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24年4月号『創薬力強化 革新的新薬創出へ“官民協働”で考える』から思うこと

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こちらのコーナーでは、ミクス本誌の記事から人事担当者の目線で気になった記事を主にキャリア開発の視点から読み解いていきます。
製薬業界に関するニュースが日々飛び交うなかで皆さまのキャリア構築の一つの視点として読んでいただけますと幸いです。

今回は、4月号の『創薬力強化 革新的新薬創出へ“官民協働”で考える』にフォーカスを当てたいと思います。
※厚生労働省 医政局 医薬産業振興・医療情報企画課長へのインタビュー記事です。
エコシステムから考えるキャリアの可能性
今回のインタビュー記事の前半部分は日本の創薬力強化がテーマになっており、そこには「エコシステム」というワードが何度も登場します。エコシステムと言うと、「アカデミアやベンチャー、大手企業などの有機的な連携」という観点からベンチャーキャピタル(VC)がハブとなるイメージが強く、実際、シードの目利きや資金供与などの点においてVCが存在感を発揮しているケースが多くあります。しかし、日本はVCが取り扱う件数・投資額ともに諸外国と比べて低いことが内閣官房の成長戦略会議事務局が作成した資料でも指摘されており、多くの産業においてまだ充分に機能していない状態だと言えそうです。

特に医薬品の世界では、その専門性の高さからVCと言えどもエコシステムの構築に気軽に参入しにくい側面があるので、この分野において高い知見や充分な経験、ノウハウを有した人材への期待感が高まっているのではないでしょうか。特に厚労省が重視しているアーリー段階でのインキュベーション機能については、製薬メーカーやその周辺企業において基礎研究や臨床開発、マーケティングやマーケットアクセス、事業開発やファイナンスなどに関わってこられた方々の専門性を総合的に活かしていくことが求められるのではないかと感じています。

「多面性」があらたなキャリアのキーワードになる
従来、製薬メーカー内におけるキャリアは、「研究」「開発」「セールス/マーケティング」「生産」などの各ピラーの中でより上位のポジションをめざすという考えが主流でしたが、ここ10年ほどの間に各社で社内公募制度が定着し、部門横断的なキャリアパスを歩む方が増えてきました。また、社会的にリスキリングの意識が浸透してきたことに伴い本業以外のさまざまな専門性を磨くチャンスもかなり増えています。こうした機会を有効に活かすことで多面的な視点から製薬ビジネスを理解しやすくなり、今の会社に在籍しながらもエコシステムにおけるインキュベーターの役割を果たしうる人材になることが可能になってきています。

一方で、そうした高度で横断的な知識やスキルを社外で活かす道も今後増えてくると思われます。VCでの目利き役はもちろんのこと、スタートアップ企業やアカデミアでの大手企業とのパイプ役、証券会社における医療/医薬セクターのアナリスト、関係省庁の外郭団体や諮問機関の構成メンバーなど、少し考えただけでもその可能性がたくさんあることが分かります。その専門性の高さから閉じられた業界というイメージもあった医薬品業界ですが、これまでに培ってこられた皆さんの幅広い知見を活用できるキャリアパスはここへきて大きく広がってきたと言えそうです。このような視点であらためてご自身のキャリア開発の方向性を考えてみられてはいかがでしょうか。


<内閣官房 成長戦略会議事務局 基礎資料>
 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/seichosenryakukaigi/dai8/siryou1.pdf

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