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BMS CAR-T療法の情報提供担うカスタマーサクセスマネージャー 顧客目線で全国をカバー

公開日時 2023/01/31 04:52
CAR-T療法で、新たな情報提供モデルの構築に挑むブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)―― 。“カスタマーサクセスマネージャー”がオンラインも駆使し、全国のCAR-T療法に注力する医師の情報提供を担う。意識するのはあくまで“顧客目線”だ。「医師の行動変容を促すというよりも、より自信をもって使っていただくことに重きを置いている」―― 。BMSのヘマトロジー・オンコロジー事業部門の前田敏宏細胞療法統括部長はこう強調し、これまでのMRを通じた情報提供と一線を画した新たなモデルとしたい考えだ。

◎CAR-T療法のコンサルタント的な役割

CAR-T療法の情報提供を担うのは、“カスタマーサクセスマネージャー”。基本的にプッシュ型の情報提供や医師の行動変容などは目的とせず、医師が抱く疑念や疑問に寄り添いながら自信をもって処方するのを後押しする。いわばCAR-T療法のコンサルタント的な役割を担う。

「CAR-T療法を使用しない医師は基本的にはターゲットとしない」のも特徴だ。CAR-T療法は現在、十分な知識・経験を有する医師のいる施設での実施が承認時の条件となっており、国立がん研究センターや大学病院など約20施設で実施されている。ターゲットとなるのは、治療施設に在籍する専門医約200人だ。前田統括部長は、「専門医で経験も積んでおり、薬剤も含めて知識が深い。特にCAR-T療法を考慮する場合は最後の選択肢としてかなり難
しい判断をされる。いわゆる通常の情報提供は必要ないのではないか」と話す。このため、「使うと先生が決められたからには、しっかりサポートしますよ、というモデルの方が良いと考えた」と話す。

◎“D to D”のウエブ講演会に軸足 海外のKOLとの交流の場も

一方で、医師の処方のきっかけとしては、“D to D”のウエブ講演会に重きを置く。症例が蓄積された海外のKOLとの交流の場を設定することで医師の行動変容を促したうえで、顧客サポートを行うモデルと言える。CAR-T療法への医師の興味の高さやエビデンスなどもあり、「製薬企業側からクロージングをしなくても、一定程度のニーズがある」と話す。このため、カスタマーサクセスマネージャーからの情報提供は、「一方通行ではなく、先生方のニーズに合わせた情報提供を行っている」と強調する。具体的には、副作用、なかでもまれな副作用や投与開始から時間を経て発現する副作用、さらには他施設の事例共有などが主なものだという。

◎施設担当のサイトマネージャーと連携 必要なタイミングで情報提供を

情報提供に際しては、各施設を担当するサイトマネージャーとも連携する。「投与開始が見えてきたタイミングや、数例CAR-T療法を経験した後の検査の方法、稀な副作用への対応に困っているときなど、タイミングを見て、情報提供が必要か提案させていただいている」と話す。

現在、カスタマーサクセスマネージャーは1人で全国を担当することから、オンライン面談が大半を占めるが、ツールには重きを置いていないという。「顧客の立場で考えたときに、良い情報であれば、目の前での情報提供でもリモートでもどちらでもいいのでは」と指摘。オンラインによる効率化などを視野に入れたチャネル活用など、製薬企業目線での議論にも一石を投じたい考えだ。

◎KPIは「医師からのNPS」と「定期的に情報提供できる医師数」

カスタマーサクセスマネージャーのKPIには、「情報提供を行った医師からのNPS(ネットプロモータースコア)」と、「定期的に情報提供をできる医師数」の2軸を据える。売
上やコール数、講演会への医師の招聘数など、一般的なMRのKPIは置いていない。

「過去の色々なセールスのKPIとは一線を画したいと思っていた」と前田統括部長。「セールスインセンティブをおくと処方に軸足が行ってしまう。医師のニーズを解決することに軸足を置いてほしいと考えた」と説明する。「KPIとして訪問頻度やコール数は本当にふさわしいのか。継続的に情報提供できるということは、ある程度顧客に価値のある情報を提供できていることだ。より売上やビジネスに寄与すると考えた」と強調する。

◎SaaS業界の成功事例から着想を得た

このモデルは、SaaS(Softwareas a Service)業界の成功事例から着想を得たという。カスタマーサクセスマネージャーとはSaaSで一般的に用いられる呼称で、製品を購入後も顧客とのリレーションを強化することで、製品を継続的に活用してもらう役割を担っている。

前田統括部長は、「使わない顧客を基本的にターゲットとせず、使うときに先生方に自信を持っていただくというのは、SaaS業界の継続に近い概念だと思っている」と話す。

「MRの役割は大きく変わってきている」と前田統括部長は強調。製薬企業のポートフォリオがプライマリケア領域からスペシャリティへとシフトするなかで、「専門医に対し、
MRからの情報提供で付加価値をつけるのは難しい。何百人ものMRをトレーニングし、専門医の求めるピンポイントの情報提供を行おうと思うと、クオリティの面でも難しさは
ある」と指摘。希少疾患やオンコロジー領域などのスペシャリティ領域で、こうしたモデルの強みが発揮できるのでは、との考えを示す。

スタートした2022年2月から1年近くが経過し、「一定程度、定期的にコンタクトできる医師が着実に増え、NPSも悪くない」と手応えをみせた。
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