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沢井製薬に行政処分 厚労省が初の総責の変更命令 大阪府、福岡県が業務改善命令 テプレノン不正で

公開日時 2023/12/22 15:30
沢井製薬の胃腸薬・テプレノンカプセルの不正が薬機法違反に相当するとして、厚労省は12月22日、沢井製薬に対し、総括製造販売責任者(総責)の変更命令を行った。薬機法改正で総責の変更が盛り込まれて以降、初の適用となる。大阪府は沢井製薬に対する医薬品の製造販売業務及び法令遵守体制に対する改善命令、福岡県は医薬品製造業(九州工場)に対する医薬品製造業の許可に係る改善命令をそれぞれ発出した。沢井製薬は同日、行政処分を受けて、「当社のお薬をご使用いただいている患者さま及び医療従事者をはじめとする関係者の皆さまに大変なご迷惑、ご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げる」とのコメントを発表した。

行政処分は、同社の製造販売するテプレノンカプセル50mg「サワイ」について、製造業者である九州工場で、安定性モニタリングの溶出性試験において、カプセルから内容物である顆粒を取り出し、別の新しいカプセルに詰め替える作業を行い、詰め替え後の検体を用いて溶出性試験を実施し合否判定を行うという不適切な方法で試験を行っていたことに対するもの。

◎不正行為を調査せず、当局への報告をしないと判断したことなどで総責の責務問う

厚労省は総括の変更命令に至った理由として、①不正行為が継続的に行われていたにもかかわらずこれを検知できる体制を構築せず、品質管理業務を適正に行わなかった、②総責は、不正行為について報告を受けた後、同社九州工場に対して本件不正行為の事実関係の調査及び原因究明を指示せず、原因究明についての業務を行わなかった、③不正行為について報告を受けた後、不正行為の全容が明らかになっていない時点では当局への報告を行わないことを判断。大阪府から指摘を受けるまでの間、大阪府や厚生労働省に対し、不正行為について報告しなかった、④生産本部が同社九州工場に対して指示した不正行為の事実関係についての調査に対し、生産本部と密接な連携を行わず、その調査状況の確認を積極的に行わなかった―ことをあげた。

厚労省医薬局監視指導・麻薬対策課は、沢井製薬が多数の医薬品を扱っており、影響が大きいことや、不正事案が続く中で厚労省の医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会でも指摘を受けたことなどを総合的に踏まえ、厳正な処分が必要と判断した。

◎大阪府 少なくとも1か月以内に業務改善計画の提出を要請

また大阪府は、第一種医薬品製造販売業及び第二種医薬品製造販売業の許可に係る製造販売業務及び法令遵守体制に対する改善命令を出した。処分対象施設は、沢井製薬信頼性保証本部。九州工場から報告があった際に、品質、有効性、安全性に与える影響などを適切に評価せず、原因究明等の所要の措置を講じなかったと指摘。2015年から23年4月までの間、安定性モニタリングの溶出性試験について、不適切な方法により試験が行われていたが、製造販売業者としてこの行為を認識せず、同工場における適正な製造管理及び品質管理を確保できていなかったことを問題視した。また、これら医薬品の品質管理に関する業務を適正に遂行するために必要な体制の整備や薬事に関する法令の規定の遵守を確保するために措置を講じていなかったことも指摘した。業務改善計画を少なくとも1か月以内に提出するよう求めており、その後、大阪府が計画の完了を確認する。

◎福岡県 改善計画書を確認後、立入調査を行い、改善状況を確認

福岡県は沢井製薬九州工場に対し、医薬品製造業の許可に係る改善命令を下した。承認書に記載のない方法で試験を行っていたことや、必要な体制整備、所要の措置を講じていなかったことを問題視した。福岡県は、1か月以内を目途に改善計画書を提出するよう指示しており、計画書を確認後、立入調査を行い、改善状況を確認するとしている。

◎沢井製薬取締役会 総責変更命令で寺島徹信頼性保証本部長の取締役辞任と降格を決議

行政処分を踏まえて、沢井製薬は同日開催の取締役会で、総責を務める寺島徹・取締役専務執行役員信頼性保証本部長(サワイグループホールディングス取締役専務執行役員)の取締役辞任と降格を決議した。同社は、「本件不正行為について、経営責任を重く受け止め、本人から辞任の申出があったため。なお、サワイグループホールディングスにおいては、取締役を辞任し、専務執行役員から常務執行役員に降格処分を行う。また、沢井製薬においては、一切の役職を辞任する」とコメントした。寺島信頼性保証本部長は、常務執行役員(社長付)となる。後任には、中手利臣執行役員 信頼性保証本部副本部長が取締役上席執行役員信頼性保証本部長兼 販売情報提供活動管理室担当役員に就任する。いずれも、24年1月1日付。

このほか同社は、役員報酬の一部を自主返上すると発表した。澤井光郎代表取締役会長は月額報酬の50%を減額(6か月)、木村元彦代表取締役社長と、澤井健造取締役副会長はともに月額報酬の25%を減額(6か月)、横田祥士取締役と蓮尾俊也取締役はともに月額報酬の10%を減額(6か月)する。
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