医薬化粧品産業労働組合連合会（薬粧連合）は４月１日、2024年春闘の３月末時点の妥結結果を発表した。製薬企業では第一三共やアステラス製薬など11社で妥結。全11社で定期昇給を実施するほか、うち10社はベースアップや臨時定昇等の「固定給増」を実施することになった。ほか１社は固定給増ではないものの、昨今の物価上昇などに対応するため特別一時金を支給する。なお、薬粧連合では、社名開示可との社（組織）を除き、妥結した社名や妥結額／率は開示していない。

薬粧連合の松尾仁雄副事務局長（中外製薬労働組合特任中央執行委員）は本誌に、「23年度と比較してベースアップの妥結額／率は高くなっている」ものの、他産業の企業と比べると「（ベースアップの）数字は見劣りする」という。この要因のひとつに薬価が公定価格であることを挙げ、社会情勢の変化によるエネルギー・原材料費の高騰や賃上げ等による労務費の上昇分を、企業の判断で価格に転嫁できないことを指摘した。

ただ薬粧連合としては、「この厳しい状況だからこそ、発展の原動力である『人』への投資が不可欠」だとし、「豊かで健康な社会の実現という我々の産業の大きな使命を果たすためにも、全産業におけるモメンタムの広がりに合わせて賃上げを実行し、労働条件の充実に取り組むことで、産業としての魅力を高め、人材を惹きつけることが重要」としている。