ミクスは10月、MR経験者のキャリア選択の可能性を考えるセミナーを開催した。アンケートに答えることで自身の強みや価値観を分析するツールなどを活用し、製薬企業内の職種の適正や今後のキャリアについて考えるというもの。参加者からは、「より安定した職を得たいと考えているが、今の会社に残ることができるか不安だ。職を変えても結局不安感は同じではないか」との意見も寄せられた。これに対し講師陣からは、家庭状況や生活とやりたいことのバランスを考えながら、自分だけのキャリアを追求してほしいという声が相次いだ。
セミナーは、変化のスピードが増す製薬業界で、MR1人ひとりが自らのキャリアを主体的に整理し、将来について考えてもらおうと開催された。講師を務めたピーエムリンク合同会社の田口武士氏は、キャリアを考えるためには、自身の強みを再発見することが大切だと指摘し、自己理解を深めるために独自開発した2つのツールを紹介した。
1つ目は、20問のアンケートに答えることで、強みや価値観などの指向性を分析し、製薬企業内の14種類の職種の適性について把握できるキャリアナビゲーター。理想の職種とのギャップがあった場合は、改善策についても提案してくれる。田口氏は、「現在はまだベータ版だが、企業独自の評価基準を反映することで、各企業のオーダーメイド型ツールとすることを目指している」と述べた。
2つ目は、働き始めてからのモチベーションの変化を可視化するモチベーションジャーニーだ。成長につながったシーンや背景を認識することで、自身の課題についても把握できるツールとなっている。PDFでダウンロードできることから、上長やメンターとの面談の際に活用することを想定している。
運用を担う同社の北場彰氏は、製薬企業の社員は転職や社内異動の回数が他産業と比較して少ない傾向があるという背景を説明し、製薬企業の社員が抱く将来への不安感について、「漠然とした不安は不安要素を分解して明確化していくと糸口が見える」と呼びかけた。そのうえでキャリアを適切に意思決定して選択するまでの準備期間として3年が必要だと言われていると指摘。複数の製薬会社で営業やマーケティングなど多くの部署を経験し、MBA取得やプロボノ活動に挑戦した自身の経歴を振り返りながら、「仕事には、好きなことや生活、夢を追い求めることなど、様々な目的があるが、どの仕事が正解ということはない。参加者の皆さんが理想とする働き方を見つけるサポートをしたい」と呼びかけ、ツールの活用を勧めた。
「キャリアの定義を知りたい」参加者から不安の声
参加者からは、「より安定した職を得たいと考えているが、今の会社に残ることができるか不安だ。職を変えても結局不安感は同じではないか。キャリアの定義を知りたい」との意見が寄せられた。
これに対し、ミクス・キャリア・コミュニケーション事業部長の岡田光紀が、「キャリアとは生きざまだと考えている」と回答したほか、ヘルスケア業界を中心に人材の発掘やマッチングをサポートするブライトゲート社の桐田博史代表は、「生き方を含めてキャリアと呼ぶことが増えている。自分がどのような経験を積み重ねるかという筋道全体を通してキャリアを考えてほしい」と呼びかけた。一方北場氏は、「キャリアの定義や正解はない。キャリアは自分であとから確証していくことが大事で、難しく考えないこともポイントだと思う。生活基盤やレベルとのバランスをとりながら自分の好きなことをやっていくという永遠の課題だ」と返答した。
新規会員登録(無料)へ
会員登録をするとイベント情報や非公開求人情報など会員限定情報をご案内いたします。