【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

植物状態の患者が映画に反応

公開日時 2014/10/03 03:50

16年間植物状態にある患者がヒッチコックの映画に健常者と同じような脳の動き(映画の筋書きを追うことができると推測される)を示すことがわかった。独自開発したスキャン技術で健常者と植物状態の患者のデータを採取し,比較・分析したのは、カナダ・オンタリオ州にあるUniversity of Western Ontarioの研究者らで、研究結果は”The Proceedings of national Academy of the USA”に発表されている。(医療ジャーナリスト 西村由美子)


http://www.pnas.org/content/early/2014/09/11/1407007111 


実験では2人の健常者と2人の植物状態の患者に3T高磁場MRI内部で、子どもが本物の拳銃と銃弾をオモチャだと思いこんで近所の人に次々に銃口を向けるという内容のヒッチコックの作品(8分間に短縮編集)を見せ、4人の脳の活動を観察/分析した。研究グループは、「指示を出し、それへの反応を見る」というような従来の(単純な)テスト手法では患者の集中力が続かなくなることに注目し、自然に注意を引きつけ続けることができるコンテンツとして映画を見せるという手法を採択したという。


特にヒッチコックの作品を選んだ理由は、脳にさまざまな情報処理をもとめる複雑な伏線に満ちた作品であるためで、脳の動きを観察・分析しやすいとの仮説からだ。


結果、参加した4人の解析結果は、脳の同期活動に共通パターンを示し、意識レベルが不明の患者も健常者と同じように情報をモニターし,分析できることが明らかになった。


https://www.youtube.com/watch?v=KAJobk1lFPs
 
 


言語や行動による被験者の反応に依拠せずに、脳の活動のみで人間の意識を解釈する試みは、現代の脳神経科学の最重要且つもっとも困難な課題のひとつとされている。それにチャレンジした本研究にたずさわった研究者たちは「これまで『意識がない』とされてきた植物状態の患者(5人に1人)が誤診でないか判定できる可能性がつかめた」、「意識の有無だけでなく、患者が考えていることを推測する手がかりがつかめた」と語り、これらの研究成果が、身体的反応のない患者への理解を深め、それらの患者のQOLの改善に寄与することに期待を寄せている。
 


 

プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(0)

1 2 3 4 5
悪い   良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

記事はありません。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー