日本感染症学会など3学会 新型コロナワクチン定期接種で見解 コスタイベに「シェディングはない」
公開日時 2024/10/23 04:51
日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会の3学会は、10月17日付で取りまとめた「2024年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解」を各学会ホームページで公表した。見解では、Meiji Seika ファルマが製造販売するレプリコンタイプ(自己増幅型)の次世代mRNAワクチン・コスタイベについて、「自己増幅されるのはスパイクタンパク質のmRNAだけであり、感染力のあるウイルスや複製可能なベクターはコスタイベに含まれていない。また、被接種者が周囲の人に感染させるリスク(シェディング)はない」と明示し、コスタイベのシェディングの可能性を否定した。
コスタイベにシェディング(=ワクチン接種者から非接種者への感染)の可能性がある/懸念があるとの言説や指摘がSNS上に少なくない。日本看護倫理学会が8月に、コスタイベをはじめとするレプリコンワクチンにシェディングの懸念があるなどとする緊急声明を公表したこともあり、コスタイベを接種した人を入店拒否とする方針を示す飲食店やヨガスタジオなどが現れた。コスタイベの接種予約の受付を始めた医療機関に対する嫌がらせ行為も確認され、通常診療に支障が出る事態にもなっている。
3学会は、「本見解は、皆様に10月から始まった新型コロナワクチンの定期接種の重要性について科学的情報を提供し、接種の必要性を考える際の参考としていただくためのもの」としており、科学的な見解としてコスタイベにシェディングはないとの表明になった。
◎新型コロナ定期接種を「強く推奨」 利益とリスクを信頼できる医療従事者と「よく相談して」
見解では、高齢者における新型コロナの重症化・死亡リスクは「インフルエンザ以上」だとし、今冬の流行に備えて、10月から始まった新型コロナワクチンの定期接種を「強く推奨する」とした。そして、「流行株に対応した新たな新型コロナワクチンの接種が必要」とし、定期接種ワクチンとして用いることができるJN.1対応ワクチンのコミナティ(製造販売元:ファイザー)、スパイクバックス(モデルナ)、ヌバキソビッド(武田薬品)、ダイチロナ(第一三共)、コスタイベ(Meiji Seika ファルマ)――の5つのワクチンの特徴や有効性、安全性などをそれぞれ記載・解説した。
その上で、「これらのワクチンはすべて一過性の副反応があるが、臨床試験ではワクチンと関連した重篤な健康被害はみられず、安全性が確認されている」と説明。「ワクチンの利益とリスクの大きさを科学に基づいて正しく比較し、ご自身が信頼できる医療従事者とよく相談して接種するかどうかを判断することが望まれる」と呼びかけた。
新型コロナワクチンは、24年4月1日から定期接種B類疾病に位置付けられ、65歳以上の者及び60~64歳で心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される者等を対象に、10月から定期接種として1回接種することになった。自己負担額は、標準的には7000円で、市町村等からの助成により異なる。