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アビガンの観察研究で中間報告 新型コロナの入院患者軽症・中等症で7割、重症で4割が改善

公開日時 2020/05/27 04:53
藤田医科大学は5月26日、アビガン(一般名:ファビピラビル)を新型コロナウイルス感染症患者に投与する観察研究の中間報告(5月15日時点)を公表した。入院中の新型コロナウイルス感染症患者に対してアビガンを適応外使用した2158例を解析したところ、投与開始7日後に軽症や中等症で7割、重症では4割が改善。投与開始14日後には重症でも6割が改善した(関連記事)。安全性についても未知のシグナルは認められなかった。研究班は、「ファビピラビルなどの薬物療法がおこなわれていなかった症例は補足していないため、ファビピラビルが投与された場合と投与されなかった場合の直接比較を行うことはできない」と観察研究の限界を強調。軽症者では自然軽快する症例が多いことを指摘し、慎重に結果を解釈することを求めている。

◎国内407施設 2158例が登録


観察研究には、患者は国内407施設から2158例が登録された。患者背景をみると、男性が67.1%(1447例)と多く、60歳以上が52.3%を占めていた。合併症は糖尿病が24.4%(521例)、心血管疾患が25.0%(533例)、慢性肺疾患が11.6%(248例)、免疫抑制状態が7.3%(156例)だった。これらの4疾患のいずれかを合併する患者は49.2%だった。また、吸入ステロイドのシクレソニドを投与されている患者は41.6%を占めた。新型コロナウイルス感染陽性確認から投与開始までの期間(中央値)は2日、入院から投与開始までの期間(中央値)は1日だった。投与期間(中央値)は11日。なお、中等症は、自発呼吸だが酸素投与を必要としている患者、重症は人工呼吸やECMOを必要とする患者としている。

◎軽症例は多くが退院も重症では7日後に増悪が3割 年齢がリスク因子の可能性も


投与開始7日後、14日後の転帰を「改善」、「増悪」、「不変」に評価した。その結果、「改善」と判定されたのは、軽症(976人)では投与開始7日後に73.8%(574例)、14日後に87.8(506例)だった。中等症では7日後に66.6%(498例)、14日後に84.5%(469例)だった。重症では7日後は40.1%(75例)だったが、14日後には60.3%(91例)だった。

一方で、「増悪」と判定されたのは、軽症で投与開始7日後に13.1%(102例)、14日後に5.9%(34例)、中等症では7日後に21.3%(159例)、14日後に8.8%(49例)だった。重症では7日後に28.3%(53例)、14日後に25.2%(38例)だった。入院から1か月後の転帰は、退院した症例が軽症で61.7%(512例)、中等症で42.7%(369例)、重症は14.7%(33例)だった。一方、死亡は軽症例で5.1%(42例)、中等症で12.7%(110例)、重症で31.7%(71例)だった。年齢群別に解析すると、年齢が上昇するにつれ初期症状の改善率が低下し、死亡率が上昇する傾向も示された。

◎有意事象は高尿酸血症など 新型インフル用量で高用量投与で注意深い観察求める


有害事象の発生率は24.65%(532人/2158人)で、尿酸値上昇/高尿酸血症が15.52%(335例)、肝障害/肝機能障害が7.37%(159例)だった。

安全性については、新型インフルエンザ治療薬として開発された際の治験などと同様の傾向を示したが、研究班は、投与量(初日に1800mgを2回、2日目から800mgを1日2回)が新型インフルエンザの投与量(初日に1600mgを2回、2日目から600mgを1日2回)より高用量で、投与期間も長いことを指摘。「有害事象を注意深く観察することが薦められる」としている。

◎観察研究であることの意義

本来、観察研究は臨床現場の診療や経過の成り行きをありのままに観察することで、有効性・安全性を検証する目的で実施される。これに対をなすのが、治験に代表される介入研究で、研究対象となる治験薬などの有効性・安全性を検証することが目的となる。介入研究のなかでも、プラセボ群を対照群に置いたランダム化比較試験(RCT)は、エビデンスレベルが高くなる。一方で、観察研究は、患者背景や併用薬など多くのバイアスを含むため、エビデンスレベルは低い。そのため、当然のことながら、承認に際しては介入研究、特にRCTを実施することがゴールドスタンダードだ。

ただ、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大が国家的な緊急事態となるような、緊急時は救命が第一となる。プロトコルの遵守が難しいなかで、観察研究の意義は大きい。ただ、研究結果を慎重に解釈する必要があることは論を待たない。今回の解析結果について言えば、対照群がなく、特にすでに有用性が報告されているシクレソニドが4割以上投与されている点も考慮する必要がある。現時点で科学的根拠を判断できないのは、観察研究を実施する目的からも明らかだ。

エビデンスに基づいた確固たる新薬を日本からいち早く発信するためにも、6月末にも終了が予定される治験結果の公表が待たれている。(望月英梨)

(訂正)下線部の表記に誤りがありました。修正します。(修正済27日10時40分)

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