【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

2014年ミクス編集部座談会  (1/2)

公開日時 2014/11/30 00:00
12

ブロックバスターモデル崩壊で変わるMR活動

営業改革・リソース再配分論議が活発化

 

 

本誌恒例の2014年ミクス編集部座談会を開催した。急速に高まる後発品の市場浸透やこれに伴うブロックバスターモデルの崩壊など、医薬品マーケットは激変期を迎えている。MRも減少時代に直面し、医師に会えるMRとそうでないMRとに2極化する兆候も見え始めた。座談会では変化する製薬業界について担当編集者だからこそ知り得た情報をもとに本音ベースで議論した。

 

沼田:今回は編集部の大杉さんが産休のため、5人で座談会を進めたいと思います。まず2014年の総括をお願いします。今年は国内大手製薬企業の業績に変化が見られ始めましたよね。

 

酒田:第2四半期の各社業績を見る限り相当厳しいですね。武田、アステラス、第一三共、エーザイ、大日本住友、田辺三菱、塩野義・・・、国内売上は全部マイナスです。

 

田中:13年度決算の時のマイナス幅は1%前後でしたが、今期中間決算段階では総じて3%程度の減となっており、マイナス幅が広がっています。

 

沼田:4月に薬価改定もあったが、それ以上に各社の主力品の売上が伸びていないという印象だよね。

 

酒田:キーワードは“想定以上”ですね。長期収載品の軒並み売上がダウンしました。裏を返せばジェネリック品の市場浸透が急速に進んだということですね。

 

神尾:各社の長期収載品の多くが2~3割の減収でした。これが国内企業の業績を落としたことは明白だね。

 

 

後発品の市場浸透が急ピッチ

 

沼田:いま話題にあがった後発品の市場浸透の影響はどう?

 

神尾:連載企画「医師の処方動向をよむ」で紹介した調剤薬局における処方数ベースのGEシェアをみると、GEの市場導入1か月目の市場浸透スピードがもの凄 く早い。ディオバンは1カ月目のGEシェアが4割、プレミネントで3割、リバロも早かった。特にディオバンはオーソライズドジェネリック(AG)の市場 シェアの高さが目についた。田辺三菱の決算でみても、ラジカットが4割近いマイナスとなっており、まだ落ちるのかという印象だ。下げ止まらない傾向が強 まっている。

 

望月:DPC病院においても機能評価係数Ⅱを導入してから、数量シェアをとれる施設は後発品の浸透が急速に進んでいます。ただDPC病院は同時に2極化も進んでいる。特に地方の臨床研修指定病院などは若手医師の確保が優先事項のため、まだシェアは低率ですね。
後発品の使用促進については、調剤薬局は数量シェアが高まる一方で金額は変わらない。一方、DPC病院はシェアは低いが、金額的には高いという傾向が見え始めています。

 

酒田:やっぱり4月の診療報酬改定の影響が大きく出ているよね。川上の急性期病院から川下の調剤薬局まで後発品使用のインセンティブが機能しだした。今後もっと強まっていくのではないかなぁ。

 

沼田:後発品の使用促進は医療マーケットを大きく変化させる原動力となった。施設完結型から地域完結型への転換を打ちだした厚労省の「地域包括ケア」も今後機能するだろうね。これに製薬企業側も対応を模索する動きが見えてきたと思うが。

 

酒田:塩野義製薬が10月1日から新たな取り組みに着手しました。手代木社長も中間決算の会見でこれまでのマーケティング手法が通用しなくなってきたと語っている。塩野義に留まらずエリア重視の営業・マーケティング戦略は各社とも意識し始めている。

 

望月:アステラスも営業所支店を統廃合しましたよね。要因としては環境変化が大きいのですが、一つ重要なのはチームリーダー的なMRに求められる役割や機能 に変化が見られ始めたことではないかと思う。エリア重視の営業体制を構築する中で、エリアコーディネーターのようなマネージャーの存在がいま求められてい るのではないでしょうか。

 

沼田:製薬企業各社のMR数も減らす方向が示されてきましたね。今年は本誌でもMR減少時代という内容の記事を多く書きました。

 

酒田:MR減少時代を迎えましたが、一気に減らすという企業はまだ少ないと思う。伝統的に営業部隊の中心にMRを据えているからだ。ただ、MRを減らす方向 は必然になっている。先ほど地域志向という話がでたが、従来型のキーメッセージを全医師に届ける手法はもう成り立たないという空気が業界に蔓延してきた ね。今後求められているのは効率化だ。エリア志向の営業改革はまだ序章にすぎないだろう。気になるのは武田のBU(ビジネス・ユニット)制だね。

 

神尾:BU制で言えば、その狙いは財務の透明化と責任の明確化なんだと思う。武田について言えば、ウェーバー社長就任直後ということもあり、中間決算会見で の発言に注目した。ところがその記者会見は、これまでの情報開示と明らかに違っていた。正直いってつまらなかった。外資系企業の日本法人の社長会見にあり がちな決められたことしか言わない。国内トップの社長会見としては良くなかったと思う。まぁ、1年間は勉強期間なのかなとも思ったが。

 

田中:私も記者会見に出席しましたが、国内市場でどうプレゼンスを維持するかが見えなかった。グローバルで一番力を入れる抗体医薬の新薬も国内では上市見込みが2019年以降ということでまだ早いという空気もあったのかもしれませんね。

 

望月:MR数の話に戻りますが、各社とも営業リソースの大幅な見直しの時期に差しかかったのではないでしょうか。今年は各社が早期退職者制度の実施に踏み切 りましたよね。ビジネスごと売却するなどドラスティックな改革もありそうです。その意味で各社のMRが一気に減ることもあり得るのではないかと思います。

 

沼田:市場変化に伴い、マーケティングの手法も変化してきたね。MRによるSOV型ディテーリングからの転換が求められています。その象徴だったブロックバスターモデルの崩壊についてどう見ましたか?

 

田中:2013年度決算の製品別売上高上位20製品のうち、特許切れしているものが10製品ありました。さらに2017年までに4製品が特許切れする。生活 習慣病市場を中心に業績は大幅に減ることからブロックバスターモデルは崩壊するものと思われます。ただ一方で伸びる領域として、糖尿病治療薬、抗凝固薬、 抗血栓薬、抗体医薬があります。いずれも生活習慣病薬とは異なる競合市場になるため、営業リソースの再配分に各社とも頭を悩ますでしょうね。そう考えると 2017年あたりが次のターニングポイントになるのではないかと思います。

 

沼田:そうだね。そこに向けた営業改革やリソース再配分が今後議論になるのではないかと思う。

 

望月:市場としては、マス市場に変わってアンメット領域のマーケティングが重視されるでしょう。この領域は市場規模もさほど大きくなく、すでに医師同士のコ ミュニティーもできあがっている。だからSOV型が通用しないと思われます。そうなると新たな取り組みとして、Dr to DrやWebの活用などがますます重視されることになります。この結果、MR数の減少にも拍車をかけることになるのでは。これからのMRはマルチチャネル の使い手にならないと生き残れなくなるのではないでしょうか。

 

 

 

続きはこちら

12
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー

この記事の関連キーワード

【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(0)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

記事はありません。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー