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SWITCH 転移性腎細胞がんの逐次治療でソラフェニブ一次治療の優越性認められず

公開日時 2014/02/13 00:00

転移性腎細胞がん(mRCC)の逐次療法で、ソラフェニブ、スニチニブの順に投与する治療は、スニチニブ、ソラフェニブの順に投与する場合に比べ、 無増悪生存期間(T-PFS)、全生存期間(OS)で優越性を示すことができなかった。オープンラベル無作為化臨床第3相試験「SWITCH」で示され た。逐次療法で両剤の投与順により、有効性・安全性に違いがみられるか、前向きに比較検討した試験ははじめて。米国サンフランシスコで1月28日~2月1 日まで開催されたASCO 2014 Genitourinary Cancers SymposiumのOral Abstract Session CおよびGeneral Poster Session Cにおいて、ドイツUniversitatsmedizin MannheimのMaurice-Stephan Michel氏が報告した。

逐次療法の有用性をめぐっては、これまで複数のレトロスペクティブ(後ろ向き)な研究で、一次治療としてソラフェニブを選択した治療が、スニチニブを選択した治療に比べ、有用性が高いことが報告されている。

試験の対象は、▽サイトカイン療法が不適切と判断された、▽全身療法の既往がない、▽ECOG PS 0/1、▽転移巣を1つ以上有する―18~85歳のmRCC患者。2009年2月~11年12月までに、ドイツ、オーストリア、オランダの施設から365例が登録された。

MSKCCリスク分類(favorable/intermediate)を用いて層別化した上で、ソラフェニブ→スニチニブ群(ソラフェニブ400mg1 日2回投与→スニチニブ50mg1日1回投与)182例、スニチニブ→ソラフェニブ群(スニチニブ50mg1日1回投与→ソラフェニブ400mg1日2回 投与)183例―の2群に無作為に割り付けた。一次治療は増悪または毒性発現まで継続し、二次治療移行前には1~4週間の休薬期間を設けた。主要評価項目 はT-PFSでのソラフェニブ→スニチニブ群の優越性とした。

割り付けられた一次治療を受けた患者は、ソラフェニブ→スニチニブ群177例(97.3%)、スニチニブ→ソラフェニブ群176例(96.2%)。データ カットオフ(2013年8月15日)時点における一次治療継続例は16例(8.8%)、20例(10.9%)、二次治療へと移行したのは、103例 (56.6%)、76例(41.5%)だった。

一次治療で投与中止がなされた理由は、有害事象または健康状態悪化がソラフェニブ→スニチニブ群15例(8%)、スニチニブ→ソラフェニブ群23例 (13%)、死亡が16例(9%)、19例(10%)、その他の理由が27例(15%)、38例(21%)。データカットオフ時点における二次治療継続例 は、12例(7%)、5例(3%)だった。

T−PFS(中央値)は、ソラフェニブ→スニチニブ群(182例)12.5か月(95%片側CI: >11.5、<15.0)、スニチニブ→ソラフェニブ群(183例)14.9か月(95%片側 CI>10.5、<17.2)で、ソラフェニブを一次治療として投与することの優越性は認められなかった(ハザード比(HR):1.01、 95%片側CI<1.27、優越性p=0.54)。

OS(中央値)も、ソラフェニブ→スニチニブ群(182例)31.5か月(95%片側CI: >23.3、<36.9)、スニチニブ→ソラフェニブ群(183例)30.2か月(95%片側 CI>23.6、<50.1)で、同様にソラフェニブを一次治療として投与することの
優越性は認められなかった(HR:1.00、95%片側CI<1.30、優越性p=0.49)。

一次治療の疾患コントロール率は、ソラフェニブ→スニチニブ群(177例)69.5%(CR:2.8%、PR:28.2%、SD:38.4%)、スニチニ ブ→ソラフェニブ群(176例)63.6%(CR:3.4%、PR:25.6%、SD:34.7%)、二次治療の疾患コントロール率は、ソラフェニブ→ス ニチニブ群(103例)48.5%(CR:1.0%、PR:16.5%、SD:31.1%)、スニチニブ→ソラフェニブ群(76例)31.6% (CR:1.3%、PR:5.3%、SD:25.0%)だった。

治療関連有害事象(AE)の発生率は、ソラフェニブでは、一次治療97.2%、二次治療84.2%(このうちグレード3以上:66.0%、35.5%)、 スニチニブでは97.2%、87.4%(グレード3以上:67.1%、51.4%)だった。いずれの薬剤も、二次治療での投与で発生率が低い傾向がみられ た。

一次治療でのAEの内訳をみると、ソラフェニブで下痢(54.0%対39.8%)、手足皮膚反応(39.0%対21.6%)、スニチニブで吐き気(22.0%対30.1%)、口内炎(8.5%対21.0%)の発生率が高い傾向がみられた。

左室駆出率(LVEF)は、試験開始時にソラフェニブ→スニチニブ群62.9%、スニチニブ→ソラフェニブ群で64.0%(p=0.20)、1次治療終了 時63.3%、62.3%(p-=0.56)、試験終了時は61.3%、63.3%(p=0.28)。N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT- proBNP)は試験開始時121pg/ml、136pg/ml(p=0.50)、1次治療終了時136pg/ml、182pg/ml(p=0.68)、 試験終了時144pg/ml対186pg/ml(p=0.20)。心関連のAE発生が懸念されており、心血管機能のモニターの必要性も知られているが、 LVEF、NT-proBNPともにいずれの時点でも両群間に有意差は認められなかった。
Michel氏は「安全性プロファイルは、両剤ともに既知の情報から予想できるもので、新たな問題は認められなかった」と説明した。
一次治療、二次治療別のPFSについても報告されたが、Michel氏は、▽増悪なく試験を中止した患者の一次治療でのPFSは定義が困難、▽二次治療単 独の結果は、両群で開始時期が異なり無作為化もされていない、▽安全性プロファイルの違いによる一次治療の中止が、PFS、T-PFSに影響を与えた可能 性も否定できない―ことを、試験の限界として指摘。その上で、「T-PFSは、いずれの薬剤を先に投与しても有意差が認められなかった。OSは両群間で有 意差が認められず、ともに、これまでの報告よりも良好な成績だった」と述べた。 (取材 医学ライター/リポーター 中西美荷)

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