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2014年ミクス編集部座談会  (2/2)

公開日時 2014/11/30 00:00
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ビジネスモデルが大転換

沼田:国内・外資ともに今後2~3年で何が起こるだろうか?

 

神尾:今年はGSKとノバルティスの事業部交換や、ファイザーによるアストラゼネカの買収話があった。強みの領域をより強くしたいということだと思う。こう した潮流が世界から日本に入ってくるのだと思う。一方で日本国内の中堅メーカーの動向も注目したい。長期収載品ビジネスの先が無くなってきたなかで、新薬 ビジネスとジェネリックの軸足の置き方が気になります。

 

田中:そうですね。中堅メーカーのブロックバスターが業績を下げ始めました。この背景に は、病院経営など制度的影響を多分に受けているためだと思います。中堅メーカーにしてみると、ジェネリックをどう取り入れるかも重要だと思う。その意味で バイオシミラーがカギを握るのではないかと思います。

 

酒田:いま製薬 各社は、自身のサイズ(MR数)と形(得意領域)を変えるかどうかの選択を迫 られている。これまで各社の業績を支えた主力品は生活習慣病薬だった。このため企業のサイズはブロックバスターを前提にしたものになっている。同様にMR も日本全国の医師と全施設を対象としたSOV型を前提としてきた。どっちも限界だね。一方で自社の次期主力新薬も、もっと得意領域に絞るなど集中と選択が 求められるだろう。その点で言えばバイオにどう取り組むかが重要になるのではないか。

 

望月:私は、日本の内資同士のM&Aがそろそろあると思いま す。先ほど話題にあがったGSKとノバルティスが典型例ですが、選択と集中が起きる。これからは開発・販売領域を絞らないと厳しいでしょうね。その意味で ビジネスの大転換が始まるのではないだろうか。そうするとコレ(手を首にあて切るポーズ)が起こるのでは・・・。

 

一同:コレ!?

 

酒田:う~ん・・・、僕はM&Aの典型がバイオだと思う。あまりにも設備投資が大きすぎて、日本には外部委託するにしてもリソースが無い。自社だけでやるには負担が大きい。だったらやっている企業と組むか買うしかないのでは・・・。

 

神尾:酒田さん、どこの企業か言ってよ。もっとはっきりと!

 

酒田:えっ!それは・・・、ちょっと。

 

沼田:いずれにしても集中と選択は起こるだろうね。まぁ、2015年は何か大きな変化がありそうですね。

 

 

“ミクスMR”のスタイルで見えたもの

 

沼田:今年は“ミクスMR”のスタイルにフォーカスして取材を行ってきました。MR#1コンテストを終えた印象を聞かせてください。

 

望月:ナンバー1の定義は様々ですが、今回はMRによる医療への貢献を全面に打ち出しました。この背景には地域包括ケアなど、施設完結型から地域完結型に変 わり、営業リソースもエリア対策を強化するなど環境変化があります。その中で、医療への貢献が何なのかを考えようという意図で企画したものです。イベントの詳細は、本号に掲載してありますので、そちらに譲るとして、5年後の日本の医療を創造し、そこでMRが何を考え実行するかを考える場としては成功だった と思います。

 

沼田:最近のMRの声を拾うと「訪問規制」が悩みであるという声を耳にします。これは本当なのだろうか。

 

酒田:確かに多くの MRが活動しづらくなったとの印象がありますね。一方で医師や薬剤師に話を聞くと、「理想のMRはゼロ」という回答が返ってくることさえある。医師と会え ない時代というのは本当ですが、訪問規制が理由という訳でもないようですね。選ばれるMRになるための工夫が求められているのです。厚労省かは地域医療の方向性が打ち出され、さらにWebでの情報提供が可能になると、個々MRとしては、Webでは対応できないような、個々の医師のニーズや行動に合致した 活動をいかにできるかが問われているのだと思う。

 

田中:MRから話を聞くと訪問規制が厳しい状況を作っているというのは事実ですね。「訪問規制+ 接待規制」によって、仲の良い医師同士を引きあわせたり、情報収集の部分を厚くしたりとか、その強弱がつけにくくなったという声を耳にしました。また、あるMRはこれまで一度もアプローチしたことの無い医師への攻略が難しくなったと嘆いておりました。やはりMR力、MR個人力が問われる時代になったのだと思います。

