ひとは壊れない
公開日時 2013/09/06 03:50
ひとは壊れない。必ず治せる。治せないのは技術が未熟なだけ--そう断言するのは義肢学(Prosthetics)のプロ、数々の特許を有する発明家にして、MITメディアラボでバイオメカトロニクスの研究チームを率いるDr. Hugh Herrである。(医療ジャーナリスト:西村由美子)
Dr. Hugh Herrは彼の発明品のユーザーだ。1982年に冬山で遭難。凍傷のために両足を失い、彼を救出に来た友人をも雪崩で亡くした。彼の両膝から下は義足である。
http://biomech.media.mit.edu/#/
自分にも他者にも「障害(Disability)」という概念を認めない、と語るDr. Hugh Herrは、自ら開発した義足を「カーボンとシリコン、多数のボルトやナットでできていて、自由に動けるよう制御しているのは、5つのセンサーとそれに接続した筋肉のような働きをするシステム、そして12個のコンピュータ」と簡単に説明し、その義足がよく見えるよう、特別にあつらえた膝丈のズボンを着用している。技術開発に加えDr. Herrの課題は、最先端の義肢に、いかにして医療保険の支払い償還を確保するか、であるという。
http://vimeo.com/43486048
義肢の先端技術を世界に周知したのは、史上初めて、両足とも義足でオリンピック(ロンドン)に出場した、南アフリカの陸上選手オスカー・ピストリウスであろう。装着している義足の形からブレードランナーと呼ばれた。
最近のアメリカが注目しているのはボストンマラソンの爆破テロで犠牲となり、両足とも膝から下を切断したJeff Baumanだ。彼のフェイスブックには、義足をつけて歩行訓練中の彼の写真が掲載されている。リハビリ中のJeffの笑顔は「ひとは壊れない」というDr,Herrの言葉を思い出させる。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=167917656723924&set=a.142689992580024.1073741828.142683559247334&type=1&theater