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製薬協・中山会長 米国CDCのイメージで司令塔機能求める 新型コロナの治療薬・ワクチン開発

公開日時 2020/06/18 04:50
日本製薬工業協会(製薬協)は6月17日、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、「感染症治療薬・ワクチンの創製に向けた製薬協提言」を公表した。同日の会見で中山讓治会長(第一三共代表取締役会長)は、新型コロナで求められた治療薬やワクチンの迅速な研究開発、生産は、「企業が単独で行うことは困難」と指摘。「平時から有事までの感染症対策を統括する司令塔機能」を設置することを求めた。米国の疾病管理予防センター(CDC)の日本版のイメージで、世界同時承認に向けた交渉窓口になるなど、国際連携などを担うことも視野に入れる。中山会長は、「自らが体制を整えない限り、米国と連携するにしても対等な連携はできない」と述べ、体制整備の必要性を訴えた。

イメージする司令塔は、「長期的な予算措置の権限を付与し、研究開発基盤の整備から生産・供給までの一貫した戦略立案・実施を担う」組織だ。感染症治療薬やワクチンは、開発されたときには感染が収束しているケースもあり、収益の予見性に乏しいことから、製薬企業の参入が進みにくく、民間での研究者が減少するなど、新たな技術開発基盤の脆弱化を招いているとした。司令塔を創設することで、研究基盤を産官学が一体となって振興し、国としての研究開発力を高める取り組みが必要だと指摘した。

◎司令塔機能 規制の国際調和を推進する交渉窓口に

例えば、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、米国の緊急使用許可(EUA)を受け、国内で特例承認された抗ウイルス薬・レムデシビル(製品名:ベクルリー)に触れ、「海外で販売されているから承認できるというのは、あまりにも自律性において不足がある」との認識を示した。そのうえで、平時から安全性や品質、効果を考慮し、迅速な供給や承認を可能とする明確なガイドラインを定める必要性も指摘した。司令塔には、パンデミック発生時の世界同時承認を可能にする規制の国際調和を推進する交渉窓口となり、海外の政府や審査機関、研究機関などステークホルダーとの連携・交渉の推進にも期待する。

◎投資リスクを公的な仕組みで最小化

新型コロナウイルスの拡大でグローズアップされたのが、“グローバリゼーション”の影の面だ。例えば、原薬をめぐっては、中国やインドなどへの依存している割合が高く、供給に影響が出ることも懸念された。ただ、自然災害などの発生も多いことから、日本の1点集中することの課題も指摘。「インド、中国のルートが厳しくなったからと言っていきなり国内オンリーと言うのは短絡的だ」との見解を示した。そのうえで、「日本は一国閉鎖主義ではなく、安全保障的な観点で国際的アライアンス強化を進めていくべき」との考えを示した。

製造・生産をめぐる課題も明らかになった。迅速な上市が求められるワクチンは開発と並行して製造技術の開発や生産設備を設置する必要性がある。ただ、「開発の成功が不透明ななかで、これらの投資リスクを企業単独で行うことは困難」と指摘。迅速な実現に向け、「民間の投資リスクを公的な仕組みのなかで最小化し、ワクチン事業の安定化を図る仕組みが必要だ」と述べた。

このほか、感染症治療薬開発のインセンティブを高めるため、サブスクリプション方式(薬剤を開発した企業に対していて地学を一定期間払う仕組み)の導入などをも提言した。

中山会長は、米国と同程度の司令塔組織を創設することが難しいとしたうえで、「自分たちで自分たちを守るということをもう一度考えたうえで、国際連携が必要だ。信頼できるパートナーを国と相互に援助し合うような体制を持つことが重要だ」と述べた。

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