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市場拡大再算定 “共連れ”ルールからPD-1/PD-L1阻害薬、JAK阻害薬除外へ 中医協

公開日時 2024/03/14 04:53
厚労省保険局医療課は3月13日に開かれた中医協薬価専門部会に、市場拡大再算定のいわゆる“共連れルール”からPD-1/PD-L1阻害薬、JAK阻害薬を除外することを提案した。診療・支払各側から大きな異論は出なかった。除外規定とされていた“競合性”の判断が個別品目で難しく、予見可能性が指摘されていたことを踏まえた対応。ただし、あくまで再算定の類似品からの除外であり、条件を満たせば市場拡大再算定は適応される。厚労省保険局医療課の安川孝志薬剤管理官は、「(類似品の除外領域を設定しても)医療保険財政の観点としても適切に対応できるのではないかと考えている」と説明した。厚労省は今後、類似品の除外領域について「中医協の了承事項」として別途取りまとめる方針で、さらに議論を詰める。

◎ルール適用は24年度四半期再算定 5月に判断へ

市場拡大再算定の類似品については、2024年度薬価制度改革の骨子には、「あらかじめ中医協で領域を特定して、当該領域については類似品としての再算定の適用を除外することとする」こととされており、この日から検討が始まった。類似品の除外規定としては薬価算定基準に「対象品と市場における競合性が乏しいと認められるものを除く」とされているが、個別判断が難しい状況であることから、あらかじめ対象領域を定め、類似品としての共連れから除外する領域を明確化することとなった。

見直したルールの適用は24年度の四半期再算定からとなるが、厚労省保険局医療課の安川孝志薬剤管理官は、「最初の四半期再算定は5月に判断するが、この際に用いるデータは3月のNDBデータなので今月のうちに中医協でご議論をお願いしたい」と説明した。

◎適応範囲から類似品とならない品目も存在 “競合性”の判断難しく

厚労省は、類似品から除外する領域の考え方として、「薬価収載後、新薬として開発が積極的に進められ、薬理作用類似薬と考えられる範囲において、対象部位や対象疾患などに応じた適応拡大が繰り返し行われる領域であること」、「適応拡大の結果、市場規模の拡大によって再算定の対象となることが見込まれる領域であること」、「市場拡大再算定を適用する場合、個別品目ごとの適応の違いによる競合性等の観点から、類似品としての再算定の適用範囲を判断することが難しく、予見可能性にも課題があると考えられる領域であること」、「対象とする領域を「類似薬選定のための薬剤分類」において明確に特定できる領域であるこ
と」を満たすことをあげた。

そのうえで、具体的な領域として、製薬業界からの要望もあった「PD-1/PD-L1阻害薬、JAK阻害薬」をあげた。いずれも類似品としての市場拡大再算定が行われた実績があり、同じ作用機序の薬剤であっても、適応範囲の違いから再算定の対象外となった品目が存在。適応拡大が進んだ品目ほど、類似品に該当しやすくなっていると説明した。PD-1/PD-L1阻害薬は現在6成分、JAK阻害薬は8成分が薬価収載されている。なお、24年4月の薬価改定はルール改正前となり、現在議論されているルールが中医協で了承されても、PD-1/PD-L1阻害薬・オプジーボは類似品として薬価が引き下げられる。

◎類似品の除外領域でも市場拡大再算定は適用「医療保財政からも適切な対応が可能」

市場拡大再算定の類似品の除外領域に該当しても、市場規模を拡大し、年間販売額と予想販売額比の条件を満たせば、市場拡大再算定は適用される。安川薬剤管理官は、「これらの領域については適応拡大を続けている中で市場規模が拡大するということが多いので、収載時の薬価算定方法、原価計算方式、類似薬比較方式、いずれにおいても一定規模の拡大があれば再算定が適用されることになる。医療保険財政の観点としても適切に対応できるのではないかと考えている」と説明した。

支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「PD-1/PD-L1阻害薬、JAK阻害薬に限って検討対象とするということで理解する」と述べ、「2領域は、過去にも同じ作用機序の薬剤で、適応範囲の違いから対象とならなかった品目が存在するということで、個別の判断を明確にするという観点から異論はない」と述べた。

◎新たな領域の検討 支払側・松本委員「該当領域が自動的に除外されるものではない」と釘

このほかの新たな領域については、次期薬価制度改革の検討にあわせて、関係業界からの意見も踏まえ、必要に応じて検討することも提案された。

診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「関係業界には、具体的に除外する必要のある領域について、その必要性や理由、その考え方、対応を行った場合の影響などをわかりやすくご説明いただけるよう、準備や関係者との連携などお願いできればと思う。その際には、ドラッグ・ラグ/ロスへの影響なども示していただけると理解が進むものと考える」と述べた。

支払側の松本委員は、「個別の事例を積み重ねていき、新たな領域を指定することについて、必要に応じて検討することは否定するものではない」としたうえで、「仮に除外領域を拡大するのであれば、実績をしっかり示していただいた上で、個別に妥当性を判断すべきものであり、類似品の除外に対する考え方に該当する領域が自動的に対象から除外されるものではないということは指摘させていただく」と述べた。

市場拡大再算定は薬価算定基準に明記されているが、類似品の除外領域については薬価算定基準の改正ではなく、中医協の了承事項として別途、取りまとめる方針で、さらに議論を深める。




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