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SAVOR-TIMI 53 サキサグリプチン投与で高リスク糖尿病患者の心血管リスク上昇も低下もみられず

公開日時 2013/09/12 05:00

心血管既往または複数のリスク因子を有する2型糖尿病患者において、標準療法にDPP-4阻害薬・サキサグリプチンの追加投与は、心血管イベントの発生を増加させないことが分かった。一方で、約2年間の追跡期間では、心血管イベントのリスクは、低下もしないことが明らかになった。多施設共同無作為化二重盲検下比較試験「SAVOR-TIMI 53 (The Saxagliptin Assessment of Vascular Outcomes Recorded in Patients with Diabetes Mellitus)」の結果から分かった。8月31日~9月4日まで、オランダ・アムステルダムで開催された欧州心臓病学会(ESC)2013で9月2日に開かれたセッション「Hot Line III:Late Breaking Trials on Risk Factors and Diabetes」で、米Harvard Medical SchoolのDeepak Bhatt氏が報告した。


米FDAは新規糖尿病治療薬に対し、心血管への安全性を証明する試験の実施を義務付けており、同試験はこの要件を満たすために、非劣性試験として実施された。


対象は、過去6か月のHbA1cが6.5%以上で、心血管疾患(CVD)既往か複数のリスク因子(男性55歳以上、女性60歳以上で、脂質異常または高血圧、現在喫煙している者)を有する40歳以上の2型糖尿病患者。日本を除く26か国788施設から1万6492例が登録され、サキサグリプチン5m/日(eGFR≤50 ml/minの場合は2.5mg/日)投与群8280例、プラセボ群8212例の2群に割り付けられた。そのほかの、糖尿病治療薬の併用は、担当医の裁量とした。


主要評価項目は、心血管死+心筋梗塞+虚血性脳卒中の複合エンドポイントを設定した。発生するイベントが1040例に達するまで試験は継続し、それまで6か月ごとに追跡を行った。非劣性の上限のマージンは、ハザード比(HR)1.3。非劣性のマージンを満たした場合は、優越性を検討することとした。主な副次評価項目は、主要評価項目に「心不全または不安定狭心症、冠動脈血行再建術による入院」を加えた複合イベントとした。追跡期間中央値は2.1年間。


ベースラインの患者背景は、平均年齢がサキサグリプチン群65.1歳、プラセボ群65.0歳、女性が33.4%(2768例)、32.7%(2687例)、CVDが78.4%(6494例)、78.7%(6465例)、脂質異常症の合併が71.2%(5895例)、71.2%(5844例)、心筋梗塞の既往が38.0%(3147例)、37.6%(3090例 )、うっ血性心不全の既往が12.8%(1056例)、12.8%(1049 例)、冠動脈血行再建術の治療歴が43.1%(3566 例)、 43.3%(3557例)だった。


併用薬は、アスピリンがサキサグリプチン群76%、プラセボ群75%、スタチンが78%、78%、β遮断薬が62%、62%だった。糖尿病治療薬では、インスリンが42%、41%、スルホニル尿素(SU)薬は41%、40%、メトホルミンは70%、69%だった。


◎低血糖はサキサグリプチン群で有意に増加


主要評価項目の発生率は、サキサグリプチン群7.3%(613例)、プラセボ群が7.2%(609例)で、HRは 1.00で、非劣性のマージンを満たしたが、優越性を示すことはできなかった(95% CI: 0.89 – 1.12、非劣性p<0.001、優位性p=0.99)。


副次評価項目の発生率は、サキサグリプチン群12.8%(1059例)、プラセボ群12.4%(1034例)で、同様に非劣性は示したものの、優越性を示すことはできなかった(HR:1.02、95% CI: 0.94 – 1.11、非劣性p<0.001、優位性p=0.66)。


内訳をみると、心不全による入院は、サキサグリプチン群では3.5%(289例)、プラセボ群が2.8%(228例)で、サキサグリプチン群で有意に高率となった(HR 1.27、95% CI: 1.07 – 1.51、p=0.007)。一方で、心血管死がサキサグリプチン群3.2%(269例)、プラセボ群2.9%(260例)、心筋梗塞が3.2%(265例)、3.4%(278例)、虚血性脳卒中が1.9%(157例)、1.7%(141例)で、心不全による入院を除く項目については、2群間で有意差は認められなかった。


