠が全くないと考えます。また、現行ルールで企業分析期間中に効能追加された場合には、追加効能の分析結果も含め、当初の価格調整範囲内で価格調整を行うこととされており、その運用との整合性も踏まえる必要があると考えます。したがって、再指定時には、当初の薬価および価格調整範囲に立ち戻って価格調整がなされ、薬価の本体部分、比較薬を下回らないことが適切と考えます。

そして、3点目(4点目)の介護費用の扱いについての業界の考え方についてのご質問に対してのお答えです。Appendixの29ページをご覧いただければと思います。そこに私どもが考えます、介護費用の取り扱いについての一つの例を示させていただいています。まず今ある介護のデータベースの情報等、先行研究等を組み合わせることによって、疾病の重症度別の介護費用の推計は可能であると考えております。そして、それを費用対効果分析モデルで活用し、ICERを算出し、その分析結果を専門組織において評価いただくものであると考えます。まずもって費用対効果分析に用いる公的介護費の推計は、当該企業側から提出される手法や有識者の見解なども踏まえて、公的分析および専門組織において検討されるものと考えております。

失礼いたしました。3つ目の質問でございますが、希少疾病用医薬品を対象から除外することの提案でございますけども、私どもとしては、希少疾病用医薬品は対象から除外すべきであると考えておりますけども、対象から外すことが否定されるのであれば、せめて基準値を配慮してほしいとの意見でございます。

介護費用の扱いについては、PhRMAの方から追加のご発言がありますか。

PhRMA・関口会長:ありません。

製薬協・上野会長:はい。すみません、失礼しました。これで結構でございます。

座長:ありがとうございます。長島委員、よろしいでしょうか?

長島委員:はい、ありがとうございました。

座長:はい、ありがとうございます。引き続き、質疑をお願いいたします。はい、森委員お願いいたします。

森委員:はい、ご説明ありがとうございました。製薬団体の方に、質問2点したいと思っていたんですが、長島委員の方から介護費用の取り扱いについては質問がありまして、私も現時点でどのような評価指標で評価を望んでいるかということをお聞きしたかったんですけれども、そこはちょっと割愛をさせていただきます。

その上で、価格調整の範囲についてその範囲を広げることによって、ドラッグ・ラグ/ロスが進んでしまう懸念があるため、ご意見にもあった通り十分配慮した慎重な議論が必要だというふうには考えております。一方、これまで費用対効果ということを考えれば価格引上げがあまり機能しておりません。価格引上げの条件について、臨床試験や分析の実状から乖離する過度な条件であるとして、撤廃緩和を要望されていますが、仮に、この引上げの条件を見直した上で、その上でもう一度シミュレーションを行って影響を見つつ、その影響が過大にならないようなルールを設けて導入していくことも一つの方法かというふうに考えておりますけれども、この対応について何かあればご意見いただきたいと思います。

製薬協・上野会長:はい、ご質問ありがとうございました。価格引上げの条件についてのご質問だというふうに受け止めました。この点について、ご説明に当たってAppendixの27ページをまずご覧ください。ここには、価格引上げ条件を撤廃した場合の価格調整の一例を示しております。この事例では、一部の対象集団で示されたドミナントの結果が反映され、引下げ率が緩和する結果になっていたと想定されます。我々が望んでおりますのは、薬価制度の補完としての加算評価では足りない部分を適切に行うことができるよう、現状の厳しい条件の撤廃をすることであり、大きく価格を引き上げるということを想定しておりません。

薬価全体を価格調整範囲とすべきという考えから、今回の価格調整範囲の見直しが提案されている以上、引下げや引上げにそれぞれの限度を設けることは、提案趣旨と矛盾しているというふうに考えます。そのような限度を設けなければならないなら、価格調整範囲の見直しを行うべきではないというふうに考えております。以上でございます。

座長:ありがとうございます。では、引き続きご質問等お願いいたします。はい、松本委員お願いいたします。

松本委員:はい。2つの業界からのプレゼン、どうもありがとうございました。それではまず、医薬品業界に関してコメントさせていただきたいと思います。費用対効果評価制度は、元々医療保険財政への影響を緩和するために導入されたという経緯もございます。したがいまして、基本的なスタートして本制度を積極的に活用して、加算部分に限らず、より広い範囲で価格調整すべきだと考えております。

業界の皆様方からは、薬価制度を補完する位置づけだから、調整範囲を加算部分にとどめるべきだという声が出ておりますけども、一方で加算部分はこういった引上げについては条件を撤廃や緩和が必要ということで、それに関してはご主張に一貫性が欠けるのではないかというふうに考えておりました。

先ほど上野会長からは、相互にリミットを設けるというようなご提案もありましたので、それについてもう少し追加意見ございましたらうかがいたいということでございます。

続きまして、業界の資料を拝見しますと、どうも価格引下げのイメージばかりが示されており、費用対効果が低いことが前提になっているような印象さえ受けます。先ほど来、出ておりますイノベーションを適切に評価する視点に立てば、費用対効果が高いものこそ、これはもうイノベーションとして我々として評価したいものだと思いますけども、開発の方向性について業界はどういうお考えなのか、もしございましたら教えていただきたいと思います。

あと、介護費用の分析につきましては、長島委員、森委員からご指摘がございましたけれども、一応一例を示されましたけども、今後同様にこうした介護費用の節減といいますか、低下につながる医薬品の開発が進んでいくと思いますけども、同様のケースが出た場合に、業界全体、各メーカーごとではなく、全体として対応するということで統一的に考えてらっしゃるのかどうか。それについて、一応確認をしておきたいと思います。私からは以上でございます。はい、ありがとうございます。

