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【UEGW事後特集】HUNT 重度の胃食道逆流現象患者で禁煙による症状改善みられる

公開日時 2012/10/28 05:00

週に一回以上、逆流防止薬を投与されている重度の胃食道逆流現象(gastro-oesophageal reflux symptoms、以下GORS)患者では、禁煙によりGORSの症状改善がみられることが分かった。禁煙によって症状の改善がみられるか、ノルウェーの人口ベースコホート研究「HUNT」のデータを基に解析した結果から分かった。10月20~24日までオランダ・アムステルダムで開催された第20回欧州消化器病週間(United European Gastroenterology Week:UEG Week2012)で、22日に開かれたプレナリーセッションで、ノルウェー・Levanger HospitalのEivind Ness-Jensen氏が報告した。(医学ライター・森永知美)


GORSは、胸焼けや胃酸逆流などの症状を呈し、特に西欧諸国で高頻度で報告されている。これまでの研究で、QOLの低下や食道腺がんのリスク上昇との関連性が示されているほか、リスク因子として喫煙との関連性が明らかになっている。ただ、禁煙によってGORSの症状改善がみられるかは分かっていなかった。


解析は、禁煙とGORSの症状改善との関連がみられるか検討する目的で実施された。解析対象の、HUNT研究は、ノルウェーのNord-Trøndelag群に在住する20歳以上の居住者を対象としたもの。健康関連の質問票調査やインタビュー、臨床的測定などを実施したほか、生物的サンプルを採取していた。


今回の研究では、1995~97年まで(HUNT2)と2006~08年までの調査(HUNT3)で、過去12カ月間の胸焼けと胃酸逆流の程度を報告した合計2万9610例のデータを対象とした。


HUNT2のベースラインで重度のGORSを呈し、日常的に喫煙していた486例について、HUNT3で禁煙していた症例(213例)と喫煙を継続していた症例(251例)で比較し、GORSの症状改善と禁煙との関連性をロジスティック回帰分析した。分析では逆流防止薬(プロトンポンプ阻害薬、H2受容体拮抗薬、制酸薬)とBMIで階層化するとともに、性別や年齢、アルコール摂取、教育、運動の因子で調整した。


逆流防止薬の投与回数により患者を分けて解析した結果、投与回数が週に1回に満たない被験者(185例)では、禁煙と症状改善との関連性はみられなかった(オッズ比(OR):0.95、95% CI: 0.39 – 2.30)。一方で、投与回数が少なくとも週に1回以上の患者(279例)では、禁煙と症状改善との間でのオッズ比は1.78で、有意な関連性がみられた(95% CI: 1.07 – 2.97)。特にBMIが正常範囲(18.5-24.9)だった患者(50例)では、禁煙による症状改善が著しく、オッズ比は5.67だった(95% CI: 1.36 – 23.64)。一方、太り過ぎの被験者では関連性は見られず、25.0 – 29.9の範囲(124例)のオッズ比は1.24(95% CI:0.57 – 2.71)、30.0以上の被験者(100例)では1.29(95% CI: 0.53 – 3.17)だった。


結果を報告したNess-Jensen氏は、太り過ぎの被験者で禁煙とGORS改善とに関連性が見られなかったことについて、「喫煙よりも太り過ぎであることの方が、より強力なGORSのリスク因子であるのかも知れない」と指摘した。


逆流防止薬の使用頻度が週1回に満たない被験者で関連性がみられなかったことについては、これらの被験者が食道炎や裂孔ヘルニアなど進行性胃食道逆流症(GORD、日本ではGERD)に進展していた可能性が考えられると考察した。その上で、「禁煙はGORS患者において、逆流防止薬の定期使用による治療効果を、さらに増強する可能性がある」との考えを示した。

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