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中間年改定の廃止を求める緊急集会 与野党議員の前で製薬団体・卸代表から「廃止・見直し」の声相次ぐ 

公開日時 2024/04/03 04:51
医薬関連労組で構成されるヘルスケア産業プラットフォームは4月2日、国会内で与野党の国会議員(41人出席)を招き、中間年改定の廃止を求める緊急集会を開催した。集会には製薬業界や医薬品卸の代表が課題報告として登壇。日本薬業政治連盟(薬政連)の鹿目広行会長は、「薬価改定は以前のように2年に1度に戻してもらいたい。それが無理ならば、中間年改定は2016年の4大臣合意に戻さなければならない」と述べ、出席した国会議員に理解を求めた。日本製薬団体連合会(日薬連)の宮島俊彦理事長も、「薬価差を理由に毎年薬価を引下げることには安定供給錠のリスクが大きい」と主張し、中間年改定の抜本的見直しを求めた。

◎薬政連・鹿目会長 平均乖離率に0.625倍「これは単なる数字合わせ。やってはいけない!」

緊急集会は、ヘルスケア産業プラットフォームが主催し、日薬連と卸連、日本CMO協会の協賛で行われた。課題報告を行った薬政連の鹿目会長は、中間年改定が定められた2016年12月の4大臣合意で「乖離幅の大きな品目について薬価改定を行う」と記したものが、2020年12月の3大臣合意で反故にされ、「ほぼ全ての品目の平均乖離率に0.625倍という根拠のない数字が出され、21年4月に中間年改定が実施された」と指摘。「これは単なる数字合わせではないか。やってはいけないことですよ!」と語気を強め、国会議員に訴えかけた。その上で、「医薬品卸は1%前後の営業利益で、それでも販管費を下げながら政府の賃上げ要請にできる限り応えてきた」と指摘。「毎年改定も中間年改定もやめて頂きたい」と強調した。

◎日薬連・宮島理事長 物価高騰や賃上げ原資確保など「現場負担への配慮が必要」

日薬連の宮島理事長は、「薬価制度は本来安定的であるべきだ。企業も予見性をもって新薬を開発できる。それが全く損なわれてしまっている。薬価差をもって毎年薬価を引き下げるということは安定供給上のリスクが非常に大きい」と指摘。さらに、物価高騰や賃上げ原資の確保、診療報酬改定や長期収載品の選定療養の導入などへの対応から、「現場負担への配慮が必要だ」と強調。中間年改定の廃止を含めた抜本的な見直しの必要性を主張した。

◎製薬協・森専務理事 政府の医療DX推進に沿った治験環境の整備を訴え

日本製薬工業協会(製薬協)の森和彦専務知事は、イノベーション創出環境に関わる課題について触れ、国が創薬力強化をリードし、一貫した整備・強化に努める必要性を主張した。具体的には、CMO/CDMOなどバイオ開発の人材不足を指摘。治験環境についても政府の医療DX推進に沿った整備の必要性を訴えた。さらに、健康・医療データの利活用についても、製薬企業が創薬開発にデータを2次利用するためのルールの整備などを推し進める必要性に言及した。

◎生産部門の課題は人材採用の難度と離職率 流通部門の課題は需給調整業務の過多

ヘルスケア産業プラットフォームはこの日の緊急集会に2つのアンケート調査の結果を報告した。医薬品生産現場の実態に関する報告では、9割超が人材採用の難度が高まっていると感じているほか、8割弱が離職率が高まっていると回答した。一方で、採用難度・離職率に共通する要因として、「賃金や賞与等の競争力が低下」や「労働環境の魅力度の低下」をあげた。こうした調査結果から、医薬品業界の疲弊につながる要因として、「価格転嫁が困難な産業構造」や「中間年改定」があげられると指摘した。

医薬品流通現場の実態についての報告では、中間年改定が実施される中の業務割合について、「MSが需給調整業務」に最も時間を割いているとの回答が8割を超えた。一方で本来業務の一つである「価格交渉に関する業務」は13.9%となった。この結果に対し、「終わりの見えない供給不安に終止符を打ち、品質の高い医薬品を安定供給し続けることが可能な体制を再構築するために、中間年改定を廃止していただきたい」と提言した。

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