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アステラス製薬・安川社長CEO 持続的成長の準備整った 次期経営計画「利益成長トレンドに向かう」

公開日時 2021/04/28 04:51
アステラス製薬の安川健司代表取締役社長CEOは4月27日、オンライン会見に臨み、「経営計画2018」の3年間を振り返りながら、「苦しかった転換期を乗り越えて、持続的な成長を成し遂げるための準備が整った」と強調した。その上で、「21年度は利益率の高い主力品(前立腺がん治療薬イクスタンジ等)の売上をさらに拡大し、利益構造も改善し、増収増益を目指す」と述べ、「次期経営計画では、本格的に中長期的な利益成長トレンドに向かう」と断言した。一方、松井幸郎・販売統括担当CCOはコロナ禍での国内営業体制について、「医師との面談が厳しい状況」となっていることから、フィジカルとデジタルをミックスして最適化するオムニチャネル・アプローチを軸とする情報提供活動に注力していることを明らかにした。

◎まさに大きな変曲点を迎えている

「いまアステラス製薬はまさに大きな変曲点を迎えている」-。この日、発表した20年度連結業績は、売上収益が前期比3.9%減の1兆2495億円、コア営業利益は9.5%減の2541億円となり前期比較で減少となった。前立腺がん治療薬・イクスタンジやFLT3(FMS-like tyrosine kinase 3)阻害剤・ゾスパタ、抗体-薬物複合体PADCEV(エンホルツマブ ベドチン)など、がん領域3製品が前期比790億円増と大きく伸長し、業績を牽引した。

しかし、一世代前の同社の屋台骨だった独占販売期間満了品(ベシケア、タルセバ、セレコックス、ファンガード/マイカミン)の売上が前期比557億円減、日本での販売契約終了品(ミカルディスファミリー、シムビコート、KMバイオ製品)が363億円減になるなど減少要因も抱えた。加えて第1四半期にCOVID-19の業績影響が見られるなどの特殊要因も重なり、「20年からの成長回帰には残念ながら至らなかった」と安川社長CEOは振り返った。

◎イクスタンジを含む新製品の構成比率が拡大


一方、安川社長CEOは、「我々の製品構成はこの3年間で大きく変貌した」と指摘。「18年当時は売上の22%ほどを特許満了製品に頼っていたが、20年度には約5%に、21年度は2.5%ほどになる」と強調、逆に「イクスタンジを含む新製品の構成比は、18年度28%ほどだったものが、20年度には45%、21年度には55%まで拡大する。これからも新製品群の適応拡大や販売地域拡大などに取り組んでいく」と述べ、持続的成長への足場固めが進んでいることを強調し、「本年度予定している過去に例を見ない大幅な配当増額は我々の自身の表れとしてみて頂きたい」とアピールした。同社は5月末に次期「経営計画2021」を発表する。

◎遺伝子治療分野のグローバルリーダー目指す 4月に「Astellas Gene Therapies」を設立

安川社長CEOはまた、Focus Areaへのアプローチとして「遺伝子治療」をあげ、21年4月1日付で子会社のAudentes Therapeuticsを社内統合し、「Astellas Gene Therapies」を設立したことを報告した。また、「遺伝子治療分野のグローバルリーダーとしてのポジションを確立する」と意気込んだ。X連鎖性ミオチュブラーミオパチー(XLMTM)患者を対象とした遺伝子治療AT132の臨床試験(ASPIRO試験)も、低用量での投与再開を今期第1四半期に見込んでいることを明らかにした。そのほか「Rx+」プログラムの進展にも期待を寄せた。

◎松井・販売統括担当CCO 全社的にオムニチャネル・アプローチを推進

国内営業について松井幸郎・販売統括担当CCOは、「(コロナ禍で)実際に病院で医師に会うことが物理的に難しくなっている」と述べ、「社内的な活動だけでなく、エムスリーの“myMR君”を通じ、MRとデジタルをうまく組み合わせて(医師への)情報伝達を行っている」と強調。「いままでのFace to Faceだけの情報伝達から、全社的にオムニチャネル・アプローチとして、フィジカルとデジタルをどうミックスして最適化する営業体制に変えている」と述べた。

営業拠点については、「昨年から支店をなくし、直接本部からのコントロールという形で、新しい営業体制を運営している」と説明。MR数については、「随時販売環境を考えながら必要に応じて変革を加えていく」と述べながらも、「いまの段階でこれを変更するという決定事項はない」と強調した。

【20年度連結業績 (前年同期比) 通期予想(前年同期比)】
 
売上高1兆2495億2800万円(3.9%減)、1兆3230億円(5.9%増)
営業利益1360億5100万円(44.2%減) 2650億円(94.8%増)
親会社帰属純利益1205億8900万円(38.3%減)、2090億円(73.3%増)

【20年度のグローバル主要製品売上(前年同期実績) 通期予想、億円】
イクスタンジ 4584(4000) 4646
ゾスパタ 238(143) 231
PADCEV 128(18) 130
エベレンゾ 11(2) -
ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ 1636(1616) 1679
ベシケア 316(447)300
プログラフ 1827(1929) 1820
ハルナール/オムニック 369(427) 391
ファンガード/マイカミン 256(352) 231
エリガード 95(142) 123

【20年度の国内主要製品売上(前年同期実績) 通期予想、億円】

グローバル品
イクスタンジ 402(358) 389
ゾスパタ 38(28) 32
ベタニス 351(343) 342
ベシケア 185(202) 171
プログラフ(グラセプター含む) 407(443) 405
ハルナール 30(41) 26
ファンガード 44(76) 36

ローカル品
スーグラファミリー 279(239) 303
うち、スージャヌ 113(89) 非開示
レパーサ 51(31) 非開示
リンゼス 64(56) 66
ビーリンサイト 45(45) 非開示
イベニティ 248(236) 非開示
スマイラフ 17(3) 非開示
セレコックス 189(492) 209
シムビコート -(141) -
ジェニナック 25(77) 50
ワクチン 79(112) 74
ゴナックス 51(51) 55 
シムジア 100(93) 94 
ミカルディスファミリー -(177) -
ボノテオ 38(60) 32
リピトール 106(127) 102
マイスリー 78(90) 72
*仕切価ベース
 
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