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GE薬協・高田会長 物価・エネルギー価格高騰に危機感 23年度改定「受け入れられる状況にない」と訴え

公開日時 2022/09/26 04:58
日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)の高田浩樹会長(高田製薬代表取締役社長)は9月22日、厚労省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」で、毎年薬価改定の導入に加え、物価・エネルギー価格の高騰が続くことに危機感を露わにし、「現在の流通、薬価制度のもとでは、多くの後発医薬品の供給継続は困難であり、ジェネリック業界は、次回の中間年改定について受け入れられる状況にない」と主張した。高田会長は、毎年薬価改定の導入でジェネリックメーカーを取り巻く「事業環境は劇的に変化している」と説明。「このままだと多くのジェネリック医薬品企業が不採算品目の製造中止を余儀なくされるなど、安定供給に関わる緊急非常事態となる」と危機感を示した。

◎原材料価格の高騰 収益の急激な悪化を予測 事業継続に影響出かねない

高田会長は、「ジェネリック医薬品企業は、現在の流通、薬価制度のもとで既に多くの後発医薬品が不採算となっている。そのなかで毎年改定が行われれば、ジェネリック医薬品企業は、収益の急激な悪化を予測しており、企業の規模を問わず、事業継続に影響が出かねない」との見方を示した。低薬価品では原材料費など原価の占める割合が高い。「長いライフサイクルを経ており、原薬購入価格など低減する余地が少ない。毎年改定に加えて急激な原材料価格の高騰、さらには為替変動によって、低薬価品の収益性は急激に悪化している」と述べた。原材料の購入については、「価格交渉中のものも多く、今後大きな影響が本格的に顕在化すると予測している」とした。このほか、包装資材価格も上昇しているとした。

そのうえで、「不採算やサプライチェーンの問題により供給に懸念が生じないよう、継続的な安定供給の確保が必要な医薬品に対する薬価制度上の措置が講じられ、不採算品再算定ルールや、基礎的医薬品、安定確保医薬品、G1撤退ルールなどのルールが制定されているが、製品ごとの価値が価格に反映され、医療上必要性の高い製品の継続的な安定供給が下支えされるような、既存のルールの見直しが必要と認識している」と強調した。

◎眞鍋日薬連会長「薬価引下げの環境にない」 中間年改定「実施是非を含め慎重に検討すべき」


日本製薬団体連合会(日薬連)の眞鍋淳会長(第一三共代表取締役社長)も、「直近の原油価格の高騰や円安の影響は、医薬品の製造コストに大きな影響を与えており、特に低低薬価品では原価率が著しく悪化、上昇している。政府により物価高騰などを踏まえ適切な価格転嫁等の配慮について要請されているが、このような状況を踏まえれば、薬価を引き下げる環境にはなく、2023年度の中間値改定は実施の是非を含め、慎重に検討すべき」と主張した。

◎菅原委員 十分な体力ない企業「整理されないまま存続するメカニズムでは」


菅原琢磨構成員(法政大経済学部教授)は後発品50品目未満の供給にとどまる企業が148社あるとのデータを引き合いに、「ごくわずかな品目しかやっていない会社が、実態としては精査するとかなりあるのではないかと思っている。非常に厳しい言い方だが、国は安定供給を図るうえで、十分な体力を持っていないような企業がある意味では参入しているし、かつそれが整理されないまま、存続するようなメカニズムになってはいないかというところが非常に気になっている。この辺はいかがだろうか」と、ジェネリックメーカーの産業構造について質した。

◎高田会長 点眼薬、点鼻薬、テープ剤など特殊剤形に特化「不要なものの選択肢でない」

これに対し、GE薬協の高田会長は、148社のなかには「規格揃えやラインナップの補完という意味で新薬メーカーが後発品をカテゴリーとして取られているものも含まれている。例えば、点眼薬や点鼻薬、テープ剤など特殊な剤形に特化した企業が数少ない品目を取得されているものも含まれている。そういったものは、不要なものの選択肢ではないのではないかと思っている」と述べた。そのうえで、「これまで後発品80%を目指すなかで、各社が異業種、海外も含めて参入してきて、皆で80%に向けて増産をしてきたという事実がある。そのなかで、もしかしたら企業数も品目数も増えてきたという実態は確かにご指摘の通りかなと思う。現在、不採算品目が増えてくるなかで、各社いままで通り増やしたまま、それを全て、品質確保・安定供給し続けられるかどうかといった観点では、自分たちの得意な領域や、剤形、生産ラインに応じた生産ということに少しずつ集約化していると感じている。方向性としては間違ってないのではないかと思っている」と述べた。


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