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後発品の企業指標導入へ 安定供給に“業界”としての姿勢示せず批判相次ぐ 中医協・薬価専門部会

公開日時 2023/12/07 07:15
中医協薬価専門部会は12月6日、2024年度薬価改定に向けた業界からヒアリングを行った。後発品の安定供給に向けて、企業指標の施行導入の検討が進められている中で、日本ジェネリック製薬協会の“業界としての姿勢や責任”を問う声が診療・支払各側から相次いであがった。診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「各企業の取り組み次第とするのではなく、今の医療現場の状況下では、業界がしっかり取り組み姿勢を示さないと改善しないと思われる」と話すなど、業界団体の姿勢を問う声があがった。しかし、日本ジェネリック製薬協会は「個社」としての回答にとどまり、“業界団体”としての姿勢には言及せず、批判が相次いだ。

後発品の安定供給をめぐり、24年度改定では企業指標の導入が検討されている。診療側の長島委員は、「企業指標の考え方を薬価制度に取り入れて、情報を公開していくことにより、医薬品の安定供給、確保が前向きに進んでいくのか。各企業の取り組み次第とするのではなく、今の医療現場の状況下では、業界がしっかり取り組み姿勢を示さないと改善しないと思われる」として、業界としての姿勢を質した。

日本ジェネリック製薬協会の高田浩樹会長は、「各企業が安定供給や供給状況に関する情報開示することによって、結果的に企業指標に準じた体制を各企業が整えることや、また安定供給が可能な企業以外は参入が難しくなる方向であることによって、後発品産業の構造変化につながり、ひいては持続的な品質確保と安定供給につながると考えている。また流通改善等の薬価以外の検討も進められていることを踏まえ、総合的な対策によって、より安定確保につながるものと考えている」と回答した。

診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)も団体としての姿勢を質したが、回答は得られず、「メーカー主体で、という話があったが、増産など努力されていることは十分理解している。ただ、日本ジェネリック製薬協会がしっかり取りまとめないといけない。先が見えない中で、正直でどうなっていくのか現場としては不安なところがある。是非、先に向けてどう具体的に解決していくのかお示しいただきたい」と釘を刺した。

支払側の鳥潟美夏子委員(全国健康保険協会理事)も「今回の資料は非常に具体性に乏しいと個人的に思っている。本当にこの計画で安定供給を実現できるのか、非常に不安を覚えている。状況の改善に向けた決意も示されているが、GE薬協として「いつ頃になるかわからない」とのコメントもいただいているので、協会としてどのようにその辺をまとめていくのかをおうかがいしたい」と業界団体としての姿勢を尋ねた。しかし、高田会長は、「各企業が安定供給、供給状況に関する情報や緊急時の対応などの透明性を図ることで、安定供給が可能な企業以外が参入しにくくなると、それによって後発品産業の構造変化につながるものと考えている。それがひいては品質の確保と安定供給につながる」など、業界としての対応を回答せず。鳥潟委員は、「企業にお任せするというところですね。そのように理解した」と述べた。

◎3価格帯以外の対応「収載年の浅い品目」を要望も診療側長島委員「必要ない」

企業指標で高い評価を得た企業の一部品目については、一定の条件のも とで3価格帯とは別の扱いとすることが検討されている。GE薬協の高田会長は、「累次の改定を経る前の収載年の浅い品目」を対象とすることを要望した。

これに対し、診療側の長島委員は、「安定確保のために提案されている制度である点を考えますと、後発医薬品の薬価収載後、時間が経過している品目での安定供給の課題が見受けられる。施行が適切に機能するかどうか図るためにも、最近収載された品目だけを対象にする必要はない」と表明した。

GE薬協の高田会長は、「企業指標の導入が既存品目の安定供給への影響がまだわからない中で最初から全ての品目を対象とするのではなく、まずは収載年の浅い品目から始めていただくのが良いのではないかと考え、提案した」、「企業指標の導入が今後の安定供給がどう影響するか分からない中での施行なので、一部品目に限って試行的に導入し、慎重にスタートするのがよろしいのではと提案した」と趣旨を説明。“収載年の浅井品目”については、「後発品の置き換え期間である収載から10年程度の品目を想定している。分母として1万品目ある中の4分の1程度の品目が該当すると想定している」として、理解を求めた。

このほか、後発品の新規収載時の価格について、収載される内用薬が「7品目超」の場合に「0.4掛け」とすることが検討されていることについては、「同時収載品目数を基準に薬価を決めるのではなく、企業評価を新規後発品の市場参入可否の判断基準として活用することや、企業指標の一つに新規後発品の収載後の乖離率を評価する項目もあろうかと思う。その影響を踏まえて、品目数の規定の改正は慎重に行っていただきたい」と訴えた。“7品目”とされたことについては、「品目ごとによって状況は違う」との認識を示した。

◎卸連・宮田会長 単品単価推進に決意「後がない状態で我々も流通改善を進めていく」

日本医薬品卸売業連合会は、医療用医薬品の限定出荷は全体の2割以上、低薬価品に集中しているとして、「限定出荷となっている薬価20円未満の医薬品について、薬価を引き上げていただきたい」などと要望した。

卸連の宮田浩美会長は、“単品単価”を推進する姿勢を改めて表明した。23年度薬価改定で臨時・特例的に不採算品再算定が実施されたことや、供給不安品目は低薬価品目が多いことなどを「一つひとつ、現場の各企業がお得意様に対してそういう状況であるということの認識を共有していただいているところ」と説明。「全体として物価高騰や人件費の高騰など(医療機関の)経営が非常に厳しいということを卸連会員企業それぞれが認識した上で、単品単価交渉を広げていくと、今までの総価取引を少なからず改善していくという方向に進んでいるのではないかと考えている」と述べた。この結果として、23年9月実施の薬価調査では乖離率も約6.0%にまで縮小したとの見方を示した。

医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会で流通改善ガイドラインの改訂に向けた検討が進められていることにも触れた。ガイドラインでは、総価取引の是正に向けて、基礎的医薬品、安定確保医薬品A、不採算品再算定品を「医療上の必要性の高い品目」を新たなカテゴリーとして、従来の取引とは「別枠」として優先的に単品単価を推進する方針だ。宮田会長は、「当たり前に薬が届いていたものが、メーカーが不採算で製造ができなくなってくるような状況で、ギリギリのところにいま来ているのだろう。我々流通当事者もそのことを真摯に受け止め、しっかりと流通改善に取り組んでまいりたい」と述べた。「もう後がない状態で我々も流通改善を進めていくという想いでやっていきたい」と決意を示した。

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