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【World Topics】米国で急成長コンビニ型クリニック:UCC

公開日時 2014/08/11 03:50

米国医療の最近のトレンドは”Urgent Care Center”である。“ER”の略称が定着した”Emergency Care Center”が「救命救急医療=生命の危険がある重篤な怪我や病気のケア」対応であるのに対し、”Urgent Care Center(略してUCC)”は「一般救急医療=治療には急を要するが、しかし、すぐに命に関わるとは思われない怪我や病気のケア」に対応する外来医療センターだ。アメリカの医療機関は一般に「予約がなければ診察が受けられない」システムだが、予約なしで行けるのが特徴だ。(医療ジャーナリスト 西村由美子)


そもそも怪我や病気は「不慮」。その意味で治療は「救急」が原則。だから、予約なしで行けるUCCへのニーズは当然高く、どこも利用者が急増している。とくに2014年からオバマケアで新たに医療保険に加入した300万人超は、そもそも「かかりつけ医」がいないので、必要に際して紹介も予約も不要のUCCを利用する率が高い。


トラウマ対応の手術室やICU,入院設備などを備えた大型医療機関に併設する“ER”との違いは、“UCC”は独立した外来診療機関であること、救命救急対応が必要な重篤な患者は受け入れないこと、したがい重篤な患者優先で軽症患者が待たされるということがないこと、そして”ER”に比べて圧倒的に安い料金体系だ。


UCCには急成長ビジネスとして投資家の注目が集まっている。2008年以降最近の5年間に、総額2,300億ドルがUCCビジネスに投下されたと言われている。投資先は複数の州でクリニックを展開するフランチャイズ型の外来診療機関チェーン。どこも数においても売り上げにおいても急成長しているが、まだまだ延びる余地があるとみられている。


たとえば、米国最大手のUCCチェーン”Concentra”は、全米あわせて324のクリニックを経営しているが、今年度(2013年9月から)だけで14のクリニックを新規開設した。また、全米に147のUCCを経営している”US HealthWorks”は、最近大手病院チェーンに高額で買収された。

UCCのビジネスモデルはいたってシンプルだ。利用者数が見込める場所にUCCを開設し、長時間診療と休診日なしで運営。患者にとって「便利で、安い」、コンビニ型クリニックとなることで、診療単価は低いが、リスクも治療コストも低い患者を多数集客することをめざす、薄利多売型のビジネスモデルだ。したがい、利益を上げる決め手は規模と効率。一挙に市場をつかむための多額の初期投資画なされている所以である。

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