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厚労省 改正感染症法・医療法ガイドライン骨子案提示も実効性や議論不足と指摘 再度意見集約へ

公開日時 2023/12/12 05:00
厚労省は12月11日の医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議に、来年4月の改正感染症法・医療法の施行を見据え、ガイドラインの骨子案を報告した。供給不安時の医療法に基づく報告徴取が可能となるが、ガイドラインで報告対象の品目や報告頻度などを示すことで企業に予見性をもってもらうことが狙い。ただ、医療法に基づく場合は法に基づく増産要請を行うことができないことなどから、構成員からは、実効性を懸念する声があがった。成案化を進めようとする厚労省に対し、坂巻弘之構成員(神奈川県立保健福祉大大学院ヘルスイノベーション研究科教授)は議論が熟していないと指摘し、「実効性が伴わない」などと反対姿勢を鮮明にした。厚労省はこの日の議論も踏まえ、構成員などから改めて意見を集め、これを踏まえたうえでパブリックコメントを行う方針。

◎医療法に基づく報告徴取 同一成分規格の品目のすべて、シェアが大きい品目、安定確保医薬品など想定

現行制度でも、製薬企業には供給不安時には報告することが求められていたが、行政指導の範疇で行われていた。改正医療法の施行により、同一成分規格内で需給が逼迫するなど供給不安のリスクが高い場合、医療法に基づく報告徴取により追加情報を収集することなどが可能になる。また、実際に限定出荷や供給停止など供給不安が発生した場合は供給情報を公表するとされている。厚労省の示したガイドライン案では、「同一成分規格の品目のすべて又は成分シェアが大きい品目が供給不足、安定確保医薬品の供給不足」を適用場面に例示。代替薬や改善見込み時期、供給不足の理由、生産計画などを報告徴取項目にあげた。

◎感染症法に基づく生産促進要請 生産計画に沿わず正当な理由ない場合は企業名公表

一方、感染症関連の医薬品などについては平時からのモニタリングに加え、法改正により感染症法に基づく報告徴取に加え、生産促進を促すことも可能としている。ガイドライン案では、生産・輸入促進要請などの適用場面としては、「報告徴収規定(医療法を含む)の結果を踏まえ需要増や輸入減等により供給が現に不足する蓋然性が高い場合、新興感染症が発生した場合など」をあげた。在庫量や平時の生産量、最大生産量、平時・足下の出荷量、残受注量、達成目標、生産促進に向けた具体的な取組内容やスケジュール・実施体制等を記載した「生産計画」を策定。計画に沿えず、正当な理由がない場合は、その根拠や要請等の内容を対象企業名とともに厚労省ウェブサイトで公表するというペナルティを設ける。一方、増産要請を行う際は、「必要な財政上の措置」を検討するとしている。

◎宮川構成員「お願いベースではこれまでと同じ」 

厚労省は同日の検討会の意見を踏まえて、パブリックコメントを経て成案化すると説明。並行して、製薬業界などに説明会を行うスケジュール案を示した。ただ、坂巻弘之構成員(神奈川県立保健福祉大大学院ヘルスイノベーション研究科教授)は、「ワーキンググループでは具体的なガイドラインが示されていない。これでパブリックコメントを出してオーソライズドされるのか。そもそも何を報告するのか、感染症法と医療法とで考え方が整理できているのか」と指摘。「実効性を伴わない」などと反発姿勢を強めた。医薬品だけでなく、医療機器や検査キットなども含まれていることから、関係団体から意見を聴取する必要性も指摘した。

また、供給不安時の医療法に基づく増産要請は依頼ベースとなることから、松本哲哉構成員(国際医療福祉大学医学部感染症学講座主任教授)は、「報告と増産の要請についてはこれまでも報告を受けてきたし、増産もされてきた。改正医療法・感染症法と何が違うのか」と指摘。宮川政昭構成員(日本医師会常任理事)も、「お願いベースではこれまでと同じだ。どこがどう変わるのかを教えていただきたい。有事の際のことなので、しっかりした作り方をしなければ、法律的な建付けを作りましたで終わってしまってはもったいない」など、実効性を指摘する声があがった。

梶山健一構成員(日本製薬団体連合会安定確保委員会委員長)は、ガイドラインについて「例えば増産に向けての原薬や人の手配など、その計画をいつまでにというスピードを具体的に落とし込んでいくかは実際のオペレーション上の課題はあるのでは」と指摘した。また、感染症は急速に終息することもあることから、「(感染症治療の増産による)在庫と残ることが企業としては、非常にリスク。在庫として残ったものに対して使用期限の延長等、(感染症が)終わった後というのも含めてご相談させていただきたい」などと述べた。

厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課の水谷忠由課長は、「構成員の皆様に、事前にご説明できていないことをお詫び申し上げる」と述べたうえで、改めて趣旨を説明。「足下の供給不安に対して、これまで行政指導という形で企業に増産をお願いしてきた。増産をお願いする前提として、その状況についても報告をお願いしてきた」と説明。「平時からの供給不安の報告については、今企業からいただいてるはずのものになってるものが必ずしも適切に出されていない。こうしたものを徹底することをベースとしながら、この法律上の枠組みを組み合わせてそれでどのようにするかということで、事務局として示させていただいた」と説明し、理解を求めた。

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