糖尿病の罹患期間やベースラインのHbA1c値、腎機能値、CVD既往の有無、インスリン投与の有無などについて解析を行ったサブグループ解析でも、同様の傾向を示した。


なお、HbA1c値は、ランダム化から1年後でサキサグリプチン群7.6%、 プラセボ群7.9%、2年後で7.5% 、7.8%、試験終了時で7.7%、7.9%と、サキサグリプチン群で有意に低い値となった。目標値である、HbA1c<7.0%を達成した割合も、1年後でサキサグリプチン群38.4%、 プラセボ群27.5%、2年後40.0%、30.0%、試験終了時で36.2% 、27.9%で、いずれもサキサグリプチン群で高率となった。糖尿病治療強化やインスリン療法を開始した割合は、サキサグリプチン群では、プラセボ群に比べ、23%、30%低率で、いずれも有意差が認められた(いずれも、p<0.001)。

そのほか、微量アルブミン尿は、サキサグリプチン群では、悪化が13%、改善が11%だったのに対し、プラセボ群では悪化が16%、改善は9%で、有意差がみられた(p<0.001)。


有害事象については、低血糖がサキサグリプチン群15.3%(1264例)、プラセボ群13.4%(1104例)で、サキサグリプチン群で有意に高率だった(p<0.001)。重大な低血糖は2.1%(177例)、1.7%(140例)で、サキサグリプチン群で有意に高率だった(p=0.047)。ただし、入院を必要とする低血糖は0.6%、0.5%で、有意差は認められなかった(p=0.33)。

サキサグリプチン投与で発生率上昇が懸念された重度の感染症(サキサグリプチン群7.1% 、 プラセボ群7.0%、p=0.78)、日和見感染症(0.3%、0.4%、p=0.06)、肝機能異常(0.7%、0.8%、p=0.28)、骨折(2.9%、2.9%、p=1.00)、がん(4.0% 、4.4%、p=0.15)、膵炎(0.3%、0.3%、p=0.77)、膵がん(0.06%、0.1%、p=0.095)では、2群間に差はみられなかった。

探索的研究として、心不全マーカーであるNT-pro BNPのベースラインにおける数値との関連を検討した結果、NT-pro BNP高値ほど心不全による入院リスクが有意に上昇していた。


これらの結果からBhatt氏は、「心血管リスクの高い2型糖尿病患者において、標準治療にサキサグリプチンを追加投与しても、心血管死+心筋梗塞+虚血性脳卒中の複合エンドポイントにおけるリスクは増加も、低下もしなかった」と説明。サキサグリプチンの非劣性が確認できたことは、米FDAで定められた条件を満たすものだと結論づけた。


◎Komajda氏 重症例の多さや短期間である影響を指摘


Discussantとして登壇したフランス・University PierreのMichel Komajda氏は、サキサグリプチンの心血管における安全性について、プラセボに対して非劣性を示したが、これはサブグループ解析の結果、75歳超の高齢症例でも同様の結果を示したと説明した。HbA1cの変化については、強化療法を導入する割合が異なることも指摘。その点を考慮して判断すべきとの考えを示した。

サキサグリプチンは、短・中期の複数試験の統合解析で示された、主要な心血管イベント(MACE)の発生リスク低下を示すことはできなかったと説明。その原因として、重度の心血管疾患を合併する進行性糖尿病が多く含まれていたこと、追跡が約2年間と短期間だったことを挙げた。一方で、安全性については評価した。


その上で、DPP-4阻害薬の心血管イベント発生抑制効果をめぐっては、シタグリプチンの「TECOS」やリナグリプチンの「CAROLINA」などの大規模試験が進行中であることも説明。複数の大規模臨床試験の結果から、DPP-4阻害薬の心血管イベント抑制効果を検討する必要性があることを付け加えた。

 
【訂正】本文中の薬剤の一般名に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。(2013年9月12日 13時15分)

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