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長期収載品の選定療養 厚労省・社保審医療保険部会が大筋了承 予算編成踏まえ中医協で決定へ

公開日時 2023/12/11 06:02
社会保障審議会医療保険部会は12月8日、長期収載品を選定療養に位置付ける制度改革を大筋で了承した。厚労省がこの日示した資料によると、“上市後5年置換率50%未満”を軸として最大900品目が対象となる。ただし、医師が医療上の必要性から銘柄別処方(後発品への変更不可)とした場合は保険給付の対象とする方針。長期収載品を使用する際の患者の追加負担をめぐっては、長期収載品と後発品の差額の「1/2」、「1/3」、「1/4」を提案した。患者負担や選定療養の対象範囲などは、24年度政府予算案の編成過程での議論を経て、年内に中医協で決定する。

◎厚労省案 対象は後発品上市から5年以上経過、5年未満で置換率50%以上の品目

厚労省がこの日、長期収載品の薬価が後発品上市から5年経過後の段階的引下げ(Z2)が入ることを参考に、後発品上市から5年を経過した長期収載品を対象にすることを提案。さらに、上市後5年を経過していなくても、置換率が50%に達している場合は、「後発品の選択が一般的に可能な状態になっている」として選定療養の対象とすることを提案した。厚労省の資料によると、「上市後5年以上・置換率50%以上(約440成分)」、「上市後5年以上・置換率50%未満(約420成分)」、「上市後5年未満・置換率50%以上(40成分)」。

医療上の必要性により医師が銘柄名処方(後発品への変更不可)の場合など、医療上の必要性があると認められる場合については、選定療養とせず、引き続き保険給付の対象とする。医療上の必要性が認められる場合については、処方段階で明確になる仕組みを検討する。一方で、銘柄名処方の場合でも、患者希望により長期収載品を処方・調剤した場合や、一般名処方での長期収載品の使用は選定療養に位置付ける方針。薬局で後発品の在庫がない場合など、後発品を提供することが困難な場合は保険給付の対象とする考え。

猪口雄二委員(日本医師会副会長)は、「患者さんの希望であっても、その背景には使用感や効き目が違うなど、患者さんご自身が感じている医療上の必要性が理由となっている場合がある。患者さんとコミュニケーションをとりつつしっかりと判断する必要があると思う」との考えを示した。

◎長期収載品と後発品の価格差1/2以下の“一定割合”を患者追加負担に

患者の追加負担については、長期収載品と後発品の価格差の「少なくとも1/2以下」として、「1/2」、「1/3」、「1/4」の“一定の割合”とすることを提案。選定療養について負担を徴取しないことや、価格差の差額より低い額の徴収は認めない方向で検討を進める。

厚労省は、後発品の薬価は最高価格帯の薬価を想定した2つのケースのシミュレーションを示した。先発品が500円、後発品が250円のケースでは、3割負担の患者では、1/2の場合は250円(現行の患者負担より100円増)、1/3の場合は217円(67円増)、1/4の場合は200円(50円増)となる。先発品が500円、後発品が150円のケースでは、3割負担の患者では、1/2の場合は290円(140円増)、1/3の場合は243円(93円増)、1/4の場合は220円(70円増)となる。

◎現場の混乱避けるために低い水準から開始すべきとの声 「1/2を患者追加負担にすべき」との声も

猪口委員は、「過度にメリハリを利かせると自己負担が変動することによる患者さんの混乱や安定供給に支障が生じる恐れがあるので、最初はできるだけ低い割合から始めるべき」との考えを表明。「例えば、選定療養して患者さんに負担を求めるにしても、負担額が大きすぎると受診控えにつながり、かえって重症化のリスクを生ずることは大きな問題となる」として適切な負担割合が必要とした。渡邊大記委員(日本薬剤師会副会長)は、「患者の負担増を最小限にとどめる割合にするとともに当該負担額を調整する」ことが必要との考えを示した。

中村さやか構成員(上智大経済学部教授)は、「初めて導入される仕組みであることから、差額の患者負担は、まずは低い水準から始めるのが良いだろうと思うが、本来は全額患者負担とすべき」と述べた。

一方、佐野雅宏委員(健康保険組合連合会副会長)は、「患者負担の水準は患者の負担増に一定の配慮が必要だと思うので、価格差の2分の1以下とするというのは妥当な範囲だと感じている。後発品を使用するインセンティブはきちんと働く程度の水準にすべきだ」と述べた。北川博康委員(全国健康保険協会理事長)は、「2分の1とする方向で検討を進めていただきたい」との考えを示した。

制度の施行時期について、渡邊委員は、「来年6月の改定の更新時は、診療報酬改定、介護報酬同時改定でもあり、患者説明にも時間を要する。システム対応や、患者負担が発生することの周知広報に十分な期間の余裕を持つことが重要だ」として、医療現場に混乱を来さないよう、求めた。

◎OTC類似薬の保険外しなどは「引き続き検討」

このほか、厚労省は、「薬剤定額一部負担」、「薬剤の種類に応じた自己負担の設定」、「市販品類似の医薬品の保険給付のあり方の見直し」などについては、「引き続き検討すべき」とした。

佐野委員は、「持続可能性の観点からね、市販品類似の医薬品の保険給付のあり方の見直し等、他の課題についても、ぜひ引き続き検討をお願いしたい」と述べた。

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