 

神尾:医師との接点を持ちにくくなったということは否定しないが、一方で医師に有益な情報を持っていく人は重宝がられている。やはり接点をどう持つかの工夫が求められているのであり、その次のステップとして相手のニーズを引き出すスキルが求められているのではないかと思う。

 

沼田:訪問規制で医師と会えない時代になったと言いながら、優秀なMRはかなりの割合で医師との接点を持っている。逆にすごく効率的に仕事ができると思っているMRも多い。医師との信頼関係さえ構築できれば、あとはメールや電話でコンタクトできる。すなわち、こうした医師との接点を活かせるMRと、そうでない MRが2極化しているのではないか?

 

望月:先に行ったMR#1コンテストのパネルディスカッションでも、ファイナリストは訪問規制で活動を妨げられてはいないと答えた。デキるMRは訪問規制は関係ないのかも。1週間に2時間しか会えない病院でも、必ずそこにMRはやって来る。信頼関係ができていれば、そこで十分仕事ができる。MR自身が相手が必要だと思う時に会える環境を作っており、そこに信頼関係があるのだと思う。

 

沼田:だとすれば、今の流れからすると医師が求めるMRは、そう多くはいらないということになるよね。

 

一同:そうだと思う。

 

酒田:医療現場を見ていると、治療が進めば進むほど個別化の方向に向かう。それなのにMRが同じ製品説明を繰り返すようでは必要ないと批判されてもしかたないのかもしれない。まして企業の宣伝だけとなるとバイアスの入った情報と受け取られてもしかたないのでは。

 

望月:やはり医師が欲する情報を迅速に伝えるMRは重宝されている。SOV型マーケティングは、医師が欲しい時に欲しくない情報を届ける手法としてやり過ぎ た感が強い。一方でブルーレターを即日中に届けなかったりすれば企業への不信感は高まるばかりだ。MRが自分で訪問できないならFAXやメールなどを活用することもできる。こうした基本動作を怠る企業が1社でもあると、それがMR不要論に発展してしまうのだと思う。

 

神尾:マルチチャネルがあるからMRが不要になるのではない。MRがいないとチャネルも使えない。個々のニーズをシステムが吸い上げるのにはまだ限界があり、これはヒトとヒトとのコミュニケーションでなければ十分対応できない。

 

沼田:では、次世代型MRとして持つべきスキルは何だと思う?

 

田中:ミクスの連載企画「地域一番店」を取材するなかで印象に残ったのは、セールスの前に顧客のニーズを探ってこようという活動を行っている所長さんがいた ことだ。MRに実践させて成功を収めている。医師や薬剤師から話を聞くと、自分達のニーズを探り、そこに応えてくれるMRを求めている。やはり現場ニーズ を捉えるスキルを磨くことが次世代MRにとって重要なのだと思う。

 

酒田:自分が担当する「印象派MR」を取材すると、例外なくPULL型のMRがあがってくる。医師が困っていることを感じ、これを解決するための方策を提案し、一緒に解決できるMRが大切なのだと思う。聞く姿勢と感性、実行力が無いとダメなのかもしれません。

 

神尾:一番大事なのは緊急性の高い情報をタイムリーに提供できること。一方、平時において個々のニーズを吸い上げられるMRが求められている。

 

望月:根底にあるのは、医療者の先にいる患者を見通す、想像する能力だと思う。MRにチーム医療の一員という意識があるかどうか。患者さんのことが見えていれば売り上げ優先の活動は行わないのでは。医療従事者は、MRをみて敏感に感じるのではないか。

 

沼田:コミュケーション力が一番欠けているのではないかなぁ。病院が訪問規制を導入したことで、MRはよりブローカーになった。ここを突破できなければMR は永久に医師に会うことも許されない。一方で、医療現場も日々変革が求められるなかで、企業バイアスの掛かった話に耳を貸すほど医師や薬剤師に与えられた 時間は無い。そこにMR自身が気づきを持たないと、確実にMRは2極化していくことになるだろう。MRはもっと医師の行動や志向を読み取り、そこに見合っ た活動に転換すべきだ。MRは医療の現実を見つめ、自分自身が医療に何を貢献できるかを考え、実行しなければならないのだと思う。
きょうは長時間ありがとうございました。

 

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