座長:3件、ご質問があったかと思いますが、もしご回答をありましたらお願いいたします。

製薬協・上野会長:はい、ご質問どうもありがとうございました。「引下げがあれば、引上げもあるという中で、それぞれが限度があればそこは良いではないか」についてのご質問ですけども基本的に先ほど申し述べた以上の答え、考えというのはいま現在、持ち合わせておりません。

それと、「いわゆるイノベーティブなものがあればあるこそ、それが費用対効果で積極に評価されるべきではないか」というご指摘ですけども、基本的に新薬の値付けにおいてはその薬価算定時に臨床試験に基づいて、安全性・有効性そして効能・効果に基づいて新薬が算定されていると思い、そういったイノベーションはまずはその部分で十分に評価されるべき。評価されているというふうに考えております。

したがって、その費用対効果評価制度の中で、さらにそのイノベーションを評価するというところにおいても、それはICERという別の指標で評価することになりまして、そことあくまでも薬価制度と費用対効果評価制度は違う制度だという点については、その点については私どもはそこは主張したいというふうに思っております。以上です。

座長:はい、ありがとうございます。松本委員よろしいでしょうか?

松本委員:一点目でございますけれども、先ほど来、加算部分の何か取り扱いが出ておりますけども、資料を拝見する限りでは、引上げに関しては条件の撤廃あるいは緩和が必要だと今言及がございました。それに関しても、リミットを設けるというふうには資料からは受け取れませんけれども、そうしますと今上野会長のコメントが正式な見解だということでよろしいんでしょうか?

製薬協・上野会長:失礼いたしました。先ほど来、私のプレゼンの中で話したところが、我々の正式な見解で、私の追加のコメントというのは、製薬協の統一した意見ではないということでございます。

座長:はい、ありがとうございます。続きましてご質問等、ございますでしょうか?はい、よろしいですか。すみません、私から一点ちょっとうかがいたいことがあるんですが、12ページの引上げのところの条件「①日本人を含むアジア人に集団におけるデータを必須とすることは、妥当ではない」というコメントがございまして、2つ質問なんですが、まず、日本人、アジア人集団におけるデータということを取り立ててみる必要はそもそもない、というご意見なのかどうか。それから関連して、日本人を含むことが難しい、ということなのか、あるいは日本人だけではなく、アジア人も含むことが難しいということなのか。少しどういうご趣旨なのか解説をいただけませんでしょうか?

製薬協・上野会長:これは、PhRMAの方からお答えしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

PhRMA・関口会長:スライド28をお願いします。スライド28には、一部の集団で費用対効果に優れる結果が得られた品目をお示ししていますが、これらの品目については、いずれも右側2列にお示しした条件により、引上げが反映されていません。特に「条件②薬理作用などが異なる」については、その該当性にかかわらず、費用対効果の善し悪しによって価格引下げ、引上げの判断がなされるべきだと考えます。

また、日本人を含むアジア人データの必要性に関しては、8月の陳述で申し上げた通り、現在薬事承認においては、国際共同試験における日本人症例の要否について、骨太の方針、あるいは有識者検討会においても議論されております。この条件は、現在議論されている方向性とは逆行したルールではないかと考えております。また、日本人を含むアジア集団だけでは、統計解析が可能な症例数を満たさないこともあることをご留意いただければと思います。疾患領域によってはトップの学術誌のインパクトファクターが15以下の場合もあり、「インパクトファクター15以上」という要件も再考する必要があると考えます。

さらに、利便性向上や製剤工夫は、基本的な薬理作用は同じである例が多くあります。利便性で有用性加算を取得した医薬品はQALYで評価されにくい有用性であるにもかかわらず、費用削減、ドミナントあるいはICERが200万円/QALY未満という良好な結果を示しております。

企業の製剤工夫による医療現場、患者さんの利便性向上のための努力に報いるためにも、「薬理作用が全く異なる」という条件の撤廃を求める求めたいと考えます。以上のことから、現行の引上げ条件が果たして適切なのか、制度として公平なものとなるよう、ご検討いただければと思います。

座長:日本人およびアジア人を含むことは難しいというふうに受け止めました。他には、ご意見、ご質問等ございますか。はい。石牟禮専門員お願いいたします。

石牟禮専門委員:ありがとうございます。専門委員の石牟禮でございます。ただいま、松本委員と上野会長とのやり取りの中でちょっと確認させていただきたいことがございますので、コメントさせていただきます。上野会長が申し上げた、引上げのところのご意見につきましては、現行の価格調整範囲の中でも引上げということが認められており、かつその引上げの条件について非常に厳しいということ、すでに今のルールの中でも引き上げの上限については規定をされております。

その上で、今回提案されております価格調整範囲において引下げにつきましては、この必要性については業界としては否定をしているところでございまして、例えば上限を設けるといったことを上野会長から提案したわけではないということをここでコメントさせていただきます。以上でございます。

座長:はい、ありがとうございます。他にはございますか。はい、ありがとうございました。そうしましたら、大体ご意見、ご質問も出尽くしたようですので、関係業界からの意見陳述についてはここまでとさせていただきます。本日の議題は以上です。次回の日程につきましては追って事務局より連絡いたします。それでは、本日の費用対効果評価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。



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