イオン傘下のウエルシアHDとツルハHD 12月に経営統合へ 日本最大のドラッグストア連合に
公開日時 2025/04/14 04:50

イオン子会社のウエルシアホールディングス(HD)とツルハHDは4月11日、12月に経営統合すると発表した。ドラッグストア業界最大手のウエルシアと2位のツルハの統合により、国内店舗数5600店舗超、売上高約2兆3千万円の「日本最大のドラッグストア連合」となる。3社での共同会見に臨んだツルハHDの鶴羽順代表取締役社長は「イオングループの数ある資源やスケールメリットを最大限に活かすことで、日本ナンバーワンのドラッグストアチェーンからアジアナンバーワンのグローバル企業へと成長する」と意気込みを語った。
◎統合によるシナジーは500億円 32年2月期の売上高3兆円目指す
会見発表によると、ウエルシアグループの売上高は1兆2759億円で業界1位、ツルハHD(連結)は1兆274億円で業界2位を走る。両社の統合により、売上高は2兆3千億円超、業界シェアは25%に上るという。商品調達や物流、顧客データ基盤、プライベートブランドの共同開発など、競争力強化や効率化を図ることで、統合によるシナジーは3年後に500億円を見込む。さらにイオングループの海外基盤を生かし、中国・ASEAN市場への展開を加速させる。中長期的な目標として32年2月期には売上高3兆円、営業利益2100億円を掲げた。
◎調剤薬局事業でもシナジーに期待 地域戦略の最適化で「売上増やコスト削減が可能に」
調剤薬局事業でも、「業界トップの調剤店舗網を実現することができる」(鶴羽社長)とシナジーに期待を込める。調剤業務や医院誘致のオペレーションノウハウの共有や地域ごとの調剤戦略の最適化により、鶴羽社長は「既存事業の売上増加やコスト削減が可能になる」と訴えた。
◎3社のリソースやノウハウを融合 ツルハHD・鶴羽社長「より強固な体制築く」
経営統合の背景について、鶴羽社長は「目まぐるしい環境変化に迅速に対応し、持続的な成長と企業価値の向上を図るには、さらなる経営基盤の強化と積極的な投資が不可欠。ツルハとウエルシアのリソースを融合することでより強固な体制を築き、相互補完を構築してあらゆる課題解決を見出だす可能性が期待できる」と説明した。
ウエルシアHDの桐澤英明代表取締役兼社長執行役員最高業務執行責任者は「これまで歴史を築いてきた両社のノウハウ、さらにイオングループのインフラを活用しながら、互いの強みを融合した全く新しいヘルスケアサービスの提供や、デジタル技術を活用した顧客体験の向上など、ユニークなヘルス&ウエルネス視点のエコシステムが構築できる」と期待を込めた。
イオンの吉田昭夫取締役代表執行役社長は「イオングループとして有しているスケール、マルチフォーマット、インフラ、顧客基盤といったリソースを生かすことで、両社の成長を支え、より確実なものにしていくのが我々の果たすべき役割。とりわけ我々の持つ食品のノウハウは大きな事業成長につながる。我々の調達力や開発力、物流プロセスセンターといったインフラを最大限活用することで、ドラッグ&フードの新たな店舗フォーマットにつなげていきたい」と展望を語った。
◎ツルハHDがウエルシアHDを完全子会社化 イオンのヘルス&ウエルネスで中核に
3社は24年2月に資本業務提携契約を締結し、経営統合に向けた協議を開始。当初は27年12月31日までの統合を目指していたが、2年前倒しで統合が実現することになった。資本業務提携のスキームによると、ツルハHDは株式交換によりウエルシアHDの全ての株式を取得して完全子会社化。株式交換の効力発生は12月1日を予定し、先立ってウエルシアHDは上場廃止となる。さらにイオンはツルハHDへの出資比率を50.9%に引き上げ、連結子会社にする。ツルハHDはイオングループのヘルス&ウエルネス事業を牽引する中核子会社に位置付けるという。
当面の経営体制として、3社の社長を中心とするステアリングコミッティを設置して、3か月に1回を目安に開催する。また、中期経営計画策定プロジェクトを立ち上げ、12月ごろの発表を目指すとしている。