武田薬品・岩﨑プレジデントが本誌と会見 「レアディジーズビジネスユニット」を新設 シャイアー統合で最大化
公開日時 2019/02/22 17:10
武田薬品の岩﨑真人・取締役ジャパンファーマ ビジネスユニットプレジデントは本誌と会見し、シャイアー社との統合に伴って、4月1日付で、国内の医療用医薬品ビジネスを所管するジャパンファーマビジネスユニット(JPBU)を再編し、「レアディジーズビジネスユニット」を新設することを明らかにした。あわせて、ジェネラルメディスンビジネスユニット(GMBU)傘下に、新たに、ADHDの情報活動を担う精神領域と小児領域を担当するMRを配置する。MRは2200人体制。岩﨑プレジデントは、「アンメットメディカルニーズの高い患者に、我々の医薬品ができるだけ早く届くよう、デジタルも活用しながら患者の早期診断・治療をサポートしていきたい」と意欲をみせた。同社は2月22日夕刻、この内容を発表した。
シャイアー社との統合により、武田薬品は血友病やADHDをはじめとした希少疾患に挑戦する。岩﨑プレジデントは、新組織の設計にあたって、ビジョンに基づき、①カスタマーに合わせたチャネルによるオペレーティングモデルを構築する、②オペレーションを効率化し、単位範囲の重複を最小化する、③タケダのビジネスプラットフォーム上にシャイアーの新しい疾患領域・製品を拡充する、④タケダのプラットフォームを活用し、シャイアー製品のさらなる成長を目指す―ことを4原則として組織設計に当たったことを明らかにした。
◎「シナジーを最大化するための見直し」岩﨑プレジデント
岩﨑プレジデントは今回の組織再編について、「シナジーを最大化するための見直し」と説明した。特に、希少疾患領域にチャレンジする意気込みについて、武田薬品がこれまで培ってきた全国医療機関とのネットワークを活用し、タイムリーな情報提供ができる強みを強調した。一方でシャイアーとの統合に伴う懸念については否定し、「従業員のモチベーションが上がり、患者さんにも早く薬剤が届くようになる。患者さんへの貢献が社員のモチベーションにつながることは間違いない」と力を込めた。
◎GMBUのプラットフォームを活用「幅広く迅速に情報を届ける」
新設されるレアディジーズビジネスユニットのヘッドは武田薬品から登用するが、経験な豊富なシャイアー社に所属していた社員を中心とした体制となる。GMBUとオンコロジービジネスユニットやスペシャルティビジネスユニットと同様、新設する「レアディジーズビジネスユニット」とGMBUが連携する。GMBUは2次医療圏ごとに構成され、全国154営業所を中心としたプラットフォームを有する。この“プラットフォームの活用”で、「情報活動を効率化し、効果的に進めたい。結果として薬剤を早く患者に届けたい」と岩﨑プレジデントは話した。
希少疾患は専門医の少なさから治療開始が遅れるケースも少なくない。岩﨑プレジデントは、GMBUのプラットフォームを活用することで、「幅広く迅速に情報を届け、加速させる」面と、シャイアーの疾患への専門性という強みを掛け合わせた、いわば“2社の良い所取り”を主眼とした新体制を構築することに意欲を示した。組織のなかで、デジタルを有効活用することも強調。情報提供活動だけでなく、MRなどの行動分析にAI(人工知能)を活用して戦略などに生かす考えを示しながら、「より的確に情報を伝えることができる体制を整えたい。この体制が一つのカギになる」と強調した。
◎糖尿病部門の人員削減・売却を否定
注力領域から外れた循環器や糖尿病など領域についての人員削減や売却を行う可能性は、明確に否定した。岩﨑プレジデントは、「我々がプライマリケアのビジネスで医師から高く評価されているのは、製品や情報提供活動が患者にとって役立っていることにある。それを必要とする患者さんと、医師がいる限りは、我々にとってのビジネスの柱だ。情報活動プラットフォームはそれにあわせてでき上がっているので、変えることはない」と述べた。MR数の削減は行わない一方で、個々の適性に応じた配置の見直しなどを行う可能性は示唆。「パイプラインの進捗と、医師や患者のニーズに応じて機動的に社員が動けることが武田の強みの一つだ」と述べた。